拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

カンカン~ケンケン~歯止めのきかない17歳(+うんじゅううんさい)

2023-02-23 11:50:33 | 音楽

今週、パンダの返還ラッシュだという。パンダと言えば、私などは永久に、日中国交正常化の際に中国から贈られた「カンカン」「ランラン」が心に浮かぶのだが、実は、小学生のとき、既に、アニメでパンダを見ている。当時、小学校でときどき映画上映をやっていた。教室の窓に黒幕をはって暗くして上映するのである。記憶にあるのは2回。一回目が「白蛇伝」だった。これは、日本初のカラー長編アニメ映画である……ことは後年、オトナになってから映画館でこの作品を二度目に見たとき知った。ジャイアントパンダが出ていることに気づいたのはそのときである(「ジャイアント」を付けたのは、同作品にレッサーパンダも出ていたから)。他の観客も、「あら、こんな時代からパンダっていたのね」と囁いていた。いや、いることはいる、太古の昔から。びっくりしたのは、この映画が作られた当時(製作年は私の生年と同じだから、カンカン&ランランが来る14年前)から、映画を作った日本人がジャイアントパンダを知っていたことである。

パンダと聞くと「カンカン」「ランラン」が思い浮かぶのだが、「カンカン」「ランラン」と聞いて真っ先にパンダが浮かぶわけではない。「ランラン」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはピアニストである。そして、「カンカン」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、オペラ「バラの騎士」のオクタヴィアンだ。17歳の青年である彼は、32歳の元帥夫人の浮気相手で、彼女から「カンカン」と呼ばれている。この「カンカン」の発音がずっと疑問であった。ドイツ語のオペラだが、この愛称はフランス語で綴りは「Quinquin」。これをどう発音するのが正しいのか?歌手の発音は「カンカン」「ケンケン」「キャンキャン」とまちまちだが、先頃、フランス語の達人から「カンカン」が正しい、と教えてもらった。なるほど、ルネサンス期に世俗曲をあまた書いた「ジャヌquin」も「ジャヌカン」と呼ぶのであった。

なお、「ケンケン」で思い出すのは、アメリカのアニメ「チキチキマシン猛レース」のブラック大魔王の子分の犬。親分の大魔王がちょんぼをすると「ひーひひひひ」と笑うあの犬である(CMにもこの笑いで登場した)。このアニメで疑問だったことその1。ブラック大魔王は、いつも先頭を走っていて、後続のレーサーの邪魔をするのだが、そんなことをせずにそのまま走れば優勝なのに、と思う。その2。「チキチキマシン」と言えば、「チキチキバンバン」という映画があり、その主題歌が「♪バンバンチキチキバンバン……」と歌うヤツだった。それとアニメ「チキチキマシン猛レース」はどんな関係があるのだろう。と思ってググったみたところ、アニメの原題は「Wacky Races」であり、「チキチキ」の「チ」の字もついてなかった。自動車つながり、というだけで、アニメを輸入した日本の会社がそう命名したのだろうか。因みに、「ケンケン」も日本名であり、本名は「マトレー(Muttley)」である。

おまけの話その1。「チキチキ……」と言っているが、綴りは「Chitty Chitty 」だから、「チティチティ」が正しい(耳には「チリチリ」のようにも聞こえる)。

その2。ちょっと戻ってバラの騎士の話。このオペラの前奏曲は、オクタヴィアンと元帥夫人の「営み」を露骨に描いたものであり(リヒャルト・シュトラウスには、そう言った露出趣味がある)、その冒頭のホルンの咆哮は、17歳の青年の「元気いっぱい」な様子を描いたもの。いちど、アマチュアのオケでこの曲を聴いた際、若い女性のホルニストがこの咆哮を担当していて、それはそれは元気いっぱいなオクタヴィアンであった。なるほど、17歳(その奏者のご年齢ではなく(そんなの知らない)オクタヴィアンの歳の話)はこんな風に歯止めがないんだろうな、とガテンがいったワタクシであった。なお、ワタクシの飲酒も、歯止めがない点では同様である(17歳ではないけれど)。