拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

異なるテンポの妙味(カーサクラシカのセッション)

2024-07-09 09:20:19 | 音楽

横野好夫です。ここ二回連続してカーサクラシカに行きそびれていた。満員札止めのためだが、今回は私の都合で参加が危ぶまれた。前日が謡いまくる会(仮名)で、かなりの確率でアフターで大酒を飲み翌日二日酔いになっていそうだったから。だが、二日酔い気味ではあるが、喉の調子は悪くない。よし!ってんで参加したわけである。ピアノはK澤さんである。

ここは、テーブルごとに作曲家の名前がついていて、私の定席は「グリーグ」。グリーグが好きなわけではなく(グリーグは好きだけど)、たまたま位置的に一番気に入った席が「グリーグ」だったのである。今回は、久しぶりの「グリーグ席」であった。

で、私は、1巡目にクラリネットを拭いて……ではなく吹いて(私のベー姫(クラリネットのB♭管)のキーは材質のせいで拭いても光らない。他の人の楽器がピカピカ光っているのを見るといつも羨ましいと思う)、2巡目以降に「水車屋の娘」の第1,8,11,14曲を歌った(もちろん、おかま声で。最初にクラリネット曲をもってきたのは二刀流のアピールである)。「水車屋」は全部で20曲から成るが、私が現在たどり着いてるのは第14曲。その曲と過去に歌った曲の中から選んだ曲が今回のラインナップであった。その第14曲は前日の謡いまくる会(ピアノは某子さん)でも謡った……ではなく歌ったのだが、そのときのテンポは倍だった。ベートーヴェンの交響曲第7番の終楽章に例えるなら、前日がカルロス・クライバーでこの日が晩年のカール・ベームってな案配。だから、前日はドイツ語の早口言葉のトレーニングになったし、この日は一個一個の言葉をかみしめながら歌うことができた。要は、大変お勉強になった、ということである。因みに、カルロス・クライバーは、生まれたときはカール・クライバーであった。なお、4か月後のリート会(歌曲限定の発表会。お客様にも来て聴いていただくことになっている)でも私は「水車屋」を歌うつもりである。持ち時間との関係で何曲か選択しなければならない。これから4か月の間に歌い直したり新たに歌ったりして「いいな」と思ったヤツを選ぼうと思う。すなわち、曲決めのための私自身によるオーディションってわけである。昨日もその意味合いがあったわけだが、当選確実が出たのは第1曲のみ。あとは接戦である。

カーサクラシカのセッションは、自分が演奏してない間は自席で他の人の演奏を聴くのだが、昨日は素晴らしい「聴き物」があった。なんとベートーヴェンのクロイツェル・ソナタの第1,3楽章を弾いた御仁がいらしたのである。私は全身耳になって聴き入った(因みに、バッハが世に埋もれていた時期にあってもモテットの第1番は演奏されていて、それを聴いたモーツァルトは全身耳になったそうである)。他にも、ドヴォルザークの「ルサルカ」を清く歌ったソプラノさんもいたし、たいそう多彩で充実したセッション・タイムであった。

私が頼んだ料理は「季節のグラタン」。ナスにつられて注文した。クロイツェル・ソナタを聴いて興奮してあがったかもしれない血圧も、きっとグラタンのナスが下げてくれたことだろう。お酒は、まずは瓶ビール、続いて赤ワインのボトル。きれいに向かい酒を飲み干して帰路についたワタクシであった。