長い待ち時間

　大きな病院なので、診察券を受付機に通し、番号の紙を受け取ります。
　待合室のモニターに、自分の番号が表示されるまで待ちます。
　隣りにおばあさんが座りました。
　番号の紙を握っています。
　手を開いた時、番号が見えてしまいました。
　638。
　おばあさんは、その紙を丁寧に折り、ポーチの中にしまいました。
　ピンポーン。
　モニターから音が鳴り、新しい番号が表示されました。
　638。
　おばあさんの番号だ。
　おばあさんは、鞄から財布を出し、中を探っています。
　違う、ポーチだよ。
　番号呼ばれましたよ、と声をかけるわけにいきません。
　やがて看護師さんが来て、おばあさんの名前を呼びました。