僕は名もない凡人でいたい

バイオリン オペラ 文芸 旅行 絵……そして、日常。白血病闘病記も

にわかファン、なれど

2016年05月24日 | エッセイ
来月、及川光博さん(以下ミッチー)のコンサートに行く。
友人がファンであり、私は付き合いという名目なのだが、せっかくだから思い切り楽しみたいので予習をしているところ。

なんとなく、彼女がこの人を好きになった理由もわかる気がしてくる。
歌詞や表現は軽い感じなんだけど、それはあくまで演出であって、本当はすごく真面目な人なんだなぁ。

ミッチーのCDを聞きながら、コンサート当日に友人とおそろいで身に着けるためのシュシュを作った。
戸棚の奥で化石化していたミシンを、数年ぶりに引っ張り出して。

Tちゃん、昨日は弱気なこと言ったけど、なんとかできましたよ
コンサート楽しみ

何故、こんなに私は頭が悪いのか

2016年05月19日 | エッセイ
今、私は、論文を書き出す前の段階「論文を批判的に読む・考察する・書く」という内容の科目に取り掛かっている。
論文は、美術史や伝統文化、文芸から自由に選べるので、もちろん私は文芸を選択している。
ノーベル文学賞候補の一人ミラン・クンデラという作家の研究論文なのだが、これを読む前に、先行研究を探して読まなければならないし、この作家自身の作品もいくつか読む必要がある。

これが厄介で、私の脳みそにとっては難解すぎて、ちっとも頭に入ってこないのである。

すごく簡単なことを、すごく難しく言っているだけのような気もするんだけど……それだけではないような……。
当ブログのプロフィールに好きな本は『ジャン・クリストフ』と書いたが、ロマン・ロランを読むのにも相当苦労した。

「どうして、私の頭はこんなに悪いのかな?」

答えようのない問いを、夫に投げかけたことがある。

「努力が足りないの? それとも遺伝? 生まれた環境なのかな?」

「libちゃんは頑張ってるよ」

ありがとう。
まぁ、そうなんだけど。

私は、私なりに頑張ってはいるんだけど、自分の努力ではどうにもならない決定的なものがあると思う。
だって、同じ人間なのに、自分の脳がアインシュタインやモーツァルトやダヴィンチと同じとは思えない。
相手は「天才」だから、と言えばそれまでだけど。

その後、私と夫は、脳の遺伝性やメカニズム、子供の教育環境によってどう変わるか、などについての考察をした。
(私たち夫婦は、こんな会話にばかりいつも夢中になる)

ところで、私の母にはディスレクシア(字が読めない・書けない)の疑いがある。
私は、母が自分の名前以上の何かを書いているのを見たことがないし、大事な書類にサインするのにも常に家族に書かせていたので、おそらくほとんど事実だと思う。
ディスレクシアは、遺伝性が否定できないそうだ。
私のしゃべり方がゆっくりなのも(自分ではそう思っていないがよく言われる)、ディスレクシア的脳の使われ方と関係があるのかもしれない。

でもこれは、全然悲嘆するようなことではない。
最終的には、死ぬまで生きていければ、それでいいわけだから。

そう思いつつも、やはり、
何としても「読解したい」という欲求が満たされないうちは、人の何倍も頑張らないと自分はだめなんだ。

そうして今日も、脳に汗をかいているわけです。

眼科に行った

2016年05月19日 | エッセイ
目がさめたら左瞼がぷっくりと腫れていた。
痛みはなかったが、一先ず、近所のS眼科へ足を運ぶ。

S眼科医院の自動ドアは反応が悪い。
『ここを強く長めに押してください』
と、ビニールテープに手書きで書いてあるドアボタンをグッーと強く長めに押すと、ヴィィイーと音をたてながらドアがゆっくりと開く。
こんな状態なので、なかなか開かないドアの外で、立往生している患者さんも少なくない。

中に入ると、受付や看護師はおらず、無人の受付ボックスに診察券と保険証を入れる。
病院内は、物が煩雑に置かれていて、およそ片付けられているとは言えない状態だ。
ここは、受付から検査、診察、会計までを、強面の老医師が一人できりもりしている個人病院なのである。

私が初めてここを訪れた時、(やばいとこに来ちゃったなー)というのが正直な気持ちだった。
自動ドアが壊れかけているだけでなく、雑然と置かれた書類の山や、コンタクトをはめるのに使う水道の蛇口が壊れている事、駅ビルの中にあるのに患者がほとんどいない事など、見るからに病院としての機能が行き届いていない感じが漂っている。

眉目のはっきりとした強面の先生は、私と目を合わさず早口で、検査を進めていく。
目を合わさず早口、という態度に
(本当にちゃんと見てくれているのだろうか)
と不信に思うと、先生は心を読むのか、急に'笑顔’で話し出す。
(実はものすごいシャイな人なのだろうか?)とか
(いやいや、医者でシャイはないだろう)とか
考えていると、またしても心を読むのか、急に目を合わせて笑顔で話し出す。

しかし、診察内容はとてもわかりやすく親切、高潔な人格が垣間見え、よく見ると(若い頃はハンサムだったのでは?)と思わせるキリリとしたお顔で、私はなんとなくこの風変りな先生が好きになった。

瞼が腫れた時の診察もまた、変わったものだった。
光を当てる検査をした後、先生はいつも通りの早口で、診察内容を話し始めた。
その時、私と先生との間には黒い眼科のスライド式診察台が立ちはだかっていたため、私は先生が話している間ずっと、首を左ななめ45°に傾けなければならなかった。

「考えられることは2つあります。ひとつは虫に刺された、もうひとつはストレス性のアレルギーによって起こる『血管性浮腫、クインケ浮腫』です。虫に刺されていれば穴があるはずですが、それは見当たらないのでクインケ浮腫の方でしょう。疲れている時に何か食べませんでしたか? 青魚かカニやエビなど、あるいは腐った魚は? あ、腐った魚は食べないか(笑顔……すぐに強面に戻る)。そういった身に覚えのあるエピソードはありませんか?」

「言われてみれば、昨日は魚を」

「(話をさえぎって)とにかく、ストレスが多いと感じる時にはアレルギーの元になるものは食べないことです。急性の場合は冷やして、慢性の場合は温めてください。これは数日で治るものです。重大な病気というわけではありませんから、心配しなくて大丈夫です」

とても丁寧で優しい診察!
たいした病気でもない病名を、こちらが聞かなくてもちゃんと教えてくれるなんて!
(話はさえぎられたけど、笑)

私は、診察中、笑いをこらえるのに必死
だって、黒い診察台は先生との間に立ちはだかったまま、私の首は傾いたままだったから。
客観的に想像すると、おかしすぎる