そりゃ本当にあんまりじゃない

「無数うの青年が将来に向かい

　　夢みつつ、朝の蛍のごとく

　　　薄れて消えていくが」

僕でも、「疑惑と恐怖」を抱く、けれども？

人間が一生をかけて黙々必死に、一つの事を精通したら？

冴えた頭脳、憂鬱のとばりの向こうから

　楽しい言葉が回りに飛び散る。

　　　「綺麗な姉ちゃんも

　　　　　かわいいお子様も、見ていってちょだい！」

　　竹を割ったような気性は、大抵神経の粗雑な人間を指すが。

「へい、いらっしゃい！

　　バナナはお安いよ

　　　女性も男のたんかに、身もとろける勢いがある。」

　そこにもここにもある代物じゃないよ。

　台湾の直輸入だで、ほんものだ。

ツ～んとしている姉ちゃんも。

　そこそこ？

　　　無視して通りすがる兄ちゃん。

　　　そりゃ本当にあんまりじゃない。

　　　山賊じゃないだから？

　　　　全裸にしておっ放しするんじゃないだ。

　　　ずぃーと前に来て頂戴。

　　　ほう、目の前に来るといい男じゃない。

　　姉ちゃんもたくさんいるんだから、好きな子を寄りごろみ選んでよ。

ありゃ、先着があるの！

女の子は売れちまったんで。

　バナナはまだ売れてないよ。

　　バナナからウインクしているじゃない。

　　この子はえり好みはしないよ。

　　持って行ってちょうだい。

　↓

　　まずひゃ300円から。

　　ありゃ、早いね。

　　　もう手付をうったね。

　　　お兄ちゃん、本当に肝っ玉がいいね。

　　お客も気張ってちゅだい。

　　男は度胸、女は愛きょう！

　　黙って帰すのは私の心が痛む。

　　200円、100円と値を下げても。

　　目の前の姉ちゃんが色気ずいて。

　　　イヤよ！

　　　　　イヤよ！

　　　いけずする態度に私は我慢できない。

　　ありゃまあ、兄ちゃんいい子を選びな？

　　姉ちゃんで地獄を見たら駄目だ。 

　　 ああ、この世の無情！ 　

　 　　

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