ボンボンを買いに・・・

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サヨナライツカ。熱いアバンチュールと、永遠に届かない夢のはなし。

2018-08-18 16:40:28 | 日記



これは、おとぎばなしだと思いました。

まるで現実感がないんですもん。


🌟🌟🌟


最初に出てくる、主人公が暮らす日本の家は、

由緒ありげな立派なお屋敷。生活感なさすぎだし。

一昔前のバンコクは、息苦しいほどに異国情緒たっぷり。

アバンチュールの相手の女は、ミステリアスで正体不明。

彼女は高級ホテルのスウィートルームに住んでいて、

自由きままに暮らしている。

奔放な関係も、彼女からしかけてきた。

途方もなくお金持ちだということは、雰囲気からもわかるけど??


🌟🌟🌟


主人公の結婚の日が迫ってきて、

最初からわかっていた恋の終わりが訪れます。

お互い遊びと割りきっていたのに.....

祝福されて、いよいよ結婚。

しかし、気分が沈んでいくばかりの主人公。

交際中は、アバンチュールにふさわしく、ドライに振舞ったこともあった。

しかし、お互いの心に芽生えてきた、相手を束縛したい心。

これに苦しみ、やがて二人の関係はこじれ始め....


🌟🌟🌟


一時は壊れたかに見えた二人の仲。

しかし、別れは辛いものでした。

自分の心をだまし、無理に断ちろうとする主人公。

それにすがりつく彼女。

あまりにもピュア....

どこから見ても、彼らは普通の恋人同士でした。


🌟🌟🌟


そして、25年後。

ここで物語は一転します。

前半のスリルと熱情はどこへ?


🌟🌟🌟


主人公は家庭をもち、会社では社長にまで出世し、

これ以上ない成功をおさめています。

しかし、顔からは生気が消え、まるで脱け殻のようになっている。

ただ、惰性のままに送っている日々.....

しかし、再び訪れたバンコクの、思い出のホテルで

なんと彼女に再会します。

彼女は昔とは一変していました。

服装も、そして言葉遣いも。


🌟🌟🌟


意外なことに、彼女はそのホテルの従業員になっていて(ええーっ?😵)

お客様係として彼を迎えたのでした。

昔はやりまくっていたのが嘘のように、

清い逢瀬を重ねる二人。

やがて彼女は病気で亡くなるのですが......

彼は一切を知らされておらず。

その時は受けた耐え難い衝撃も、やがては癒えてゆき......


🌟🌟🌟


そしてラストシーン。

まるで風のように突然、彼の人生に現れ、

消えていった彼女を偲ぶ。

アイシテイル。幻の中の彼女と言葉を交わす。

かつては決して言えなかった言葉を。





......そんな内容だったのですね。



🌟🌟🌟



後半はいらない👋😞❗と言ってる人もいましたが

後半こそが、この話をおとぎ話たらしめている所以。

確かに、前半の、あまりにも日常とかけ離れた舞台。

熱情のままのアバンチュール。

これだって十分おとぎ話っぽいのですが.....

後半は、お金持ちの彼女がホテルに勤めてるとか。

ねえ?おかしいよね。

この変貌は、ありえないでしょう。辻褄があわない。

唐突に亡くなるのも、無理やりな展開。

どう考えてもナンセンスなのです。

現実味がない。


🌟🌟🌟


ひょっとして、後半は、主人公の夢なのではないかと思っちゃう。

年を取るにつれ、現実に埋もれ、現実の成功は得たものの、

夢をなくしてしまった主人公。




............その彼が見た、夢なのです。




手に届くところにあるものは、夢にはなり得ないよね?

たとえどんなに愛していても、

妻や、子どもたちや、仕事は、現実。

夢とは対局のところにあるので。


🌟🌟🌟


25年間離ればなれだった。

そして、ついには死んで永遠に会えなくなった.....

そのことで、彼女は、彼にとって永遠の夢になった。

手にしようとしても、もはや届かないもの。

彼の心の内の、特別な、神聖な場所に住む、

決して侵されない存在になったのでした。


🌟🌟🌟


女性にとっての夢じゃない。これは男の夢を紡いだおとぎ話なのです。

現実だけでは生きていけない。男の人生には、必ず要るものなんだろう。