又七の不定記

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スキー板のチューニング

2012-02-05 22:23:05 | Cross Country Ski
 スキー板の滑走面のチューニングに最適を求めるには限界がある。

 そもそもクロスカントリースキー競技ではスタートからゴールまで同じスノーコンディションということはまずない。コースのどこかに合わせればどこかを犠牲にしなければならない。
 的が絞れたとしても、その滑走面がすぐに作れるわけではないので、手持ちの複数の板の中からより適した選択をすることになる。この選択肢は多いほど適した板が見つかる可能性が高まるわけだが、雪質に応じたベンドの違う2種類の板にそれぞれ2パターンのストラクチャーを入れるだけで4セット。それぞれの板でワックステストするためには最低でも倍、ストラクチャーツールを使って最終的な微調整まで行うとなるとさらに倍。これだけでも16セットの板を事前に準備しておかなければならない(トップレーサーが20セット以上の板を準備し、その中から最適な1セットを選ぶというのも頷ける。)。

 トップレーサーお抱えのワックスマンは、選手のパフォーマンスを最大限引き出すために日夜情報収集と滑走テストに明け暮れ、大会当日における最適な1セットを選び出して選手を送り出している。ワックスマンにとってその情報は自分の飯の種であり機密事項であるため、その板を使う選手でさえ自分の板がどうチューニングされているのか知らされないらしい。
 ワールドカップやオリンピックで上位入賞した選手にワックスマンが駆け寄り、走ってきたばかりの板とスポンサー様のコマーシャル用の板とを取り替えている光景が頻繁に目にされるが、これは一昔前のワックス勝負の時代には見られなかった光景である。
 テレビのハイビジョン化によって高画質で詳細なところまで見えるようになったため、使用したストラクチャーパターンが映し出されることを避けているのであろう。観れるチャンスがあるとすればチームスプリントの時くらいであろうか?(走っている選手の滑りを観て次に走る選手の板を微調整している光景が写されることがある。)。

 以上はワックスマンを抱えることのできない私のような市民レーサーにはなかなか縁遠い話だが、たとえ1~2セットしか板を持っていないとしても我々市民レーサーにはプロショップという力強い味方がいる。
 有名なショップになると、客が毎週のようにあちこちの大会に出場し、その客から膨大な情報を得ている。過去の何年ものデータの蓄積もある。メーカー(しかも複数のメーカー)のサービスマンからも情報が入る。
 ただ金を払ってチューニングを任せるだけでなく、何処の大会でどんなストラクチャーが良かったとか、上位入賞者がどんなワックスを使っていたとか、いろいろな話を聞かせてもらうのはとても楽しくもあり、自分の引き出しも増えることになる。(ついでに机の上のツール群もね。)
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