まてりあスタッフ日記

八王子市を拠点に活動しているボランティアグループ、カウンセリングスペースまてりあの活動を紹介しています。

行って来ました。石巻!

2014-10-11 19:53:58 | 日記


 2014年、7月26日、27日と、石巻に行って参りました。今回は恒例の箱庭セットは持参せず、「作って、しゃべって、楽しいお茶っこ」をモットーに、牛乳パック工作の材料を準備し持参。また、以前からのつながりのあった竹細工の達人O氏も同行して下さることに。
まてりあ4人とO氏の珍道中は、かくして始まったのでした。
 しかし、そうそうスムーズに事が進まないのが、いつもの石巻道中。早朝、朝焼けの八王子をさわやか旅立ち、東京駅から新幹線でスピーディに東北へ行くはず・・・が、メンバー一人の寝坊により、残り三人は不安にさいなまれながら新幹線へ。当の本人は、先回りした大宮からのうのうと合流。四人がクロスシートに向かい合って座ることで、やっとこの旅が始まりました。
 古川駅から陸羽東線、石巻船を乗り継ぎ、徐々に田園風景も広がってきてました。青々とした稲、黄色く頭を垂れ始めた稲穂、田んぼの織りなすキャンバスに、早くもこれからお会いする石巻のみなさんに思いをはせるのでした。
 石巻駅からはレンタカーで移動。まずは、お茶っこ用の飲み物やお菓子を仕入れにショッピングモールへ。ここでは、別路でいらっしゃったO氏と合流。打ち合わせを兼ねて早めの昼食をとり、一つ目の仮設、一番谷地南団地へ出発。

 一番谷地は、毎回訪れる仮設住宅で、なんだか、夏休みにいとこの家に遊びに行くような気分。
今回も、やはり、「ひさしぶり~」、「元気だった~?」のあいさつに始まり、早速お茶っこと、工作の準備。

 さて、ここでO氏のご紹介。O氏は退職後趣味で竹細工を始められたらしいのですが、趣味に飽き足らず、子どもたちに竹細工の楽しさを伝えるボランティア活動をなさっています。その竹細工も、子供たちのヒーロー、カブトムシやクワガタから、カメ、カエル、カニ、ゴム鉄砲、ウグイス笛などなど。昆虫は本物と見間違うほどの精巧さ。しかも材料は竹ぼうきや竹の棒針など、身近なものを使っています。昆虫の節くれだった足は、竹の節をうまく使っていて、今にも動きそう。
 そんな、ヒーローたちの材料は、O氏が全て手作りで1匹分ずつ小分けされ、市販のキットのように準備されていたのでした。感動!

 さて、O氏の竹細工と私たちの牛乳パック小物入れ工作、いざ始めてみると、あれぇ~?子どもたちの目もきらきらしているけれど、「昔子ども」のみなさんも、それ以上にきらきらな眼差しでそれぞれの作品に取り組んでいらっしゃるのでした。
 「カメ作るべ、ゼニガメで、お金が貯まるっちゃ」「無事カエルにしよう」「クワガタ、クワガタ」と、本当に楽しそう。
 また、牛乳パック小物入れも、六角形に箱を組み立て、布を貼りつけるもので、ちょっとおしゃれな宝箱。こどもたちも好みの布を貼りつけて仕上げ、お茶っこお菓子を詰め込んで、作って使う楽しさも実感しているみたいでした。

 そんな楽しいひと時もすぐに終わり、引き上げる時間。この時間はいつもちょっと苦手。「またね。」「今度はクリスマスかな。」「元気でね」そんな言葉のやり取りはいつも切なくなります。また、しばらく会えなくなる、いとこ同士の分かれみたいに。
 ただ、今回はいつも以上に切なさを感じたことがありました。体調の安定していない方もいらっしゃり、心からお達者で・・・と祈らずにはいられませんでした。

 翌日は朝、早めに宿をたち、石巻市街を一望できる日和山へ。海方面を眺めてみると、住宅地だった場所は広々とした野原になっていて、海岸線には巨大な防波堤が建築され始めていました。
訪れる度に景色の変わる日和山からの眺め。時の流れは感じますが、復興とはまだまだほど遠いなあと感じました。

 その後は、旧石巻市立大川小学校へ。海水を被った校舎はまた一段と朽ちているように見えました。ねじ曲がった渡り廊下、壁の抜けた校舎、色の褪せてきた卒業制作の壁画・・・。ここには、子どもたちとそれを見守る大人たちの、生き生きとした生活が、未来が、温かい命が、あったことを、忘れてはならないと思いました。

 それから、今回2つ目の仮設、にっこりサンパークへ。
 もともと中学校や体育館、公園があったところで、広々とした高台にある仮設でした。こちらに音連れるのは今回が初めてです。
 どうやら集会所らしきところへ着いたもののどなたもいらっしゃらず、うろうろしていたら、おばあちゃんが一人出て来てくださり、「あ~、今日来るボランティアの人ね~。いいのいいの。入って入って。」と、どんどん集会所に入ってしまって。「あ・・・、いえ・・・、自治会長さんに・・・」「いいの、いいの。入って。」の問答を繰り返していたら、いつの間にか、おばあちゃんが三人に増え、三人して、茶の間のような和室にちょこんと座りこんでしまいました。
 「いいから、荷物、運び込んでよぉ~」って、おっしゃるけど・・・。
 そうこうしているうちに、自治会長さんも出て来てくださり、ようやく準備開始。後で聞いたらこのおばあちゃんたち、毎日、集会所の茶の間でお茶っこをしている仲良しさんだとか。
今日も楽しそうにお話を始めていました。
 
 このにっこりサンパークは、大きな仮設で、ボランティアさんもたくさん訪問しているとか。子どもたちもボランティアのイベントには慣れているようで、すぐにたくさんの子どもたちが集まり始め、竹細工や牛乳パック工作を楽しんでいました。
 さっきのおばあちゃんも、工作には興味津津。「目が悪いからねえ。作れないねえ。でも、あんたは若いんだから作ってみたら?」とどうやら年かさのおばあちゃんが、一番若いおばあちゃんに竹細工や牛乳パック工作をやるように勧めている様子。すると、若いおばあちゃんも楽しそうに作り始めました。それを楽しそうに見守る「お姉さんおばあちゃん」二人。なんだか微笑ましくて、仮設でできた素敵な仲良しさんなんだな~と実感しました。
でも、お姉さんおばあちゃんも少し羨ましそう。そこで私たちが竹細工と牛乳パック小物入れを作ってお渡ししたら、とっても喜んでくださいました。

 そうこうしていたら、どこからか、ギターの音色が。あれ?聞いたことがある曲。あ、イマジンだ。だれが歌っているのかと思いきや、自治会長さんでした。
 「ボランティアに来てもらった方には、ボランティア返しの音楽を」と演奏して下さいました。それが、とっても素敵な歌声で。何曲か聞いたことのない曲が続くなあと思っていたら、自治会長さんのオリジナル曲で、自主制作でCDまで作っていらっしゃるとか。BGMを聞きながら、ほっこりとした工作タイムでした。

 でも、そんな時間の合間にもさきほどのおばあちゃんたちは私たちに話して下さいました。
津波で全て流されてここに来たこと。ここでみんなに出会ったこと。復興支援住宅の建設が遅々として進まないこと。そして、私たちは仮設で終わるのかねえ~って溜息を・・・。

 そんなギターの音色とおばあちゃんたちの溜息と共に帰路に着く時間となりました。クリスマスにはまた来るねって、約束をして。

 石巻では、復興住宅が少しずつでもでき始め、少しずつ、仮設を出ていく人もいます。ちょっとずつ空家のできていく仮設の方々は数か所に寄せ集めて、少しずつ仮設は解体していくそうです。
 このことは、箱モノの準備ができているということになるのでしょう。でも、でもです。震災後、寄せ集められて、肩を寄せ合って生きてきた人々の、じっくり築き上げたコミュニティはどうなるのでしょう?パズルのピースのように、「空いてるからこっち」と人々の生活を動かすことができるのでしょうか?
 ここで暮らす方々の不安を思うと、人々の心を大切にした復興はまだまだ道半ばだと感じました。

 そんな中、今回の竹細工や牛乳パック工作という「物づくり」を大人も子どもも楽しんで下さったその笑顔が印象的でした。
 家も、町も、人々のコミュニティも、これらを作るのは、まだまだこれからの作業です。ライフラインは整ってはいるけれど、血の通った人のつながりはまた作り直しかもしれません。
 工作のように楽しい街づくりは難しいことかもしれません。でも、ちょっとでも不安の減る復興がなされたらいいなと思わずにはいられませんでした。

 まだまだ、私たちは石巻の皆さんに「忘れないよ。一緒にいるよ」との思いを伝え続けたいと思った今回の訪問でした。



コメント
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