
本作「ばにらさま」は遺作になったと聞いたのでだいぶ前にリクエストしていて、やっと回って来ました。
でも書かれたのが10年位前のもので、それらを集めた小説だったのですね。
とはいえ、どれも面白くて才能のある作家さんだったんだなあと今更ですが再認識しましたよ。
時々、はっとする文章や言葉があって、なかなか面白く読ませていただきました。4つ★
注意 ★以下、ネタバレです★
「ばにらさま」
いけてない僕の初めてできた綺麗な恋人。丸の内の派遣社員で熱帯魚みたいな女性。
僕は彼女のSNSを見つけてしまった。彼女の本音をそこで読んでしまう。僕の事は別に好きじゃなくて滑り止めみたいな存在であるのも解ってる・・・。
そんな僕が覚悟を決めて彼女に別れを言い渡す(がんばったよ)
最後彼女に残して行ったプレゼントが(いつもひんやり冷たかった体を心配して)電気毛布っていうのが良かった。
「わたしは大丈夫」
これは最後にあっという驚きが。
2人の女性が登場する。
仕事をバリバリこなす女性、面倒なことは嫌いで、不倫だが良い関係をとある男性と続けている。彼にはひどい倹約家の妻がいる。最初は楽しかったが、段々男は彼女に甘え、ぞんざいな扱いをするようになる。ラッキョウを買って来てその代金を・・っていうので、プツンと何かが切れてしまった、っていうの解るな。
女性の家に来て彼女の手料理を食べる。毎週毎回その材料費の金額と労力を理解していますか?
ある日電気を交換しようとして踏み台から派手に落ち転んだら下の階の男がウルサイと怒鳴り込んで来る。腰を酷く打って動けないのに、そんな目に遭い、助けを男に呼ぶ電話をするも面倒がられてしまい、手元にある薬を一杯飲んで病院に担ぎ込まれる。命は助かったものの酷い後遺症が。そして妊娠していたことが発覚し、彼は妻と離婚して彼女と再婚することになったのねー。
夫と娘と暮らしている私は、義母が頻繁に手伝いに来てくれるがそれが精神的に負担だ。でも私は体が弱くてどうしょうもない。夫は別れた妻と子供に養育費を払っているため、私は倹約生活を送っている。 こんな人生になっているとは・・・。
「菓子苑」
これも最後、あっという驚きが。
舞子は(長年の友人と思いきや・・・)気分の浮き沈みの激しく我が儘な胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。
最後に若くして産んだ娘だったことが解る。なるほどー。
「バヨリン心中」
祖母が語る彼女が大切に持っているヴァイオリンと、ポーランド人夫との出会いから別れまでのお話。
「20×20」
マンションの隣人たちと作家の自分の関係
(山本さんの実体験が入ってるお話なのかな?)
「子供おばさん」
長年の友人。共通の推しで意気投合して一時期濃い関係になっていたが、今は疎遠になっている。
そんな彼女が亡くなり彼女の兄(若い頃にデートしたことがある)が大型犬を引き受けてくれないか?と言ってくる。
彼女の住んでいたマンションの部屋に引越し、仕事も辞め、そこで犬との新たな生活を始めた。
山本さんの小説を読むのは「アカペラ」以後なので久しぶり。
というか、ちゃんと彼女の小説を読んだことって「アカペラ」だけなんですよね。
彼女が鬱で長く苦しんだ後、復帰して新しい作品を出しTVに出演されているのを見かけたばかりだったのに、その後あっという間に若くして亡くなられて・・・・
そういえば「アカペラ」も短編集で、それぞれのお話が面白かったのだけれど、自分の感想を久しぶりに読んでも内容が思い出せなくてガッカリ。あらすじを少し残しておいても私ったら記憶が本当に消えてしまうんだな・・・悲しいしショックです。
この「ばにらさま」の感想も10年経ったら忘れてしまっているのかも・・。でも書きました。
「ばにらさま」 山本文緒 2021/9/13
山本文緒
アカペラ
でも書かれたのが10年位前のもので、それらを集めた小説だったのですね。
とはいえ、どれも面白くて才能のある作家さんだったんだなあと今更ですが再認識しましたよ。
時々、はっとする文章や言葉があって、なかなか面白く読ませていただきました。4つ★
注意 ★以下、ネタバレです★
「ばにらさま」
いけてない僕の初めてできた綺麗な恋人。丸の内の派遣社員で熱帯魚みたいな女性。
僕は彼女のSNSを見つけてしまった。彼女の本音をそこで読んでしまう。僕の事は別に好きじゃなくて滑り止めみたいな存在であるのも解ってる・・・。
そんな僕が覚悟を決めて彼女に別れを言い渡す(がんばったよ)
最後彼女に残して行ったプレゼントが(いつもひんやり冷たかった体を心配して)電気毛布っていうのが良かった。
「わたしは大丈夫」
これは最後にあっという驚きが。
2人の女性が登場する。
仕事をバリバリこなす女性、面倒なことは嫌いで、不倫だが良い関係をとある男性と続けている。彼にはひどい倹約家の妻がいる。最初は楽しかったが、段々男は彼女に甘え、ぞんざいな扱いをするようになる。ラッキョウを買って来てその代金を・・っていうので、プツンと何かが切れてしまった、っていうの解るな。
女性の家に来て彼女の手料理を食べる。毎週毎回その材料費の金額と労力を理解していますか?
ある日電気を交換しようとして踏み台から派手に落ち転んだら下の階の男がウルサイと怒鳴り込んで来る。腰を酷く打って動けないのに、そんな目に遭い、助けを男に呼ぶ電話をするも面倒がられてしまい、手元にある薬を一杯飲んで病院に担ぎ込まれる。命は助かったものの酷い後遺症が。そして妊娠していたことが発覚し、彼は妻と離婚して彼女と再婚することになったのねー。
夫と娘と暮らしている私は、義母が頻繁に手伝いに来てくれるがそれが精神的に負担だ。でも私は体が弱くてどうしょうもない。夫は別れた妻と子供に養育費を払っているため、私は倹約生活を送っている。 こんな人生になっているとは・・・。
「菓子苑」
これも最後、あっという驚きが。
舞子は(長年の友人と思いきや・・・)気分の浮き沈みの激しく我が儘な胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。
最後に若くして産んだ娘だったことが解る。なるほどー。
「バヨリン心中」
祖母が語る彼女が大切に持っているヴァイオリンと、ポーランド人夫との出会いから別れまでのお話。
「20×20」
マンションの隣人たちと作家の自分の関係
(山本さんの実体験が入ってるお話なのかな?)
「子供おばさん」
長年の友人。共通の推しで意気投合して一時期濃い関係になっていたが、今は疎遠になっている。
そんな彼女が亡くなり彼女の兄(若い頃にデートしたことがある)が大型犬を引き受けてくれないか?と言ってくる。
彼女の住んでいたマンションの部屋に引越し、仕事も辞め、そこで犬との新たな生活を始めた。
山本さんの小説を読むのは「アカペラ」以後なので久しぶり。
というか、ちゃんと彼女の小説を読んだことって「アカペラ」だけなんですよね。
彼女が鬱で長く苦しんだ後、復帰して新しい作品を出しTVに出演されているのを見かけたばかりだったのに、その後あっという間に若くして亡くなられて・・・・
そういえば「アカペラ」も短編集で、それぞれのお話が面白かったのだけれど、自分の感想を久しぶりに読んでも内容が思い出せなくてガッカリ。あらすじを少し残しておいても私ったら記憶が本当に消えてしまうんだな・・・悲しいしショックです。
この「ばにらさま」の感想も10年経ったら忘れてしまっているのかも・・。でも書きました。
「ばにらさま」 山本文緒 2021/9/13
山本文緒
アカペラ
バラエティに富んだ短編集どれも面白かったです。
特に「ばにらさま」と「子供おばさん」が印象的でした。
病気が良くなられてこれからたくさん新作が読めるようになるのかなと思っていたので、本当に残念です…お若いのに…。
コメントありがとうございます。
私も「ばにらさま」と「子供おばさん」が印象的でした。
私は「子供おばさん」で幾つか共感するというか解る部分があって、はっとさせられました。
本作が遺作と言われていたものの、他にも出版されている(これから更にする予定があるのかな?)とか。
いずれにしても、惜しいですね・・・
コメントありがとうございます。
「ブルーもしくはブルー」は、確か私も見たと思うのですが、もう記憶が・・・。
亡くなったのは最近でしたし、そこまで大ニュースにはなっていなかったから、ご存知なかったのかもですね。。
私も彼女の本は、アカペラと本作しか読んでいないのです。
でも、本作は凄く読みやすい短編集だし、短いけれど、それぞれ違った味わいがあって良かったですよ
↑、途中までしか読みませんでした!
読んだらまた来ます♪
コメントありがとうございます
いや、読んではイカンですよ!
思い切り全部ネタバレしてるので。
わぐまさんの感想、気長にのんびり楽しみに待ってまーす
表題作の「ばにらさま」は、切なかった。彼女の本心を知っちゃてるんだよね。切ないよね・・・
菓子苑は、見事にやられました!二人の関係性を知ってから再読すると納得!
最後の大型犬と500万を引き受けるか?は、自分だったら悩むなぁと・・・多分、引き受けない(笑)
いろんな人の心の描き方が、なんか良いですね。好きかも~~~
これ、読んだのねー。
それぞれの短編が独立していて全くそれぞれ別の作品なのよね。最近どこか繋がってるのを読む事が多かったせいか、ちょっと残念に思っちゃったわ。
とはいえ、それぞれ全く違った印象のストーリーで楽しませてもらったんだけどね。
これ、タイトルと表紙のインパクトで「ばにらさま」って印象が強いけど、もし他の短編のタイトルが表題になってイラストも違ってたら全然違う印象の本になってたかもしれないですね。