↑「おおかみと七ひきのこやぎ」「三びきのこぶた」は福音館書店
「白雪姫」は西川書店の絵本です
昔話の研究者である小澤俊夫先生によると、
昔話の3回の繰り返しには大事な意味があるそうだ。
「おおかみと七匹の子ヤギ」や「三匹の子豚」などをつらつら思い返しても
3回めが鍵となる。
つまり3回、同じことがくり返されている。
なぜ3回もくり返すのでしょう?
「子どもは同じことを聞くのがとっても好き」というのがその答え。
同じことの繰り返しに子どもは安心するそうだ。
知っているものと出会うのが、子どもは大好き。
だから気に入った本があれば何度でも「読んで」といってくる。
そこには、なかなか深い意味がある。
子どもはどんどん成長していく。
そして「成長する」というのを別な言葉で言い換えると
「未知の世界に入る」ということ。
いままでハイハイしかできなかった子どもが、二本足で立てるようになる。
成長だけれど、子どもにとっては「未知の世界」でもある。
未知の世界に入るのは嬉しいけれど、不安でもある。
それで子どもは短い人生ですでに出会ったもの、見知ったものを手にとって、
読んでもらったり、触ったりして自分の人生を確かめて安心し
また前に進んでいく。
…ということです。
子どもが、すでに知っていることと出会うのは、成長していくうえで、とても大事なこと。
3回のくり返しは、じつはそこ、そういう意味がある!
1回聞いたことが、またくり返される。
そしてまた、くり返される。
そのことが子どもは楽しくてしかたがない。
知ってる知ってる。
ボクしってる。
話が白雪姫に戻るけれど、
まま母の女王が、毒リンゴ1回ではなく
じつは白雪姫を3回やっつけにくるという3回の繰り返しは、
そういう子どもの心のあり方にぴったりハマッているという話。
グリム童話では、3回のくり返しを、ほとんど同じ言葉で語っている。
文章の言葉やリズムはずっと同じ。
聴いてる子どもは、あれ、またまたー!
と、そこを喜ぶのだそうだ。
さて「3回の繰り返し」には、他の意味もあるそうです。
その話はまた次の機会に!
※シリーズの記事です。よろしければ!
白雪姫は3回殺される!~本当のグリム童話とは
昔話「3回の繰り返し」は身体にぴったりのリズム