echo garden

基本的に読書感想文です。

ナルニア国物語 ライオンと魔女 13

2006-03-11 02:57:27 | Weblog
 10 魔法のきずな、

 みんなは急いでコートをはおって、出発しようとすると、ビーバー奥さんが、「さあ、うちのだんなさんや、あのハムをおろしてちょうだい。ここのお茶のつつみと、あっちのお砂糖もくださいな。マッチもたのみます。どなたか部屋のすみの入れ物から砂糖を二つ三つとってくださいな。」と言うのでたまげました。
 「さあ、いそいでやりましょうよ、おながい、」とルーシィ。
 「はいはい、せかさないでね。食べ物をもたずに旅にでられないでしょ。新しいハンカチも取ってね。ミシンはすこし重いかしら。」
 「それは重いとも。すこし重すぎますよ。」とだんなさん。
 ミシンはあきらめて、その他の奥さんがまとめた荷物を持って、出発しました。
 一行は月明かりに照らされた、凍った川沿いの道を石舞台に向けて歩きました。
 ルーシィははじめはその幻想的な景色に見とれていましたが、しだいにかついでいる荷物がだんだん重く感じられ、それにつれてどこまでこうやって旅が続けられるか分らなくなりました。
 ビーバーさんの短い足がまるで永久に止まることがないかのように、雪の上をすたすた歩くのを見つめるのがせいいっぱいでした。
 すると、ビーバーさんが突然、雪の斜面のなかに吸い込まれていくのであわてて近寄ると、小さな洞窟が作られていて、そこに入っているのでした。
 「これは昔のビーバーがつくった非常用の避難場所です。いいところではありませんが、今夜はここで休憩しましょう。」と言いました。
 奥さんの持ってきたパンと飲み物をのんだ後、みんなはよりそって眠りました。
 朝、小さな鈴の音が聞こえて、みんなは飛び起きました。昨日からいつ聞こえるかとびくびくしていた、魔女のそりの鈴だと思ったのです。
 ビーバーさんは外に偵察に行きました。
 すると、「奥さん、アダムのすえの方々、出てらっしゃい、大丈夫ですよ!」と弾んだ声がしました。
 でると、そこには大きなトナカイにひかれたそりがありました。そして、そのそりに乗ってたひとは、見たとたんにみんなが分る人でした。ヒイラギの実とおなじあかるい赤の上着をつけ、内側が毛皮になっている頭巾をかぶり、滝のように胸にかかってる見事な白いひげをはやした、大きなおじいさんでした。
 「わたしはとうとうやって来たよ。」サンタクロースは言いました。魔女がわたしを随分ながい間しめだしてきたが、とうとうやって来たのだよ。アスランが動き始めている。魔女の魔法は弱くなってしまった。」
 みんなはクリスマス・プレゼントをもらいました。
 ビーバー奥さんは新しいミシン。
 ビーバーさんはダムの修理。
 ピーターは一個のたてと一振りの剣。それにはアスランの紋章が刻まれてました。
 スーザンは弓矢と角笛、それは吹けば、どこにいても助けがやってくる、というものです。
 ルーシィは短剣と、一滴飲めば、どんな傷も癒せる小瓶にはいった、薬酒。
 そして最後に、今、みんなが1番欲しいもの、といって、大きなお盆を取り出しました。
 その上には、湯気のたった紅茶と、お菓子が乗っていました。
 サンタクロースは「メリー・クリスマス!本当の王様万歳!」といって、走り去っていきました。
 
 

ナルニア国物語 ライオンと魔女 12

2006-03-10 22:32:21 | Weblog
 9 魔女のやかた

 みんなが話に夢中になっている間に、首尾よく抜け出してきたものの、エドマンドは後悔しかけていました。
 日はずんずん暗くなり、おまけに雪がまわりに渦巻いていたものですから、三歩前もみえません。
 たえずふかい雪だまりに落ちこみ、氷のはったぬかるみにすべり、倒れ木につまづき、急ながけをずりおち、岩根にぶつかって、手足をすりむき、体中が濡れて、寒くて、傷だらけになりました。
 しかし、自分が王子になったら、どうやってピーターの説教を取り締まろう、とか、ビーバーとダムを規制する法律をどう作ろう、とか(楽しい)考えをめぐらすことによって、なんとか元気を取り戻しました。
 やがて雪がやみ、北風に雲が吹き飛ばされ、満月があらわれたころ、前方に冷たい光に照らされた魔女の館が見えました。それはいくつもの尖塔の突き出たお城のようでした。
 近づいてみると、アーチ型の門の鉄製の大扉があいていたので、なかに入ろうとすると、ちょうどライオンが自分に飛びかかるところだったので、たまげました。
 しかし良く見ると、それは石像で、ほかにも小人や、きつね、セントールや巨人など様々な石像で庭は埋め尽くされていました。
 エドマンドはビーバーが魔女は生き物を石に変える、と言っていたのを思い出しました。
 石像をすり抜けて建物の入り口にくると、長々と一匹の狼が寝そべっていました。
 「これは石だから大丈夫、」と自分を安心させて、跨ごうとすると、突然起き上がって、「誰だ!怪しいやつ!」と叫びました。
 「お許しください!」エドマンドは心臓が飛び出さんばかりに驚いて言いました。「いつか森の中で女王様に会ったアダムの息子が参りました、とお伝えください、」
 やがて、その灰色オオカミ、魔女の秘密警察長官モーグリムがすたすたと戻ってきて、こう唸りました。「はいれ、はいれ、女王陛下のお気に入りの小僧だな。気に入られて幸運かどうかはわからんがね。」
 魔女はエドマンドの姿を見ると、「なぜ一人で参った、」とおそろしい声でいいました。
 エドマンドは、精一杯努力したこと、兄弟たちはビーバー夫婦と一緒にいること、アスランが石舞台にきてること、などを話しました。
 すると魔女は「何!アスランだと!」と叫ぶと、もうエドマンドには目もくれず、御者を呼び出しました。
 「今すぐそりの用意じゃ、鈴のない皮具をつけよ!」

 
 
 

ナルニア国物語 ライオンと魔女 11

2006-03-09 01:45:56 | Weblog
 8 ごはんの後の一騒動

 「フォーンさんを助ける手立ては何かないんでしょうか?」食事の後でピーターがビーバーさんに言いました。
 ビーバーさんは首をふって、「あの女の館は石像だらけです。杖をふって、生き物を石にかえてしまうのです。あなたがたが乗り込めば新たな石像をふやすだけです。・・・しかし今、アスランがナルニアにきています。アスランなら白い魔女を裁いて、タムナスさんを助けたくれるでしょう。」
 子供たちはその名を聞いて、またどきん、としました。
 ビーバーさんは続けます。「アスランは海のかなたの大帝の息子にして偉大なライオンです。古くから伝わる歌にこうあります。」
 
 アスラン来たればあやまち正され 
 アスランほゆれば悲しみきえる
 牙がひかれば冬が死にたえ
 たてがみふるえば春たちもどる

 「でも、あなたたちにも大事な役割があるのです。わたしは明日、あなたたちをアスランにあわせるために、石舞台まで案内します。」
 「僕たちとアスランとどんな関係があるんですか?」とピーターがいいました。
 「もうひとつ古いいいつたえがあるからですよ。ケア・パラベル、これはこの川が海にそそぐ河口にちかい海辺にある城です。そしてあるべき世がくればこの国の都となるはずのところです。
 そのケア・パラベルには4つの王座があって、いつからとなくナルニアに言い伝えられたところでは、二人のアダムのむすこがた、二人のイヴのむすめがたが4つの王座についたとき、白い魔女の時代はおわるばかりか魔女の命もおしまいになるというのです。だからこそ、わたしたちがあれほど注意に注意をかさね、ここまでしのんでこなければならなかったのです。もし、あの女にあなたがた4人のことを知られてごらんなさい、このひげをひとひねり「するよりも簡単にみなさんの命がとんでしまいますよ。」
 ルーシィはふと、エドマンドの姿が見えないのに気づきました。
 みんなそとへ出て大声で呼びましたが、返事はありませんでした。
 「探しても無駄です。魔女のところに告げ口に行ったんですよ。」とビーバーさんは言いました。
 3人はあっと思いましたが、よく考えると、そうかもしれない、と思いました。
 「ご兄弟のことを悪く言うと失礼かと思って、黙ってましたが、最初に彼の目を見たときに裏切りそうだな、と思いましたよ。あれは魔女の食べ物を食べた物の目です。一時も無駄にできません、魔女はすぐ追っ手を差し向けるでしょう。我々はすぐここを逃げ出さなくちゃなりません。」
 

 

ナルニア国物語 ライオンと魔女 10

2006-03-08 01:22:51 | Weblog
 どうも、気にいらないのでまた色を変えてみます。

 7 ビーバー一家にもてなされる

 女の子たちがいきなり「あっ!」と声をあげて、立ち止まりました。
 「コマドリが、コマドリが飛んでっちゃったわ。」とルーシィが泣声をだしました。
 もう随分森の奥まで歩いてきていたので、4人は途方にくれました。
 そのとき「ほら見て、」とスーザンが木の根元を指差していいました。
 見ると、木の陰からビーバーが顔を出してちょいちょい、と手招きしています。
 「勇気を出していってみましょう。いざとなったら、こっちは4人よ、勝てるわ。」とスーザン。
 ビーバーはシィーと口に手をあてながら4人を4本の大木に囲まれた狭い場所に案内しました。
 「ここなら大丈夫です。なにしろ、どこに魔女のスパイがいるかわかりませんので。」
 「その前に、あんたは一体何者なのさ、」とエドマンドが言いました。
 「ごもっとも、ごもっとも、」と言いつつ、ビーバーは毛のなかから白いハンカチを取り出して皆にみせました。
 「あっ、それはタムナスさんにあげたものだわ」ルーシィは叫びました。
 「そう、あの人は捕まる前に、もしものことがあったら、と私にあなたがたのことを託したのです。」
 それから神妙な顔になって、できるだけ近くによってもらいたい、というしぐさをしたので、4人はビーバーのひげがさわるくらい近づきました。
 「アスランが動き始めたという噂です。もう上陸したころでしょう。」
 すると、たいへん奇妙なことがおきました。子供たちは誰一人、アスランとはどんな人かということを知らなかったのですけれども、ビーバーがこの言葉をいったとたんに、どの子もみんな、今までにない不思議な感じを受けたのです。
 エドマンドはわけのわからないおそれの渦に巻き込まれました。ピーターはふいに強くなって、なんでもやれる気がしました。スーザンはなにか香ばしいにおいが、美しい楽の音がからだをつつむ思いでした。そして、ルーシィは朝、目を覚ましてみたら、たのしい休みか、喜ばしい夏が始まったときのような気持ちを味わいました。
 皆はビーバーさんの家に行って、タムナスさんの救出について話し合うことにしました。
 その家は川を横断して作られたビバーさんがつくったダムで、その中ほどに入り口がありました。
 川はすっかり凍って、ダムの水が下流に落ちるところでは水流と水しぶきが氷の壁になって輝いていました。
 その風景のなかでエドマンドだけが気づいたことがありました。
 その川の少し下ったところで、別の川が合流していたのですが、その谷すじの上流には女王に教えてもらった二つの山がみえたのです。そこに女王の館があるはずでした。
 エドマンドは王子様にしてもらえる約束を思い出し、ピーターたちに自分をケダモノ扱いしたことを後悔させるための、おそろしい考えをいくつも巡らしました。
 4人が扉からなかへ入ってまず見たのは、部屋のすみに座って口に糸をくわえて一生懸命ミシンを動かしている、ビーバーさんの奥さんでした。
 「とうとうやってきましたね、生きていてこんな日にお目にかかれるなんて、ありがたいことですわ。おいもは茹ってるし、やかんもことこといいはじめました。ではだんなさん、魚を取ってきてくださいな。」
 奥さんと女の子はかまどで料理をし、だんなさんと男の子は川の氷を割って、魚をとりました。
 食べる楽しみにひたりました。
 子供たちにはクリームのように濃いミルクのコップ、ビーバーさんはビールのジョッキをかたむけました。
 すきなだけバターをすくって、ジャガイモにぬって食べるにもすてきでしたが、半時間まえに取った新鮮な川魚をフライパnから皿にうつして半分もたたないうちに食べることほど素晴らしいことはない、と子供たちは思いました。(わたしもそうだとおもいます。)
 
 
 
 
 

ナルニア国物語 ライオンと魔女 9

2006-03-07 01:48:07 | Weblog
 6 森のなか

 4人の子供たちは、冬の昼間の明るみの中に目をぱちぱちさせて立っていました。
 4人のうしろにはコートかけにコートがずらりと並び、4人のまえには雪をかぶった木々がたっていました。
 ピーターは、すぐルーシィにむかって、「きみのこと信じないでごめんよ、握手してくれるかい?」
 「ええ、もちろんよ、」ルーシィはいってその手をとりました。
 それからみんなはエドマンドを厳しい目で見ました。
 ピーターはため息をはき、「この間、お前はここに来た。そしてルーを陥れるために嘘をついた。そうだな。」
 恐ろしいほど静まり返ったなかで、ひと呼吸して、
 「まったく、腹黒いケダモノ・・・」と言いかけて肩をすくめました。いまさら何を言っても始まらないように思われたのです。
 「ルーシィが言ってたフォーンさんに会いにいきましょうよ、」と、スーザンが雰囲気をかえようといいました。
 4人はルーシィを道案内にして、洞窟へ歩き出しました。
 エドマンドは後ろから顔を真っ赤にしてピーターを睨み、ぶつぶつつぶやきながら付いていきました。
 ところが、洞窟に着くと、めちゃめちゃに壊されていたので、みんなはたまげました。
 半分壊れた入り口のの扉に張り紙がありました。
 <当家屋の住人、タムナスはケア・パラベルの城主にして、ナルニアの女王、ジェイディス陛下に対する反逆の罪により身柄を拘束されるものである。  女王秘密警察長官 モーグリム  女王陛下万歳!>
 「わたし、こんなところ、とても好きになれそうにない」とスーザン、がいいました。
 ルーシィはみんなに、タムナスさんは私を助けたのがばれて捕まったに違いない、放ってはおけない、みんなで助けに行こう、と説得しました。
 エドマンド以外は皆、賛成しましたが、どこへ助けに行けば言いのか見当もつきません。
 そのとき、ルーシィはさっきから自分たちの周りの梢を飛び回ってるコマドリにきづきました。
 真っ赤な胸のコマドリはおしりを振って誘っているようにみえました。
 4人が近づくと、森の奥へ飛びました。また近づくと奥へ飛び、そのようにして見失われない程度に距離を置き、みんなを導いていきました。