
3月1日~3月3日まで、宮城県石巻の仮設住宅に、出張箱庭に行ってきました。
今回は2か所の仮設住宅にお邪魔しました。
一か所目は、今回初めて伺った、大森団地、二か所目は今回2回目となる一番谷地団地です。
その間をぬって、現地の「今」を見てきました。
3月1日早朝、まだ冬の寒さの残る高尾を後にし、一路、石巻に向かいました。
途中、まてりあ石巻行きでは定番となった、佐野SAでの佐野ラーメン、
国見SAの凍天でおなかも心も満たして東北へ。
早朝に出発した甲斐あり、お昼過ぎには石巻に到着しました。
軽く昼食をとったあとは、大川小学校へ。
多くの児童と職員の皆さんの命が奪われた大川小学校。
校庭に未だ残るパレットや掃除用具のかけらなど、
子どもたちの日常を一瞬にして奪われたこの事実に言葉も出ませんでした。
その校庭の片隅に、葉ボタンの鉢が寄り添うように咲いていたのが非常に印象的でした。
帰京後、報道番組で知ったのですが、この葉ボタンは、
大川小学校の亡くなられた先生のご両親がお供えしたものとのこと。
教員であるわが子が児童の命を助けられなかった申し訳なさに、
農家として栽培している葉ボタンを児童の皆さんのために捧げたのだと。
今は白鳥が舞い降りる大川小学校一帯に、切ない春を彩っていました。
二日目は大森団地へ出張箱庭へ出かけました。今回は初めてお邪魔する仮設住宅。
どきどきしながら訪れましたが、「よぐきたねぇ~」と温かくお迎えしてくださり、ほっと一安心。
まずは、子どもたちが箱庭を存分に楽しみました。
次に、大人の方々も共同作業で「町を作るべ」とか、「ここは森だ」とか、
「ここに家を建てよう」とか、わいのわいのと素敵な町を完成させました。
みなさん、ぴかぴかの素敵な笑顔を見せてくださいました。
なんだか、とっても幸せで、温かい気持ちになりました。

また、この仮設住宅では、一つの発見が!何の気なしに持ち込んだ折り紙。
箱庭の待ち時間にでも・・・と机の上に置いておいたら、
実は集まってくださった方の中に折り紙名人がいらっしゃり、にわか折り紙教室が開催されたのです。
もちろん、私たちも教え子になり、大笑いしながら、折り紙を楽しませていただきました。
この折り紙教室から、私たちのような非日常が行くことで、
仮設住宅の方々同士にも新たな発見があるのだなと気付かされました。
とても温かな雰囲気の仮設住宅だったので、普段から「お茶っこ」を楽しんでいらっしゃるのでしょうが、
それだけではもしかしたら「折り紙名人」がいることに気付かなかったのかも・・・。
そんな仮設住宅の方々同士の小さな気付きがあれば、これからの仮設住宅の方々の日常の中にも
継続して何か、楽しみが生まれてくるのかしら?なんて、ふと思いました。
最終日の三日目、朝から日和山に登りました。町を一望できる小高い丘ですが、
眼下には未だ津波の爪痕が残り、一方ではがれきが撤去されている様子が見えました。
未だ残る爪痕と、がれき撤去という名のもとにここに暮している方々の日常の品々だったものが
無くなっていく事実。その両方の切なさに、ただただ、町を見渡すしかできませんでした。
それから、今回は2回目の訪問となる一番谷地仮設住宅へ。
「あ~、久しぶり、待ってたよ。元気だった?」で始まるあいさつの温かさ。
ああ、つながるっていいなと思える瞬間でした。

今回はひなまつりパーティのお手伝いということで訪問したので、
ちらし寿司つくりのお手伝いを。ここでも錦糸卵作り名人がいらっしゃり、感動!
みんなでおいしくいお寿司をいただいた後は、箱庭体験を。
子どもたちが思い思いに箱庭で楽しんだり、年輩の方が砂の感触をゆったりと楽しんだり。
その横ではおとうさんもおかあさんも「お茶っこ」に花を咲かせていて。
また、子どもたちにいさかいがおきると、そばにいる大人が間に入って
「仮設の子は、みんなの子だ。みんなで育てるんだ」と心温まるお説教。じ~んと沁みてきました。
仕上げは、大くじ引き大会。大人も子供も公平に、目当ての物を狙ってのくじ引き大会。
なかなか思うようにはいかないものの、みんなで大笑いしながら楽しみました。
そして、別れの時。「また来てね」「また来るね」「元気でね」「今度は若葉のころかな」など、
思い思いの別れのあいさつ。
いいな、いいな。被災地に行って何ができる?と自問自答していたけれど、
行けばいいんだって思えた瞬間でした。行って、「久しぶり」って挨拶して、
いっぱい笑って、「またね」って約束する。
そこに「忘れないよ。一緒だよ」って、メッセージを込めて。
それでいいんだと実感できました。
何かしようではなく、一緒に過ごして、お互いから元気をもらいあう、
また来るよっって、次の楽しみをパワーの源にする。それだけでいいんだな。
わずか三日間の日程でしたが、今だからこそ、これからだからこそ必要な復興支援があると感じました。
生活する箱モノは一通りそろったからこそ、心のつながりが大切なんだと思いました。
復興支援なんて大それた言葉ではなく、「またね」って約束できる豊かさ、それが必要なんだと。
それを目指して、まてりあ出張箱庭はまだまだ続きます。