中国の習近平氏にノーベル平和賞を与えるなんて!
世の中がひっくり返ってもあり得ないことでしょう。あきれてものも言えなくなります。
中台首脳会談】習近平・馬英九両氏にノーベル平和賞? 「南北首脳会談と遜色ない」との過大評価に失笑も 産経新聞
1949年の分断後、初の中台首脳会談を7日にシンガポールで行う中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が将来、ノーベル平和賞を受賞する可能性があるという。
中国の専門家の意見だが、2000年の南北首脳会談を引き合いに出す過大評価に、中国国民の間からは失笑が漏れている。(北京 川越一)
◇
習氏と馬氏のノーベル平和賞受賞を唱えているのは、中国の名門、清華大学公共管理学院の台湾研究者、鄭振清助教授。鄭助教授はシンガポールの中国語紙「聯合早報」に対し、
こう語っている。
「任期中に両岸(中台)の指導者の歴史的な会談を実現させたことは、馬英九氏の歴史上の評価を高める。習近平氏にとってもプラスポイントとなる。
大陸の世論は習氏に肯定的で、習氏が体現した指導者としての勇敢な精神も、指導者の大きな格を示している。ノーベル平和賞を受賞する価値があると思う」
鄭助教授がよりどころとしているのは、2000年6月に北朝鮮の首都、平壌を訪問し、北朝鮮の金正日朝鮮労働党総書記(当時)との間で、
史上初の南北首脳会談を実現させた韓国の金大中大統領(当時)が、同年のノーベル平和賞を受賞したこと。
当時、ノルウェーのノーベル賞委員会は金氏の受賞理由として、「韓国および東アジアの民主主義と人権の発展、特に北朝鮮との和平と和解への努力」を挙げていた。
鄭助教授は「今回の中台首脳会談(の価値)は朝鮮半島の指導者の2000年の会談に遜色がない」と持ち上げている。
◇
中国のインターネット上には、「われわれの習大大(おじさん)は本当に人々を感服させる」など、鄭助教授の主張を支持する意見もあった。
しかし、目につくのは、「いったいどっちが金正日なんだ? 習氏か? それとも馬氏か?」「孔子平和賞を与えるべきだろう」などと、
両首脳のノーベル平和賞受賞の可能性を一笑に付す声だ。
孔子平和賞とは、中国の民主活動家、劉暁波氏=国家政権転覆扇動罪で服役中=が2010年にノーベル平和賞を授与されたのに対抗し、
中国の価値観で「世界平和」に貢献した人物を顕彰しようと、中国の大学教授らが同年、突然創設した賞だ。
これまでに台湾の連戦元副総統、ロシアのプーチン大統領、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長らが受賞してきた。今年度は、国際社会から
「独裁者」と批判されているアフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領が選ばれるなど、およそノーベル平和賞とは無縁と思われる顔ぶれが並んでいる。
さらに習氏の痛いところを突いているのが、「もしノーベル平和賞が欲しいのならば、まずはノーベル平和賞の受賞者を解き放つべきだ」という意見だ。
その受賞者が劉氏を指すことは一目瞭然だ。
劉氏不在で授賞式が行われた2000年12月、温家宝首相(当時)の「過ちを犯した人や犯罪者であっても、人格を尊重しなければならない」との発言が注目された。
しかし結局、共産党政権は、中国が犯罪者と断じる劉氏の釈放を求める国際社会の声を無視し続けている。
◇
ちなみに、金大中氏は受賞決定後間もなく、経済危機や政権をめぐる不正疑惑などで支持率が急落。「民心が政権から離れつつある」「大統領の指導力に問題」
といった政権批判にさらされながら授賞式に出席した。
さらに、「北朝鮮との南北首脳会談を成功させ、朝鮮半島の緊張緩和に大きく貢献した」と称された「太陽政策」も、その後の評価は惨憺(さんたん)たる状況だ。
「太陽政策」とは、「旅人の外套を脱がすには、冷たい寒風ではなく暖かい太陽の光」というイソップ物語を手本に、
北朝鮮を変化させるには対決や封じ込めよりも支援や協力が有効だとして金氏が進めた、見返りなしの対北融和策だ。その結果は-。
期待された変化は起きなかった。北朝鮮は核兵器や長距離ミサイルの開発を進め、朝鮮半島情勢は今もなお緊張が続いている。南北首脳会談から
10年が経過した2010年版の「統一白書」では、韓国政府によって太陽政策は失敗と位置づけられている。
◇
「中華民族の偉大なる復興の実現」をスローガンに掲げる習氏の悲願は、中台の統一だ。しかし、馬氏は今回の中台首脳会談で、中台関係の
「現状と平和の維持」を再確認するとしており、劇的な進展は期待できない。
会談の内容によっては、台湾の独立勢力が勢いづく可能性も否定できない。来年1月に行われる台湾の総統選挙で政権が交代し、
次期総統が中国に対抗する姿勢を示せば、習近平政権に対する批判が中国国内で噴出しかねない。ノーベル平和賞に値する成果を挙げられる可能性は限りなく低いとみられる。
世の中がひっくり返ってもあり得ないことでしょう。あきれてものも言えなくなります。
中台首脳会談】習近平・馬英九両氏にノーベル平和賞? 「南北首脳会談と遜色ない」との過大評価に失笑も 産経新聞
1949年の分断後、初の中台首脳会談を7日にシンガポールで行う中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が将来、ノーベル平和賞を受賞する可能性があるという。
中国の専門家の意見だが、2000年の南北首脳会談を引き合いに出す過大評価に、中国国民の間からは失笑が漏れている。(北京 川越一)
◇
習氏と馬氏のノーベル平和賞受賞を唱えているのは、中国の名門、清華大学公共管理学院の台湾研究者、鄭振清助教授。鄭助教授はシンガポールの中国語紙「聯合早報」に対し、
こう語っている。
「任期中に両岸(中台)の指導者の歴史的な会談を実現させたことは、馬英九氏の歴史上の評価を高める。習近平氏にとってもプラスポイントとなる。
大陸の世論は習氏に肯定的で、習氏が体現した指導者としての勇敢な精神も、指導者の大きな格を示している。ノーベル平和賞を受賞する価値があると思う」
鄭助教授がよりどころとしているのは、2000年6月に北朝鮮の首都、平壌を訪問し、北朝鮮の金正日朝鮮労働党総書記(当時)との間で、
史上初の南北首脳会談を実現させた韓国の金大中大統領(当時)が、同年のノーベル平和賞を受賞したこと。
当時、ノルウェーのノーベル賞委員会は金氏の受賞理由として、「韓国および東アジアの民主主義と人権の発展、特に北朝鮮との和平と和解への努力」を挙げていた。
鄭助教授は「今回の中台首脳会談(の価値)は朝鮮半島の指導者の2000年の会談に遜色がない」と持ち上げている。
◇
中国のインターネット上には、「われわれの習大大(おじさん)は本当に人々を感服させる」など、鄭助教授の主張を支持する意見もあった。
しかし、目につくのは、「いったいどっちが金正日なんだ? 習氏か? それとも馬氏か?」「孔子平和賞を与えるべきだろう」などと、
両首脳のノーベル平和賞受賞の可能性を一笑に付す声だ。
孔子平和賞とは、中国の民主活動家、劉暁波氏=国家政権転覆扇動罪で服役中=が2010年にノーベル平和賞を授与されたのに対抗し、
中国の価値観で「世界平和」に貢献した人物を顕彰しようと、中国の大学教授らが同年、突然創設した賞だ。
これまでに台湾の連戦元副総統、ロシアのプーチン大統領、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長らが受賞してきた。今年度は、国際社会から
「独裁者」と批判されているアフリカ南部ジンバブエのムガベ大統領が選ばれるなど、およそノーベル平和賞とは無縁と思われる顔ぶれが並んでいる。
さらに習氏の痛いところを突いているのが、「もしノーベル平和賞が欲しいのならば、まずはノーベル平和賞の受賞者を解き放つべきだ」という意見だ。
その受賞者が劉氏を指すことは一目瞭然だ。
劉氏不在で授賞式が行われた2000年12月、温家宝首相(当時)の「過ちを犯した人や犯罪者であっても、人格を尊重しなければならない」との発言が注目された。
しかし結局、共産党政権は、中国が犯罪者と断じる劉氏の釈放を求める国際社会の声を無視し続けている。
◇
ちなみに、金大中氏は受賞決定後間もなく、経済危機や政権をめぐる不正疑惑などで支持率が急落。「民心が政権から離れつつある」「大統領の指導力に問題」
といった政権批判にさらされながら授賞式に出席した。
さらに、「北朝鮮との南北首脳会談を成功させ、朝鮮半島の緊張緩和に大きく貢献した」と称された「太陽政策」も、その後の評価は惨憺(さんたん)たる状況だ。
「太陽政策」とは、「旅人の外套を脱がすには、冷たい寒風ではなく暖かい太陽の光」というイソップ物語を手本に、
北朝鮮を変化させるには対決や封じ込めよりも支援や協力が有効だとして金氏が進めた、見返りなしの対北融和策だ。その結果は-。
期待された変化は起きなかった。北朝鮮は核兵器や長距離ミサイルの開発を進め、朝鮮半島情勢は今もなお緊張が続いている。南北首脳会談から
10年が経過した2010年版の「統一白書」では、韓国政府によって太陽政策は失敗と位置づけられている。
◇
「中華民族の偉大なる復興の実現」をスローガンに掲げる習氏の悲願は、中台の統一だ。しかし、馬氏は今回の中台首脳会談で、中台関係の
「現状と平和の維持」を再確認するとしており、劇的な進展は期待できない。
会談の内容によっては、台湾の独立勢力が勢いづく可能性も否定できない。来年1月に行われる台湾の総統選挙で政権が交代し、
次期総統が中国に対抗する姿勢を示せば、習近平政権に対する批判が中国国内で噴出しかねない。ノーベル平和賞に値する成果を挙げられる可能性は限りなく低いとみられる。