拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

トロイ

2022-02-17 10:12:38 | 日記

安達祐実が演じる女優がサカキバラ君に「今夜、ホテルで台詞を読む」と言ったんで、おっ、その後「だから付き合って♥」がくるんだ!と色めきだった私は普通だろうか、病んでいるのだろうか?さて。映画「トロイ」をBSで見た。10年以上前の公開時に見て以来である。ブラピ演じるアキレスが主人公だが、ギリシャ軍の総大将はアガメムノン。アガメムノンと言えば、リヒャルト・シュトラウスのオペラ「エレクトラ」を思い出す。エレクトラは執拗に♪アガメームノン(ドソ♭ミーレド)、アガメームノン(ドソ♭ミーレド)、ファーター(ソードー)と亡き父を偲んで歌う。それほど娘に愛されたアガメムノンだが、映画では好色で狡猾な仇役。立場によって人の評価は正反対になるものである。「赤穂浪士」では憎まれ役の吉良上野介も領地では名君として慕われていた。それにしても、私はトロイ戦争について、ほぼ何も知らなかった。アガメムノンも、アキレスも、それから後述のウリッセもみんなトロイ戦争の英雄だったんなー。トロイ戦争については、小学生のとき読んだ子供用の「ギリシャ神話」で読んだきり(その次に見たのが映画「トロイ」だった)。その本をこないだ押入れから発掘したから読んでみよう。紙の色が茶色く変色してるところが年代を感じさせる(写真。それでも読めるんだから、アナログも捨てたものじゃない)。どれどれ。「パリスが、ヘレンをスパルタ王から奪い取ると、大急ぎで本国トロイにひきあげてしまった」これが戦争のきっかけになったというが、この書き方だとパリスがヘレンを無理矢理連れてったのであり、ヘレンは被害者のようだ。お子ちゃまの私は実際そのように感じたに違いない。だが、映画では、パリスとヘレンが夫の目を盗んで同衾。さらにWikiでは「ヘレネー(ヘレン)はパリスに魅了され、(中略)イーリオス(トロイ)までついていってしまった」とあり、ヘレンの方が積極的。まるでジークムントとジークリンデである。ま、しかし子供用ということで不倫の事実は伏せられたのだろう(教育的配慮?)。あれ?と思ったのは、英雄の一人として登場するユリシーズ(映画には出てこなかった)。だいたい、この本は、人名はすべて英語読み。「ミネルヴァ」も「ミナーヴァ」と表記している。そのユリシーズがトロイ戦争後に苦難の帰還を果たす話を読んでガッテンした(終わってしまったNHKの「ガッテン」を偲んでこの言葉を使い続ける)。そうか、ユリシーズ=ウリッセ!モンテヴェルディのオペラ「ウリッセの帰還」のお話であった。クライマックスで、ウリッセの留守宅で奥さんのペネロペに群がる求婚者を帰還したウリッセが矢で射貫くシーン、ルネ・ヤコプス指揮で見たオペラの舞台が印象的だった。あの沸き立つような音楽に乗せて、ウリッセが放った矢がゆくっりとゆっくりとストップモーションのように求婚者に向かっていったんだった。おまけの話その1。ロシアがウクライナとの国境から兵を引き揚げている映像を公開したが、西側の指導者たちは、「別の場所に集結している可能性がある」と言っている。トロイ戦争でも、海岸に木馬を置いて退散したように見せかけたギリシャ船団は別の場所に集結していた(西側指導者はそのことを思い出した?)。その2。「サンダーバード」のロンドンのエージェントであるペネロープの名前は、ウリッセの奥さんのペネロペから来ていたんだね。サンダーバードのペネロープの声の担当は、かつては黒柳徹子さん(執事に向かって「パーカー」と呼ぶ声が脳裏に浮かぶ)、最近の新作では満島ひかりさん。その最新作を劇場で見ようと思ったら、「特別上映」なので、シニア割引がないとな。♪馬鹿にしないでよー(山口百恵)。鑑賞は取りやめ。