山奥の鍛治工房

趣味でやっている鍛冶作業の記録

野鍛冶の技を見た

2008-09-15 20:10:10 | Weblog
9月14日(日)午後2時30分~3時30分頃
松永家最大の刃物。それは押し切り。
主に藁を切る農具である。
取り扱いを間違えば、指が飛ぶ恐ろしい指ギロチンに
なる。
 その刃を、親父様より仰せつかり、欠けたる部分以外を
研いだ。
 ほんまは全体を研がんとならんだが。手抜きではありませぬ。
 画像が増してワヤクタになってしまいましたが、件のブツ。
 これ全て実家の近所にあった野鍛冶(昭和40年代に廃業)
が製作したもの。
 柄の口金すらも鍛接でやっておるみたい。
 特筆すべきは、藁を刃に押し当てるアーム部。
 一部鍛接剥がれがあるけど、とにかくすごい。
 ピン穴の先を、タガネでセギってつまみ出し、それを安全ガード
にしてある薄い帯鉄に鍛接でくっつけてあるところ。
ハンドル部分も2枚の厚板材と一緒に鍛接してまとめあげてある。
2枚合わせた中間にスペーサーと思われる鉄片がありこれも鍛接。
 それにしてもよく作りんちゃった、とその力量に感心してしまうばかり。
 中華包丁と餅きり包丁を足して2で割ったような刃は、恐ろしい。
分解するとそれはギロチンみたい。
 特徴的なのは、刃が緩やかにカーブを描いておること。
 これは日本刀の刃とよく似ているし、切り込みは抜群。
 扱い間違うと、指ギロチンになるのはこのため。
そうでなくても手ひどい怪我を負う。
 長い間手入れもせんと放置していたので、目も当てられんほど
赤錆が浮いていた。
 研ぐとベンガラを摺ったようで、砥石面は赤茶色に染まり、
粘ってしまい何回も洗わねばならなかった。
 また、錆もかなり深く、研いでもぽつんぽつんと黒い斑点として
残り、それが細かな刃こぼれの遠い原因になっておるようにも
みられた。
 刃が欠けておるのは、祖父が生前誤って硬い木の枝を草と一緒に
切ったため。
 めくれた部分を観察すると、どうも割り込みのようだ。
 しかしながら鋼材の種類が不明。
 地金材も不明。
 作られてからざっと5~60年は経っているであろう、と思われる
代物である。
 しかしながら、それを叩き延べて広げた職人さんの技には
ただ感心するよりほかにない。
 刃の出方は、乱れ調子で漫画に出てくる包丁の刃にそっくり。


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