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『よし』・『ゆき』、我が家に住むペンギン?の「ペン太」の散策記です!

旅行記その③ 晩秋の小京都津和野 (後編)

2007-11-23 22:48:18 | お泊り旅行記(2006~)

 本殿に向かう階段下。
鳥居の先、白い建物の1階に甘味を出す茶屋が有ります。
【太鼓谷稲成神社】
 日本五大稲荷の一つ。
「稲荷」でなく「稲成」と記すのは「大願成就」の祈りが籠められているからで、商売繁盛・開運厄除の神として信仰を集めています。
 ジグザグに上る階段の参道には、名所である千本鳥居と言われる朱塗りの鳥居が延々と続いています。
 因みに日本五大稲荷は以下の5社。

 伏見稲荷大社・・・京都市伏見区
 笠間稲荷神社・・・茨城県笠間市
 竹駒神社   ・・・宮城県岩沼市
 祐徳稲荷神社・・・佐賀県鹿島市
 太皷谷稲成神社・島根県津和野町

 千本鳥居は、こんな具合に斜面をジグザグに登っていきます。

 千本鳥居の中は、鳥居が邪魔して前方の視界が悪く、
 「赤い壁面のトンネル」
と言う感じです。

 階段の途中から見た津和野の風景。
真ん中のやや右に黄色い電車が走っており、1両編成の1時間、2時間に1本と本数が少ないローカル線です。
ローカル線の旅も楽しいから電車での移動も考えたが、運行本数の少なさと乗り換え接続の悪さ・・等、旅行の足として活用するのが厳しく、今回は路線バス利用の旅になりました。

 津和野の風景その2
周りは山で、狭い盆地に津和野川に沿って街が広がっているのが分かりますか?
因みに写真右手は津和野高校の校庭。
 津和野の名と「小京都」と言う言葉を知ったのは1990年。
夏の甲子園(第92回大会)に津和野高校が島根県代表として出場し、神奈川の横浜商業と対戦したからで、高校紹介VTRで津和野の街の風景が流れ、「山陰の小京都」と紹介されたのです。
 あれから17年、VTRで見た「遥か遠い街」に立つ日が来るとは思いませんでした。

 千本鳥居は、時折数mの隙間(?)が有ります。
其処からは街の眺望がきき、上下の千本鳥居の様子を窺う事も出来ます。

 階段の途中に有るお茶屋さん。
こう言ったお店に立ち入ったり、小物を見るのが好きですが、街に近く、階段も大した長さではなく、わざわざ店内で食事・休憩をする気にはなれませんね。

 気になったのは和紙のお面と

 お供え物の御揚げ。
ちゃんと紙に包まれている御揚げで、価格は¥150。
こう言う生物のお供え物は初めて見ました。
 お供えですが、ふっくらとした御揚げで、スーパーで売られている「大量生産の安価な御揚げ」より遥かに美味しそうです!
 「此れをいなり寿司や煮物、お味噌汁に使ったら美味しそうだなぁ」
と、罰当たりな事を考えていました。
生物の御揚げですが、平日でも此れだけ並べて販売していました。
御揚げは階段下でも売っていましたが、傷みが早い夏場はどうしているのかな?

 此れが本殿。
背後の山の緑に朱塗りの赤が際立つ美しい建物です。

 稲成と言う事で、狐にまつわる絵(神話なのでしょうね)が設置されていました。
どういった内容なのか何処かに記して欲しかったですね。

 帰り道に見上げて気付いた紅葉と千本鳥居のショット。
千本鳥居は、紅葉や新緑も良いでしょうし、雪景色も似合いそうです。
とは言え、見て見たい反面、津和野の冬の冷え込みを想像すると腰が引けますね。 

 帰り道に嬉しい事が♫
行きに閉まっていた美松が開いていたのです。
いなり寿司が無くなると「準備中」にして再び作るそうで、材料(御揚げ)が無くなると「店じまい」するそうです。
 冷え切った体を温める為に温かいお蕎麦と

 名物のいなり寿司を注文♪
少し小さ目で、濃い色をしています。
 「しょっぱいのかな?」
と思っていました、甘さが強くて、しょっぱくはないです。
評判倒れの名物が多い中、とても美味しいいなり寿司でした♫
 我々の後に入った方で売り切れ。
その後も次々とお客さんは来ましたが、皆さん肩を落として帰って行かれました。
平日でも多くの方が来られるのですね。
【御食事所 美松食堂】
住所:島根県鹿足郡津和野町後田口59-13
℡:0856-72-0077
営業時間:10:00~17:00
休日:水曜日(毎月1日、祝日の場合は営業)

 食事後は街を散策。
駅や殿街通りに背を向け、津和野川を渡った先へ行きました。

 写真は、残念ながら定休日が木曜の喜多屋さん。
和紙の専門店で、和紙のお面が店頭に並べられているそうです。
様々な和紙や栞(しおり)、貼り絵セット、風船・・・等、和紙製品が販売されているお店で、是非とも立ち寄りたかったのですが残念です。
木曜が定休日と言う事は知っていましたが、
 「定休日が変更になった」
 「たまたまこの日は営業していた」
と言う「僅かな可能性」を期待したものの、矢張り閉まっていましたね。
【喜多屋】
住所:島根県鹿足郡津和野町森村530
℡:0856-72-1136
営業時間:9:30~17:00
定休日:木曜日(祝日の場合は営業)

 山頂の「平べったい横長の物体」が津和野城の石垣。
時間が無くて津和野城へ行く事を諦めましたが、この光景を観た時には
 「あの石垣の上からみた津和野の景色は、さぞや良い物だろうな」
と思いました。

 此れは森鴎外の旧宅。

【森鴎外 旧宅】
 瓦葺の木造平屋建ての家屋です。
実家は藩医で、4畳半の鴎外の勉強部屋や調剤室も残っています。
森鴎外記念館と隣接。
【開館時間】9:00~17:00【休日】無休【料金】¥100

 その左隣に有るのが石州和紙会館。
手漉き和紙作りの見学・体験、商品の販売を行っています。
体験は予約制なので参加出来ませんが、作業を見たいと思ったのです。
然し、「団体のお客さんが来た時に見せるパフォーマンス」の様で、我々が入った時には、職人さんが暇そうに椅子に座って休んでいました。
 同様の店が付近にも有るのですが、何れも大型バスの駐車場を有するお店。
製造場兼販売所ではなく、団体観光客向けの施設と言った色合いが強いでです。
個人の飛び込み客は、団体のツアー客が丁度来ないと作業を見る事が出来ませんし、販売所の商品も駅近くの商店と左程変わらないので、津和野川から30分近く歩いて迄行く価値は無いと思いました。
  「此処に費やした時間を他を散策する時間に割きたかった」
と思い、正直がっかりしました。

 再び殿街通りを抜けて、メインの商店街へ。
宿でのお茶受けにと、名物の源氏巻を1本購入しました。
つぶ案、漉し餡、柚子餡・・等が有りましたが、我々は柚子餡を購入。
 「餡子をカステラ生地で包んだよく有る和菓子」
と、当初は思っていたのですが、なかなか美味しい和菓子でした。
源氏巻を作っている方々にお詫びしなければいけませんね。

 此処は種や苗、農機具を販売しているお店で、土間が有る「昔のただずまい」を見られる店でもあります。
店の一部を陶芸等、個人作家の作品を展示するギャラリーにする等新たな試みを行っています。
【俵種苗店】
住所:島根県鹿足郡津和野町本町1丁目
℡:0856-72-0244
営業時間:10:00~19:00
定休日:不定休
【HP】 http://www16.plala.or.jp/tawaraya-syouten/tawarasyubyouten.index.html
※趣きの有るお店の様子を窺えるHPですよ!

 本町通りも御覧の様に昔ながらの姿を保つ様、綺麗に保存されています。
この姿を保存する為に、お住まいの方は不便な思いもされておいでかと思いますが、そう言った努力と工夫・苦労が有るだけに、とても美しく感じました。
 欧州では建物の外観に関する規制が厳しい都市が多く、特に観光地では統一された街並みが保存されていますが、日本はそう言った取り組みが遅れています。
同じ都市であれば日当たりの差こそあれ、その都市に合った建築様式は限られると思うのですが・・。
よく言えば「自由」、夫々の好みと気分で選べる「多様性が有る」のですが、「無茶苦茶」と言われても何も言えない現状ですね。

 この通りには「能面」を販売しているお店も有りました。
「能は」未だ生で見た事は有りません。
同じ面でも「顔の上げ下げ」心境(笑顔と悲しみ)を表す事が出来る・・・等、能面は非常に興味深い物で、1度手にとってよく見てみたいのですが、この日は時間が無くてお店の外から見るだけでした。
「能面を扱っているお店」も初めて見ました。

 郵便局も御覧の様な造りになっています。
官民一体となって街の景観を乱さぬ様、取り組んでいるのですね。
あっ、郵便局はもう「官」ではなかったっけ・・・。

 最後に寄ったのは津和野駅近くの生地屋。
石州和紙と麻等で作る伝統工芸の「紙布織(しふおり)」製品を置いています。
 紙布織は、手漉き和紙を細く切って撚った糸を緯糸にし、麻や木綿・絹糸を経糸にして織り上げる物です。
和紙を使うので、「弱い・脆いのではないか?」と思っていたのですが、非常に丈夫なつくりですし、手洗いや洗濯も出来るそうで、これまた驚き!
 バッグや衣類、小物を販売していて、素朴な風合いの物が多くて使っていく中でより味わいが出てくるのではないかと感じました。
唯、品揃えが少なくて同型・同種の商品だと選択肢が無いので、
 「紙布織の物が欲しい」
と思っていたものの、結局購入するには到りませんでした。
【紙布織の店生地屋】
住所:島根県鹿足郡津和野街後田75-1
℡:0256-72-2295
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休 
【津和野観光を終えて】
 生地屋さんを見学した後、路線バスで萩に向かいましたが、坂道を上って山の上から津和野の街を見ていて「何とも言えない寂しさ」を感じました。
「恐らく、再び来る事は無い」と言う「別れの寂しさ」がそう思わせたのでしょう。
然し、「寂れている津和野」の雰囲気が其れをより強い物にしたのだと思います。
 街を挙げて景観や古い建物の保全によって観光客の誘致に務めていますが、個人・団体客が見たい・体験したい、食べたい、お金を落としても良いと思う事について、更に考える必要性を感じました。
過度に「商業主義」になっては魅力が無くなりますが、「何を求めているか」を知るのは良い事。
津和野の方々には「普通」の事が、観光客には「物珍しい心動かされる物」である事も有るのです。
其れを知り、観光客に魅せ、伝える工夫によって趣と活気の有る街になるのではないでしょうか?
10年、20年後ではなく、3年、5年後に津和野が酷く荒廃してしまっていないか心配に感じた旅でした。 (旅行記その④へ続く)
旅行記① 旅行記② は、こちら



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