米国反ドーピング機関(USADA)は24日、自転車ロードレースで世界的に活躍し、現在はトライアスロン選手として活動する米国のランス・アームストロング(40)に対し、ドーピング(禁止薬物使用)違反により、ツール・ド・フランスの7連覇を含む98年8月1日からの全タイトル剥奪と自転車競技からの永久追放処分を科したと発表した。
アームストロングは「500回以上も検査を受け、一度も陽性反応が出ていない」ことや物的な証拠がないことなどから一貫して潔白を主張。米連邦検察当局も今年2月、疑惑に対する捜査を打ち切っていた。
それでもUSADAは6月、エリスロポエチンなど禁止薬物の使用や血液ドーピングでアームストロングとチーム関係者を告発した。アームストロングは米連邦地裁に告発の取り下げを申し立てたが、7月に棄却。今月23日には、USADAの対応を「魔女狩りだ」と批判したうえで「もう十分だ」と争わない考えを発表した。
USADAは「(23日に)アームストロング氏がこれ以上、裁判で争わないことを選んだ結果、永久追放とタイトル剥奪の処分を受け入れたことになる」との声明を発表した。
USADAが発表した処分では、タイトルの剥奪は99年からのツール・ド・フランス7連覇のほか、00年シドニー五輪での銅メダルなどにも及ぶ。ただし、上部団体の世界反ドーピング機関(WADA)と国際自転車連合(UCI)はUSADAの処分に異議の申し立てができる。両団体とも現段階で「報告を待ちたい」とUSADAへの支持を明確にはしておらず、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に是非がゆだねられる可能性が高い。