リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十二 豊御食炊屋姫天皇 四十六 ・僧の腐敗 ・百済の観勤僧の請願



日本書紀 巻第二十二 豊御食炊屋姫天皇 四十六

・僧の腐敗
・百済の観勤僧の請願



三十二年夏四月三日、
一、僧が有りました。
斧を執って祖父を殴りました。

時に、
天皇がこれ聞いて、

大臣を召して、
詔して、
「出家した者は、
ひたすらに三宝(さんぽう)に帰し、
具に戒法ををだいじに思うはずです。

どうして懺(く)いたり、
忌(い)むことなく、

たやすく
悪逆(あくぎゃく)を犯すのでしょうか。

今、朕は、

僧があり、
祖父を殴ったと聞きました。

故に、
ことごとく諸々の僧尼をあつめ、
これを推問(すいもん)しなさい。

もし、
事実ならば、
重罪にしなさい」
といいました。

ここにおいて、
諸々の僧尼を集めこれを調べました。

すなわち、
悪逆な僧及び諸々の僧尼とを、
並びに罰しようとしました。

ここにおいて、
百済の観勤僧(かんろくほうし)が、
上表して、

「仏法は、
西国(てんじく)から
漢(もろこし)に至り、
三百歳を経て、

すなわち、
伝わり百済国に至り、
僅かに百年です。

然るに、
我が王は、

日本の天皇が賢哲(かしこい)と聞き、
仏像及び内典を貢上してから、
まだ百年に満ちません。

故に、
今の時に当たり、

僧尼は、
いまだに法律を習わず、
たやすく悪逆を犯します。

ここをもって、
諸々の僧尼は惶懼(こうく)して、
どうするべきか知りません。

仰ぎ願うは、
その悪逆な者を除いて、

それ以外の僧尼は、
ことごとく赦(ゆる)して、
罰しないでください。

これこそ、
大きな功徳(くどく)です」
といいました。

すなわち、
天皇はこれを聴きいれました。



・三宝(さんぽう)
仏教
・悪逆(あくぎゃく)
人の道にそむいた大悪事
・推問(すいもん)
1・問い調べること。 2・特に、罪をきびしく問いただすこと。 取調べをすること
・西国(てんじく)
インド
・惶懼(こうく)
恐れかしこまること。 恐れ入ること。 恐懼
・功徳(くどく)
善行。 善行のもたらすよい結果



(感想)

推古天皇32年夏4月3日、

一人の僧がいました。

斧を取り、
祖父を殴りました。

この時、
天皇がこれ聞いて、

大臣を召して、
詔して、
「出家した者は、
ひたすら仏教に帰依し、

もれなく戒法を大事に思うはずです。

どうして悔いたり、
忌むことなく、

容易く人の道にそむいた
大悪事を犯すのでしょうか。

今、朕は、

僧がいて、
祖父を殴ったと聞きました。

そこで、
ことごとく諸々の僧尼を集め、

これらを取調べをしなさい。

もし、
事実ならば、
重罪にしなさい」
といいました。

そこで、
諸々の寺の僧尼を集めこれを調べました。

結果、
悪逆な僧、
および諸々の僧尼とを、

みな処罰しようとしました。

この時、
百済の観勤僧は、上表して、
「仏法は、
西国(てんじく)から
漢(もろこし)に伝わり、
三百歳を経て、

伝わり百済国に至り、
僅かに百年です。

しかしながら、
我が百済王は、
日本の天皇が賢哲(かしこい)と聞き、

仏像および内典を献上してから、
まだ百年も経っておりません。

ですから、
今の時に当たり、

僧尼は、
いまだに法律を習わず、
たやすく悪逆を犯してしまいます。

諸々の僧尼は恐れかしこまり、
どうするべきかを知りません。

仰ぎ願うは、
その悪逆な者を除いて、

それ以外の僧尼は、
みな許して、
処罰しないよう。

これこそ、
大きな善行となります」
といいました。

こういうわけで、
天皇はこれを聴きいれました。

僧が
斧を持ち祖父を殴った、

とは、
恐ろしいですね。

それを聞いた推古天皇。

取り調べるよう命令して、
悪行を働いた僧と全ての僧尼を処罰

とは、
他の僧尼にとってみては、

何もしとらんのに
何で罰与えられるのや?

ですね。

ただ、
全員罰すると言い出すくらいですから、

実際は、
ちょっとした悪事が行われていたのかも…

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。


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