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「銀の夜」角田光代  ネタバレ感想

2021-12-28 | 小説・漫画他
角田さんファンだというのに、こういう新刊が出ていたことに気がつくのが遅れてしまい
今更読みました。

とはいえ、雑誌veryに2005年頃に連載されていた作品を15年以上経って単行本にしたそうです。
あとがきに角田さんご本人から、出版にするにあたって、手を入れる事がもう出来なかったと書かれており、それが良く解りました。
この3人が、この中で生きて?いるからと。

なんだか、こういう感じの角田さん作品は久しぶりというか、懐かしい感じがしました。
角田さんお得意の立場の違う3人の女性をリアリティたっぷりに描く内容です。
すぐ引き込まれて、とても面白く読ませてもらいましたが、「今」の作品ではないな、10年位前の空気感というか、お話だな、というのはやっぱり感じました。

確か、角田さんご自身も、当時お母様がガンか何かでお亡くなりになられているし、最初の夫さんと離婚されたりしていたので、それらの実体験が投影されているシーンもあるのかな・・・と思ったり・・・。

メインの3人はエスカレーター式の私立の女子一貫校出身の同級生で友達。35になるまでずっと友達です。かつて3人で組んだバンドでデビューもした過去があります。

★以下ネタバレあらすじ、感想です★

●イラストレーター井出ちづる。太っていてモテない夫が驚く事にどうやら若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。
個展をやってみようと思い立ち、カフェ兼ギャラリーのオーナーの男と関係を持つ。この男は彼女の周りに存在しないような男で、40.50代だが子供っぽい処があって、ふらっとしていて、でもアート等が本当に好きで、彼女の作品も真剣に見てくれる。が、こうしたらどう?とか色々と彼の意見を彼女に押し付けて来る感じ。ガード下の焼き鳥屋で熱く3時間も話し込む様な男で。私は苦手なタイプだわ・・。
最後は離婚届けを書いて、平和に離婚します。

●早くに結婚して母となった岡野麻友美。
実家は一般庶民だったが、ちょっと無理をして私立の学校に通っていたため、いつも肩身の狭い思いをしていて、お金に苦労しない生活をしたいとずっと思っていた。
短いバンド活動だったのに当時の自分のことを知って好きでいた男と結婚。裕福な暮らしをしている。幼稚園の娘がいるが、大人しく自己主張のない娘にイライラしている。
最初は芸能スクール、次にはお受験と、自分ができなかったことを幼い娘に託しているステージママ。
最後は二人目を妊娠する。

●帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。
モロッコに3ヵ月行って戻って来て、彼女の写真を本にしようとしている。
フリーの編集者の男と関係を持って数年経っているが、彼には妻子がいた。
若い時は母とべったりの関係だったが、30歳くらいになってはたと、自分の人生がうまくいかないのは母のせいだと思うようになり、距離をおくようになった。
しかし、そんな母が末期の胃癌だと知る。
最後は母の見たかった海に仲間2人の助けを借りて無謀にも病室を抜け出して連れ出す。

この3人が50代になった姿を読んでみたいと、思った人が多い様で、私もその一人です。
是非、そういうの書いて欲しいなー。

銀の夜 2020/11/18 角田 光代
三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか…。
14年間埋もれていた傑作が、今、私たちの魂を揺さぶる。著者5年ぶりの長編小説。

・・・・・・・・・・・・
2021年前半期に、新聞の朝刊に角田光代さんの小説「タラント」が毎日アップされていて面白く読んでいました。

特に印象に残ったのが、危険地帯に行く人の部分でした。
主人公の大学時代のサークル仲間2人、一人はボランティア活動をしていた女性で、危険な地帯で拘束され帰国後国内で激しいバッシングを受ける。
2人目は野心家のカメラマンの男性。
そして主人公も過去にボランティアで中東に滞在した経験があって、幼い兄弟から頼まれたことを親切心からやってあげたものの、その後彼らが行方不明になってしまい戦士になってしまったんじゃないか・・という不安や後悔をずっとその後持つ・・・

でもこの小説はそれ以外の部分、戦争で片足を失った寡黙な祖父がパラリンピックの少女と実は交流をもっていた、ってのがメインの小説なので、そういう部分は少しだけだったのですが、さすが角田さんだな!と思った小説でした。そのうち単行本で発売されるかな。


角田光代さんの本の感想
「希望という名のアナログ日記」
私はあなたの記憶のなかに
「坂の途中の家」
「平凡」
「私のなかの彼女」
「空の拳」
「口紅のとき」
「それもまたちいさな光」「月と雷」感想
「異性」「紙の月」
「曾根崎心中」「かなたの子」
「なくしたものたちの国」「ツリーハウス」
「水曜日の神さま」
「福袋」
「くまちゃん」面白かったです
「森に眠る魚」(ネタバレです 注意!)
「何も持たず存在するということ」
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
「ロック母」
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
「ドラママチ」 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み
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