日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 二十五
・諸国が滅んだ理由
臣が、
深く懼(おそ)れますのは、
佐魯麻都(さろまつ)のことです。
ただこれ、
韓の腹ですが大連の位に居て、
交えて日本の執事の間に入り、
栄えて貴い列にはいりました。
それなのに、
今は、
反して、
新羅の奈麻礼冠に着き、
即、
心身ともにしたがっているのは、
たしかなことです。
よくよく所作を観ると、
まだ怖畏(ふい)することは無いでしょう。
故に、
前に悪行を奏した時に、
具に録して申し終えました。
今もなお、
他の服を着て、
日に日に新羅の城に赴き、
公私に往還して、
かつて、
憚(はばか)るところがありません。
㖨国(とくのくに)が滅んだのは、
他でもありません。
㖨国の函跛旱岐(がんへかんき)が、
加羅国に二心があり、
新羅に内応し、
加羅は外と合戦しました。
これによりて滅びました。
もし函跛旱岐が、
内応しなかったなら、
㖨国は少なくとも、
必ず亡びることがなかったことでしょう。
卓淳(とくじゅん)に至っても、
また、
おなじことでした。
仮に卓淳国主が、
新羅に内応して外敵を招いたりしなかったら、
けっして滅びに至らなかったでしょう。
諸国の敗亡の禍の歴を観ると、
皆、
内応や二心が原因です。
今、
麻都等は、
新羅の腹心となり、
遂にはその服を着て、
旦夕(たんせき)往還して、
ひそかに奸心(かんしん)を構えています。
乃ち、
恐れるのは、
任那がこれにより
永に滅んでしまうのではないかと。
任那がもし滅んでしまったら、
臣の国は独りとなり危うくなります。
朝したいと思っても、
どうしてまたできましょうか。
天皇に伏して願うは、
はるかにてらし、
遠くを察して、
速やかに、
本処に移して、
任那を安(やす)んじてください」
といいました。
・怖畏(ふい)
おそれおののくこと。畏怖
・旦夕(たんせき)
朝と晩。朝も晩も。始終
・奸心(かんしん)
ねじけた心。よこしまな心。邪心
・内応(ないおう)
内部の者がひそかに敵と通じること。内通。だいおう。
・二心(ふたごころ)
味方や主君にそむく心。裏切りの心。にしん。
(感想)
臣が、
深く恐れますのは、
佐魯麻都のことです。
ただこれ、
カラクニ生まれですが、
大連の位に居て、
交えて日本の執事の間に入り、
栄えて富貴い列にはいりました。
それなのに、
今は、
反して、
新羅の奈麻礼冠に着き、
即、
心身ともに新羅に従がっているのが、
確かなことです。
よくよく所作を観ると、
まだおそれおののくことは無いでしょう。
故に、
前に悪行を報告した時に、
具体的に記録して申し終えました。
しかし、
今もなお、
新羅の服を着て、
日に日に新羅の城に赴き、
公私に往還して、
かつて、
憚(はばか)るところがありません。
㖨国が滅んだのは、
他でもありません。
㖨国の函跛旱岐は、
加羅国に二心があり、
新羅に内応して、
新羅軍を㖨国内に引き入れたので、
来援した加羅は、
外の国と合戦することとなりました。
これによって、
㖨国滅びました。
もし函跛旱岐が、
内応しなかったなら、
㖨国は少なくとも、
必ず亡びることがなかったことでしょう。
卓淳に至っても、
また、
同じことでした。
仮に卓淳国主が、
新羅に内応して外敵を招いたりしなかったら、
けっして滅びに至らなかったでしょう。
諸国の敗亡の禍の歴史を観ると、
皆、
内応や二心が原因です。
今、麻都等は、
新羅の腹心となり、
遂にはその服を着て、
始終、往還して、
密かに邪心を構えています。
乃ち、
恐れるのは、
任那がこれにより
永久に滅んでしまうのではないかと…
任那がもし滅んでしまったら、
臣の国は孤立し危うくなります。
朝貢したいと思っても、
どうしてまたできるでしょうか。
天皇に伏して願うは、
世界を遥かに照らし、
遠くを察して、
速やかに、
麻都らを本処に移して、
任那を安(やす)んじてください」
といいました。
諸国の敗亡の禍の歴史を観ると、
皆、内応や二心が原因…
皆、内応や二心が原因…
今、
内応や二心…
している方々は、
今一度、
歴史を振り返って欲しいものです。
明日に続きます。
読んで頂きありがとうございました。
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