ところで、この本を最近読んでた。
この中野京子さんの歴史読み物は近年の私のお気に入り。
以前は桐生操とか。ね?好きだったけど。でもあの人ほど「エロい・グロい」に傾いてなくて、
しかも絵画にかぶせて歴史語りしてくれるところが好き。
その昔の澁澤龍彦さんのエッセイを思わせる。こういうの、待ってました!てカンジ。
表紙は中野さんらしく、ベラスケスの「ラス・メニーナス」。
ここに描かれているのは、私の大好きなあの子・・・・
おそらく美術史上もっとも有名な少女、といって差し支えないと思う。
マルガリータ王女。そして当然、本文中にもその物語が。
中野さんが好んで取り上げるテーマ、落日のスペイン・ハプスブルク家の話。
高貴な血を守ろうとするあまり、近親結婚を繰り返し、自ら滅亡を招いた。
300年以上も昔のヨーロッパ王家の物語・・・。
でよ、このマルガリータの肖像画であるけれど、見れば明らか。
年を追うに従ってどんどん面長に、そしてしゃくれ顎になっていく。
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幼女の頃の、あのぽっちゃり丸々とした愛らしい面影はどこへ?・・・
っっつっても、なぁ。なんのことはないんやで。
子どもの頃は誰だってぷっくりしていてぽっちゃりさん。な?今もそうやん。
300年も昔の異国のお姫様、マルガリータも成長するにつれ、両親に似てきた。
ただそれだけのことなのや。
はちきれそうな愛くるしさにあふれていた子ども時代にはわからなかったものの、
成人してみれば平凡な容姿・・・
いやもしかしたら、どっちか言えば「醜い」と言うてもエエやもしれん。
この最後の肖像画が描かれたのが20歳そこそこのとき、
女性としては最も美しい花盛りの年齢で、しかも当時の宮廷画家が
モデルを何割か美化して描くのが当たり前だったことを考えたらよ。
この目鼻立ちは恐れながら不細工の範疇かもしれず・・・(笑)
まぁおとぎ話ならいざ知らず、プリンセス、イコール、美しい。とはいかんわね。
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マルガリータの父(フィリペ4世)と母(マリアナ)
マルガリータのこの顔(面長でしゃくれ顎)はハプスブルク家の特徴だったらしく、
当時としても「美形」とは言い難かったそうな。
できることならわが子には似てほしくないと思うのが人情、
ならば王としては美貌の妻をめとればよい。と思うだしょ?
それができたら苦労はしないつうの。
同族で結婚を繰り返さざるを得ない、鉄の掟が当時のヨーロッパにはあったのさ。
それでもマルガリータは、まだよかった。
目に見える近親結婚の弊害つうたらこのしゃくれ顎くらいでよ、まだマシだったとも言えるのだ。
なんつうても彼女のきょうだいたちに比べたら・・・
その被害を被った加減といったら目を(いや耳を?)覆わんばかりの痛ましさでアルよ。
彼ら自身は何も悪いことはしていない。正真正銘、100%の「被害者」・・・。
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マルガリータの弟:カルロス2世
当時のヨーロッパ勢力図のというか、スペイン王家のというか、医学的知識の無さの、というか、
とにかく今の世ではここまで近親結婚を繰り返すなんて無謀としかいいようがない、
絶対にありえない。
こんなことが、過去に本当にあったんスからねぇ・・・・
しかしあらためて、ベラスケスが描いたこの幼い王女の愛らしさはどうやろう。
こんな勝手な大人の事情で、実は暗い宿命を背負っている・・・
そんなのは聞かなければわからないくらいに、天真爛漫な子どものかわいらしさに満ちている。
子どもなら誰もが持っているこの愛らしさに加え、富も栄光も、
この世のきらめきを一身に集めたようなプリンセスのオーラ・・・
それを余すことなく表した、ベラスケスでかしたぞ!(笑)っっって、
でもよ、それにつけても惜しまれるのは我が国にこういうプリンセスの肖像画が無いこと。
少なくとも私は見たことが無いのやけど、これも文化・習慣の違いやろかねぇ。
そう、次は我が国の、あの大名作の近親結婚の話を、次は取り上げたいと思うだす。(。・ω・。)
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