リートリンの覚書

魏志倭人伝・現代語訳25 卑弥呼



魏志倭人伝・現代語訳 25



卑弥呼

原文

其国本亦以男子為王、住七八十年。
倭国乱、相攻伐歴年。
乃共立一女子為王。
名曰卑弥呼、事鬼道、能惑衆。
年巳長大、無夫婿、有男弟佐治国。
自為王以来、少有見者。
以婢千人自侍、
唯有男子一人給飲食、伝辞出入。
居処宮室・楼観、
城柵厳設、常有人持兵守衛。

書き下し文

その国は本(もと)も
亦(また)男子を以て王となし、
住(とど)まること七、八十年なり。
倭国乱れ、
相攻伐(こうばつ)して
年を歴(へ)る。
乃ち共に一女子を立てて王となす。
名づけて卑弥呼(ひみこ)といい、
鬼道(きどう)に事(つか)え、
能(よ)く衆を惑わす。
年已に長大にして夫婿(ふせい)なく、
男弟あり国を佐治(さじ)す。
王となりてより以来(このかた)、
見(まみ)ゆる者あるは少なし。
婢(ひ)千人を以て自ら侍(まも)り、
唯(ただ)男子一人ありて飲食を給し、
辞(ことば)を伝えて出入す。
宮室・楼観(ろうかん)に
居処(きょしょ)し、
城柵(じょうさく)は厳しく設け、
常に人あり兵(はもの)を持ちて守衛す。

現代語訳
 
その国は始め
すべて男子を王としていました。
七、八十年とどまっていました。
 
倭国が乱れ、
互いに攻撃しあい、
長い年月が続きました。
 
そこで一女子を王として立てました。

名前は卑弥呼といい、
鬼道に行い、
うまく人々を惑わしました。
 
年は高齢で夫はおらず、
弟がいて政治をたすけ国を治めていました。
 
王となって以来、
お会いした者は少なく。
 
侍女を千人を用いていましたが、
能動的にお側使いしていました。
 
ただ男子一人がいて、
飲食を運んだり、
辞(ことば)を伝えたりするため、
出入していました。
 
宮室・楼観(ろうかん)に住んでおり、
そこは城柵(じょうさく)を厳しく設け、

常に人いて、
武器を持って守衛しています。
 


・本(もと)
おこり。はじめ。
・亦(また)
すべて
・攻伐(こうばつ)
攻撃
・鬼道(きどう)
あやしげな術。妖術。魔術などの意味の他、
中国において、鬼とは本来死者の霊魂、幽冥の世界における霊的存在を意味し、鬼神の世界を貫く原理法則を(鬼道)という。一方巫覡(ふげき)などの行う呪術および国家非公認の呪術的宗教もまた鬼道といわれる。
・夫婿(ふせい)
・佐治(さじ)
政治をたすけて国を治める。
・宮室
宮殿
・楼観(ろうかん)
たかどの。ここでは祭祀をする建物。
・居処(きょしょ)
居所、身を置く所。
・城柵(じょうさく)
砦、城
・兵(はもの)
武器。兵器
・守衛
建物などの施設で人の出入りを監視し警備する。 





ランキングに参加中。励みになります。
ポッチっとお願いします。
 にほんブログ村 歴史ブログへ

参考

かくも明快な魏志倭人伝 木佐 敬久
富士房インターナショナル

倭人・倭国伝全釈 鳥越 憲三朗
中央公論新社

Wikipedia

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

最近の「魏志倭人伝・現代語訳」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事