これは、おとぎばなしだと思いました。
まるで現実感がないんですもん。
🌟🌟🌟
最初に出てくる、主人公が暮らす日本の家は、
由緒ありげな立派なお屋敷。生活感なさすぎだし。
一昔前のバンコクは、息苦しいほどに異国情緒たっぷり。
アバンチュールの相手の女は、ミステリアスで正体不明。
彼女は高級ホテルのスウィートルームに住んでいて、
自由きままに暮らしている。
奔放な関係も、彼女からしかけてきた。
途方もなくお金持ちだということは、雰囲気からもわかるけど??
🌟🌟🌟
主人公の結婚の日が迫ってきて、
最初からわかっていた恋の終わりが訪れます。
お互い遊びと割りきっていたのに.....
祝福されて、いよいよ結婚。
しかし、気分が沈んでいくばかりの主人公。
交際中は、アバンチュールにふさわしく、ドライに振舞ったこともあった。
しかし、お互いの心に芽生えてきた、相手を束縛したい心。
これに苦しみ、やがて二人の関係はこじれ始め....
🌟🌟🌟
一時は壊れたかに見えた二人の仲。
しかし、別れは辛いものでした。
自分の心をだまし、無理に断ちろうとする主人公。
それにすがりつく彼女。
あまりにもピュア....
どこから見ても、彼らは普通の恋人同士でした。
🌟🌟🌟
そして、25年後。
ここで物語は一転します。
前半のスリルと熱情はどこへ?
🌟🌟🌟
主人公は家庭をもち、会社では社長にまで出世し、
これ以上ない成功をおさめています。
しかし、顔からは生気が消え、まるで脱け殻のようになっている。
ただ、惰性のままに送っている日々.....
しかし、再び訪れたバンコクの、思い出のホテルで
なんと彼女に再会します。
彼女は昔とは一変していました。
服装も、そして言葉遣いも。
🌟🌟🌟
意外なことに、彼女はそのホテルの従業員になっていて(ええーっ?😵)
お客様係として彼を迎えたのでした。
昔はやりまくっていたのが嘘のように、
清い逢瀬を重ねる二人。
やがて彼女は病気で亡くなるのですが......
彼は一切を知らされておらず。
その時は受けた耐え難い衝撃も、やがては癒えてゆき......
🌟🌟🌟
そしてラストシーン。
まるで風のように突然、彼の人生に現れ、
消えていった彼女を偲ぶ。
アイシテイル。幻の中の彼女と言葉を交わす。
かつては決して言えなかった言葉を。
......そんな内容だったのですね。
🌟🌟🌟
後半はいらない👋😞❗と言ってる人もいましたが
後半こそが、この話をおとぎ話たらしめている所以。
確かに、前半の、あまりにも日常とかけ離れた舞台。
熱情のままのアバンチュール。
これだって十分おとぎ話っぽいのですが.....
後半は、お金持ちの彼女がホテルに勤めてるとか。
ねえ?おかしいよね。
この変貌は、ありえないでしょう。辻褄があわない。
唐突に亡くなるのも、無理やりな展開。
どう考えてもナンセンスなのです。
現実味がない。
🌟🌟🌟
ひょっとして、後半は、主人公の夢なのではないかと思っちゃう。
年を取るにつれ、現実に埋もれ、現実の成功は得たものの、
夢をなくしてしまった主人公。
............その彼が見た、夢なのです。
手に届くところにあるものは、夢にはなり得ないよね?
たとえどんなに愛していても、
妻や、子どもたちや、仕事は、現実。
夢とは対局のところにあるので。
🌟🌟🌟
25年間離ればなれだった。
そして、ついには死んで永遠に会えなくなった.....
そのことで、彼女は、彼にとって永遠の夢になった。
手にしようとしても、もはや届かないもの。
彼の心の内の、特別な、神聖な場所に住む、
決して侵されない存在になったのでした。
🌟🌟🌟
女性にとっての夢じゃない。これは男の夢を紡いだおとぎ話なのです。
現実だけでは生きていけない。男の人生には、必ず要るものなんだろう。