拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

何も知らない/誰も知らない

2020-05-19 15:29:01 | 日記

よく人と議論をするとき相手を「何も知らない(分かってない)」と罵倒する人がいるが良い気持ちはしない。それに、じゃ、どこまで知ってたら知ってることになるの?って話になる。例えば今話題の検察官の定年延長についてAさんが(今回のABCは完全に登場順である)「検察は司法なんだから内閣が介入するのはおかしい」と言ったとする。するとBさんが来て「Aさんは何も分かってない。検察は行政。だから内閣が介入するのは当然だ」と言う。そこにCさんが来て「Bさんは何も分かってない。検察は行政だが準司法的性格を持つから内閣は介入を控えるべきだ」……こんな具合である。ヴァーグナーの「ニーベルングの指輪」についても以前ネットで面白い議論があった。Aさんが「ニーベルングではなくニーベルンクが正しい。ドイツ語のgは語尾にくるとクになるのだ」と言ったとする。するとBさんが来て「Aさんは何も分かってない。ngで終わる場合はングなのだ」という(普通にドイツ語を勉強した人はこれが終点)。そこにCさんが来て「Bさんは何も分かってない。中世においてはニーベルンgはニーベルンcだった。だからクが正しい」……こんな具合である(最後のCさんはいささか論点がずれた気がするが)。だから「何も知らない」などと言わない方がよい。「何も知らない」と言えば「だれも知らない」。是枝裕和監督が撮った映画である。母親が彼氏の元に走って4人の子供の育児を放棄した話。テイストは同監督が最近撮った「万引き家族」と似てる(子供はやはりコンビニで万引きをする)。母親代わりとなって弟や妹の世話をした長男役の柳楽優弥が史上最年少でカンヌの男優賞を獲った。是枝監督がYOUを母親役に選んだのは、いかにも子育てを放棄しそうなタイプに見えたからだという(あくまでもイメージの話。現実は息子さんを育て上げた)。ロケは中野区で行われたそうだ。ときどき写る川は神田川?と思ったら妙正寺川だった。惜しかった。神田川と風情が似ている。高田馬場あたりで神田川に合流するそうだ。この映画は、実話に基づいている。映画では、子供達のことを「だれも知らない」で終わるが、実話の方は「万引き家族」と同じで、警察の知るところとなり裁判沙汰になった。警察が踏み込んだとき、長男は栄養失調で、その原因はコンビニ弁当のようなジャンク・フードばかり食べていたからだというのだが、うん、コンビニ弁当はよく知らないが、近くのスーパーの弁当は肉又は魚とご飯だけ、野菜がほとんど入ってない。そういうのばかり食べてるとやはり栄養失調になるんだなー。お母さーん、ぼくはちゃんと自分で栄養のあるご飯を作って食べてるからねー(今呼びかけたのは、架空の母である。実の母は施設でボケている。コロナ騒ぎで面会禁止だから2か月会ってない。次に行ったとき、あなたどなた?と言われそうで心配である。因みに、当ブログにときどき書く「ボケ母ネタ」で勇気をもらっている、と言って下さった方がいた。御尊父様の介護をされてる方である)。写真は昨日の昼食。ご飯の形が、凍らせたヤツをチンしたものであることを表している(「チコちゃん」によるとレンジがチンと鳴るようしたのはシャープ。はっきり「シャープ」とは言ったわけではないが「目の付け所が……鋭い」と言っていた。最近のNHKは、と言うよりこの番組はなかなかチャレンジャーである)。味噌汁が黒っぽいのは八丁味噌を使ってるせいである。朝ドラの裕一は奥さんが作る八丁味噌の味噌汁が苦手のようだが、私は大好きだ。

言質

2020-05-19 10:57:16 | 日記
国会での尾身参考人に対する某議員の質問が無礼だと問題になっている。私は、無礼というより、某議員が執拗に「先生だって『おっしゃる通り』と言ってくれたんだから」と言って自分が求めてる回答を引き出そうとしているのが気になった。まるで、言質をとっての誘導尋問である。コロンボ警部だったらやりそうなことである。尾身先生はきっといい人なんだろう。だから、質問者のことも立てようと思ったのだろう。だが場所が悪かった。国会である。シチリアも真っ青な抗争の場である。相手にちょっとでも弱みを見せようものなら容赦なく攻撃される「仁義なき世界」である。尾身先生は「おっしゃる通り」と言ったことを後悔して、次呼ばれたら絶対言うまいと心に決めてらっしゃるだろうか。いや、そういう場であってはいけないのだが(参考人には、客観的な真実を十分述べていただくべきだし、そういう雰囲気を作らなければならぬ)。前々から、こういう傾向は参議院に顕著だと思っていた。とにかく審議がすぐ止まる。やたらに各党の理事が議長席を取り囲む。議員の総とっかえをすればいいのにと思う(参議院では総とっかえはできない。解散はないし、選挙も半数ずつの改選である)。それにしても、与党も野党ももっと太っ腹なところを見せたらどうだろう。与党も、ひたすら苦しい言い訳をするんではなく「その点は至りませんでした。反省します」と言えばいいし、野党も、いいと思ったことについては「今回の措置は評価します」と言ってもよいと思う……なーんて言う私は甘ちゃんなのだろうね。きっと国会はアフリカのサバンナなのだ。そこは、弱音を見せたらたちどころに食われちまう世界。だから、ライオンは一頭でハイエナの群れに出くわしたとき、本当はこわくて仕方がなくてもあくまで偉そうに振る舞う(でも、尻尾を巻いてるから怖がってることが分かる)。センセイたち(尾身先生のようなホントの先生ではなく、偽のセンセイたち。ちっとも偉くないはずなのに選挙が終わると急に偉そうになる人たち)はライオンでありハイエナなのだ。因みに、与党と野党でどちらがライオンでどちらがハイエナかは知らない。いや、ハイエナは不当に嫌われてきたが、実は、賢く、愛情深くて、しかも強い生き物である。因みに、某議員が所属する党の党首さんは、一応、政府の政策で良いと思ったものについては「可とする」と言う。「可」かー。ぎりぎり及第点ってことだなぁ。この方は、合唱が趣味で、ハレルヤ・コーラスを歌ってる映像を見たことがあるが、あまりそのことをご自身ではおっしゃらない。「趣味=合唱」は有権者にウケが悪いのだろうか。ついでに書くと別の某野党の党首さんもクラシック好きで有名。クラシック愛好家におけるその党の支持率は世間の平均より高い気がする(足立区においても高いと思う。区長を輩出したことがあるくらいだ。因みに、ポリーニは同党と同じ名前のイタリアの政党の党員だった(と、ベルリンフィルの団員が噂話をしてる映像を見た))。与党系の方々についても書いておこう。K元総理を東京文化会館の客席で見たことがある。目立ちまくっていた。H元総理は日生劇場で見た。休憩時間にロビーで電話をかけてた様子は全く普通の人だった(K元総理とは対照的だった)。やんごとなき方々を見たこともある。クライバーのバラの騎士の開演前にロビーにいたら、普段開かない庭園側のガラス扉がいきない開いて入って来られたのが当時の皇太子ご夫妻(今上天皇ご夫妻)。それから、オーチャードホールのサロメのカーテンコールでタイトルロールを歌ったキャスリーン・マルフィターノがかしづいて挨拶を送った先には、私から見えなかったがダイアナ妃がいらしたらしい。