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実は地デジ化以降、あえて繋げていないのでテレビを一切観なくなった。
そのお陰で、暗いニュースを意図せず目にすることもなく、安穏と暮らしているけれど、反面、世の中の状況がわからないことも多々あり。
もっぱら、ドキュメンタリー番組をアプリで観る生活。
(キミーに言わせると「苦難に立ち向かうヒトのドキュメンタリー好き」らしい。確かに。)
最近観た3作品が非常に良かったのだけど、全く作品が作られた歴史的背景を知らずに過ごしていて、恥ずかしくなった。
もちろん行ったことのない、カザフスタンやアブハジアの話だし、知っている方が珍しいかもしれないけど。
現在の戦争のこともあるし、国同士のあれやこれやになんだか切なくなっています。
どの作品も、とてもシンプルだけど、とても大切なことが語られている非常に素晴らしい。
ずいぶん遅れてみた作品だけど、観てよかった。
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「みかんの丘」
ジョージア西部のアブハジアでエストニア人が昔から住む集落。ジョージアとアブハジア間に紛争が勃発し、多くのエストニア人は帰国したが、みかん栽培をする二人の老人イヴォとマルガスは残っている。マルガスはたわわに実ったみかんの収穫が気になるからだが、みかんの木箱作りのイヴォは本当の理由を語らない。
ある日、彼らは戦闘で負傷した二人の兵士をイヴォの自宅で介抱することになる。ひとりはアブハジアを支援するチェチェン兵アハメド、もうひとりはジョージア兵ニカで敵同士だった。彼ら同じ屋根の下に敵兵がいることを知り、互いに殺意に燃える。イヴォが家の中では決して戦わせないというと、家主が力を持つコーカサス人のしきたりにのっとり、兵士たちは約束する。イヴォの手厚い介抱によって彼らはしだいに回復してゆくとともに、敵兵に人間として関心を深めてゆく。そしてアブハジア人がイヴォの自宅を訪れる・・・
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「とうもろこしの島」
1992年から、ジョージアとそこからの独立を主張するアブハジアは激しい戦争状態にあった。両者の間にはエングリ川が流れている。この川は春の雪解けとともにコーカサス山脈から肥沃な土を運び、中洲を作る。両岸で敵同士がにらみ合い、銃弾飛び交う中、今年もアブハズ人の老人は、とうもろこしの種を蒔いて、苗を育てる。今年は戦争で両親を亡くした孫娘も一緒だ。
しかし戦闘が激しくなる中、ある日、彼らはとうもろこし畑で傷を負った若いジョージア兵を発見する・・・・・・。深い森と大河の悠々とした流れ、ときおり聞こえる銃声、とうもろこしを黙々と育てる老人、孫娘の成長・・・・・・台詞を極力抑えて、大自然のめぐりと人間の営みを対比させ、戦争の意味を問う寓話的傑作。
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「草原の実験」
1950年代、ソ連に属するある国の辺境。美しい少女は、父親と共に草原の中の一軒家で暮らしている。少女の心が緩やかに成長すると共に、家の周囲では不穏な空気が漂い始める。実際に起きた恐ろしい事件を、壮大な自然と共に淡々と描く。