『ありがち日記』

恩田陸『失われた地図』

解釈の難しい本です…


ストーリー:
これはかつて失われたはずの光景、人々の情念が形を成す「裂け目」。かつて夫婦だった鮎美と遼平は、裂け目を封じることのできる能力を持つ一族だった。息子の誕生で、二人の運命の歯車は狂いはじめ……。 

異能力者のお話。恩田さんだと常野シリーズを思い出します。何となく似ているような気もしましたが、これは続くのかしら…?どうもそうではなさそうで、だとしたら不完全燃焼気味です。

かつて軍の重要拠点だった場所にできる裂け目。そこから「グンカ」という過去の戦争にまつわる亡霊みたいなものが出てくるのですが、その裂け目を封じる能力を持つ一族のお話です。説明があるわけではないので、何となく読みながらそうなのかな?って推測しながら読み進めていました。どうやら、能力を持った者同士で結婚し子供を設けることは一族の中ではタブーだったようで、遼平と鮎美との息子である俊平に異変が起きます。そのせいで、夫婦関係を解消することになります。具体的なところまではっきりとは書かれていませんが、俊平は一族の中でも特殊な能力を持って生まれてしまったようです。

そんな中、裂け目を封じる仕事でも異変が見え始め、遼平たちは不安を抱き始めます。それは裂け目の大きさ、グンカの数など、現代の不安に呼応するかのように目に見えて変わってきていました。これからの日本に向けた警鐘とも言えそうですし、そうなると俊平君は未来の希望ということなんでしょうか…?

いよいよこれから明らかになりそうなところで終了してしまったので何とも言えませんが、そうであって欲しいなと思います。

そんなに分量が多くないので、東京との往復新幹線移動の間にさくさくと読めてしまいました。東京へ行った目的についてはまた後ほど…

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