テレビで誰かが「オミ……」と言うからオミクロン株のことかと思ったら尾身先生のことだった。次に誰かが「オミ……」と言うから尾身先生のことかと思ったらオミクロン株のことだった。その尾身先生がオミクロン株について「ステイ・ホームなど必要ない」と仰った。いただきっ。え?偉い人の発言の都合のいいところだけ切り取って従うのか、って?その通りである(あっさり)。なにも、人に言われたことを100%気にする必要はない。例えば、習い事の先生に「ぼけなす」と罵られたとき、まるまる受け取っちゃったらやる気がなくなってしまう。だが「ぼけ」は聞かなかったことにして「なす」だけ受け取れば、ナスは美味しいようなぁ、油をよく吸うからオリーブオイルで炒めてパスタに和えると美味いんだよなぁ、とがぜん幸せな気分になる。ということで、隣り合った某山と某山を登った(どっちも標高600メートルちょい越え)。この寒い時期、しかも平日とくれば、山に人など歩いていない。「密」の正反対の「疎」である。マンボー発令下で格好の経済活動である(登山の過程でいろいろお金を落とす)。こうしたワタクシの心意気に天も味方したのか絶好のお天気。某半島(頼朝が石橋山の敗戦の後、ここから船に乗って房総に逃げた)がくっきり。
しかも、太平洋の遙か彼方に伊豆諸島が見える。あの円錐形の形は、もしや前回行きそびれた利島か。
あのときは、予定していた利島に船が着けなくて、代わりに式根島に行ったんだった。式根島もとっても良くて、これをきっかけに私は島好きになった。こうした眺望を十分満喫して下山。途中に梅林があった。1分咲きということだが、樹によっては綺麗に咲いていた。
このあたりからは、水分補給を控える。体をカラカラにしてビールをぐぐっと流し込むため。ところが麓の某町の飲食店のほとんどが休業している。まだ時間は5時。中に灯りがついていても表の貼り紙に「予約は3時まで。常連客に限る」などと書いている店もある。ようやく開いている店を見つけてビールを注文すると「マンボーだから出してない」。え?マンボーでも、8時まではお酒を出していいんじゃないの?すると「そうなんだけど、うちは出さないんです。ごめんなさいね」と言う。ということで、この町で喉を潤すことはできなかった。きっと、この町には「お酒を出さない」との暗黙のルールができあがっていて、それに反することは周囲の目が気になってできないのだろう(地方ならでは)。お上が経済活動のことも考慮してマンボーにとどめ、しかもその内容を以前より緩くしても、国民が自主的に緊急事態宣言を発令しちゃってる感じだ。頼朝同様、某半島から船に乗り、お酒を飲ませてくれる地域に逃げたい気分であった(行った先でもダメだったりして)。山頂と同じくらい疎の町中にも猫はいた。
それから、ガラガラの行きの電車の車窓から富士山の素晴らしい雄姿が見えたのだが、
狂喜乱舞して写真を撮りまくる私と違い、土地の人らしい他の乗客はまったく意に介さずの様子。毎日見てると感慨もなくなるようだ。