忙しさにかまけて更新をサボっている間に日本ではいろんなことが起きているようですね。
郵政民営化法案が参議院で否決されたことに腹を立てた小泉さんがどういうわけか衆議院を解散してしまいました。
そりゃ、見ている側としては面白いからいいですけど、当の議員さん達はたまったものではないでしょうね。
小泉さんも随分と思い切ったことをやったものです。
それだけこの法案の成立に賭けていたということなのでしょう。
ちなみに私はアメリカに住んでいることもあって、この法案の中身についてあまり詳しい情報をもっておりません。従って偉そうなことは何も言えないのですが、ただそれにしても、あちこちのWEBサイトやブログを見ていて、この法案の問題点についてちゃんと解説した記事がほとんど見あたらないのは一体どういうわけでしょうか。どの記事を読んでも反対派が党執行部ともめているという表層的な話がひたすらクローズアップされるばかりで、問題の争点がどこにあるのかという話は一向に出てきません。
多分、おおよその国民はこの問題を「既得権益にしがみついている守旧派(抵抗勢力)と、小泉さんを中心とする改革派との闘い」という図式で捉えているのだと思いますが、はたしてこの理解は正しいのでしょうか。
閉塞状態にある現在の日本の状況にメスを入れ、官から民へという大まかな流れを作ろうという主張は決して間違っているとは思いませんが、しかし、解散という人質をとられても尚これだけの議員が民営化法案に反対した理由は、実はそう単純でもないように思えます。
先日インターネット放送で、自民党の加藤紘一氏が郵政民営化法案の問題点について解説しているのを見つけました(第214回マル激トークオンデマンド)。それを見て初めて、皆が揉めている理由が多少理解できたように思います。
加藤氏は「新聞を読んでも郵政民営化論議の問題点が見えてこない理由のひとつは、記事を書いている記者自体が問題の争点を理解できていないからではないか」と指摘しています。
ということで、以下に加藤氏の論旨を簡単にまとめてみます。
現在、日本国内で流通する約1000兆円のうち、500兆を銀行や信用組合などの民間が、残りの500兆を年金、簡保などを通じて役人が回している。年金基金の惨状を見ても分かる通り、役人がこれだけのカネを牛耳っているのは甚だ問題であり、彼らが作った損失の穴を毎年税金で利子補給しなければならい現状を鑑みても、小泉さんの言う“官から民へ”という主張は基本的に正しい。
現在、郵政が運営している郵貯と簡保についてはそのまま民営化しても一向に差し支えない。しかし、ど田舎でも低料金のまま葉書を配達しなければならない郵便事業については現状のままではペイできないので金銭的な補助が必要となる。今までは、郵貯、簡保の利益で郵便事業の穴を埋めていた。従ってこれら3事業を引き離して民営化しようとするならば郵便事業で発生する損失の穴を、ある程度税金で埋めなければならない。ところが財務省がこの出費を拒んだために問題が複雑化した。
現在のすべての議論はここに集約している。
現在、全国に簡易郵便局、無集配特定局が3000箇所ある。一箇所につき例えば年間200万の補助を出すとすると、3000箇所として計60億の税金を当面の間補助として出せばなんとか遣り繰りができる。
つまり、本来なら税金からある程度の身受け金を出して3者を引き離せば済む問題だったのに、財務省がカネを出すのを渋り、且つ、財務省の息のかかった小泉さんが強引に法案の成立にこだわったために今回のような大騒ぎになった。
結局のところ賛成派も反対派も、もめているのは郵便事業に補助を出すのか出さないのかという一点においてであって、決して民営化という流れ自体に反対しているわけではない。
以上が加藤氏の説明です。
なるほど、そういうふうに説明してもらえるとよくわかるような気がします。
つまり、現行の法案のままでは、少なくとも郵便事業に関しては将来破綻する可能性が高く、そうである以上、財務省によって骨抜き(?)にされた郵政民営化法案に乗るわけにはいかない、というのが反対派の主張のようです。
確かに、小泉さんは“財務省の言うなりだ”とか、“妥協を知らない強情な人間だ”などとという話は時々耳にします。したがって、今回もいつものノリで財務省の言うがままに強引に事を運ぼうとしたのでしょう。その結果、理性的な政策論争に代わって感情論が噴出し収拾がつかなくなったというのが真相のようです。
では、小泉さんはなぜここまで意固地になるのでしょうか?
もちろん性格もあるでしょう。というか性格の問題だけ、という気もしますが、加藤氏の見解はやや異なっています。
加藤氏曰く、その最大の理由は「30年来の“角福戦争”の怨念」なのだそうです。30年来の怨念が、彼をこれほどまでに意固地にし、執拗な経世会潰しに駆り立てているのではないかと加藤氏は分析します。
ですから、敢えて穿った見方をすれば、小泉さんは結局のところ角福戦争の恨みから、経世会的なモノに対して牙をむいているだけで、公共の利益について実際はあまり考えてないのだ、と言うことだってできるかもしれません。
「この際、そんなのどっちでもいいじゃん」といわれれば確かにその通りかもしれません。私としても、(飯島秘書官の戦略に乗っかってなのかかどうかはわかりませんが)マスコミが必死に演出(?)しようとしている“闘う小泉純一郎”の姿に一抹の共感を覚えなくもありません。
しかし、こういうドロドロした怨念の部分を見ずして「利権まみれの悪徳政治家 VS 憂国の闘う改革派」といった単純な政治理念の対立としてだけこの問題を捉えて、“小泉自民党頑張れ!”という気に私はどうもなれません。
ということで、いろいろ評価は分かれるところでしょうが、日本を変えるには単純に政権交代以外にはありえないと思っている私にとっては、来る選挙での民主党の頑張りに期待したいと感じる今日この頃であります。
追記:下のコメント欄でもご紹介しましたが、ビデオニュースにおける荒井広幸参議院議員の発言が笑えます。彼が小泉さんの選対委員長をやっていたときの小泉さんの公約は2つあって、一つが郵政民営化、もうひとつがなんと、特定勢力による党支配の打破だそうです。
ですから、いま小泉さんは自らの公約を確実に実行しようとしているわけですな。
まさに政治家の鑑!!
郵政民営化法案が参議院で否決されたことに腹を立てた小泉さんがどういうわけか衆議院を解散してしまいました。
そりゃ、見ている側としては面白いからいいですけど、当の議員さん達はたまったものではないでしょうね。
小泉さんも随分と思い切ったことをやったものです。
それだけこの法案の成立に賭けていたということなのでしょう。
ちなみに私はアメリカに住んでいることもあって、この法案の中身についてあまり詳しい情報をもっておりません。従って偉そうなことは何も言えないのですが、ただそれにしても、あちこちのWEBサイトやブログを見ていて、この法案の問題点についてちゃんと解説した記事がほとんど見あたらないのは一体どういうわけでしょうか。どの記事を読んでも反対派が党執行部ともめているという表層的な話がひたすらクローズアップされるばかりで、問題の争点がどこにあるのかという話は一向に出てきません。
多分、おおよその国民はこの問題を「既得権益にしがみついている守旧派(抵抗勢力)と、小泉さんを中心とする改革派との闘い」という図式で捉えているのだと思いますが、はたしてこの理解は正しいのでしょうか。
閉塞状態にある現在の日本の状況にメスを入れ、官から民へという大まかな流れを作ろうという主張は決して間違っているとは思いませんが、しかし、解散という人質をとられても尚これだけの議員が民営化法案に反対した理由は、実はそう単純でもないように思えます。
先日インターネット放送で、自民党の加藤紘一氏が郵政民営化法案の問題点について解説しているのを見つけました(第214回マル激トークオンデマンド)。それを見て初めて、皆が揉めている理由が多少理解できたように思います。
加藤氏は「新聞を読んでも郵政民営化論議の問題点が見えてこない理由のひとつは、記事を書いている記者自体が問題の争点を理解できていないからではないか」と指摘しています。
ということで、以下に加藤氏の論旨を簡単にまとめてみます。
現在、日本国内で流通する約1000兆円のうち、500兆を銀行や信用組合などの民間が、残りの500兆を年金、簡保などを通じて役人が回している。年金基金の惨状を見ても分かる通り、役人がこれだけのカネを牛耳っているのは甚だ問題であり、彼らが作った損失の穴を毎年税金で利子補給しなければならい現状を鑑みても、小泉さんの言う“官から民へ”という主張は基本的に正しい。
現在、郵政が運営している郵貯と簡保についてはそのまま民営化しても一向に差し支えない。しかし、ど田舎でも低料金のまま葉書を配達しなければならない郵便事業については現状のままではペイできないので金銭的な補助が必要となる。今までは、郵貯、簡保の利益で郵便事業の穴を埋めていた。従ってこれら3事業を引き離して民営化しようとするならば郵便事業で発生する損失の穴を、ある程度税金で埋めなければならない。ところが財務省がこの出費を拒んだために問題が複雑化した。
現在のすべての議論はここに集約している。
現在、全国に簡易郵便局、無集配特定局が3000箇所ある。一箇所につき例えば年間200万の補助を出すとすると、3000箇所として計60億の税金を当面の間補助として出せばなんとか遣り繰りができる。
つまり、本来なら税金からある程度の身受け金を出して3者を引き離せば済む問題だったのに、財務省がカネを出すのを渋り、且つ、財務省の息のかかった小泉さんが強引に法案の成立にこだわったために今回のような大騒ぎになった。
結局のところ賛成派も反対派も、もめているのは郵便事業に補助を出すのか出さないのかという一点においてであって、決して民営化という流れ自体に反対しているわけではない。
以上が加藤氏の説明です。
なるほど、そういうふうに説明してもらえるとよくわかるような気がします。
つまり、現行の法案のままでは、少なくとも郵便事業に関しては将来破綻する可能性が高く、そうである以上、財務省によって骨抜き(?)にされた郵政民営化法案に乗るわけにはいかない、というのが反対派の主張のようです。
確かに、小泉さんは“財務省の言うなりだ”とか、“妥協を知らない強情な人間だ”などとという話は時々耳にします。したがって、今回もいつものノリで財務省の言うがままに強引に事を運ぼうとしたのでしょう。その結果、理性的な政策論争に代わって感情論が噴出し収拾がつかなくなったというのが真相のようです。
では、小泉さんはなぜここまで意固地になるのでしょうか?
もちろん性格もあるでしょう。というか性格の問題だけ、という気もしますが、加藤氏の見解はやや異なっています。
加藤氏曰く、その最大の理由は「30年来の“角福戦争”の怨念」なのだそうです。30年来の怨念が、彼をこれほどまでに意固地にし、執拗な経世会潰しに駆り立てているのではないかと加藤氏は分析します。
ですから、敢えて穿った見方をすれば、小泉さんは結局のところ角福戦争の恨みから、経世会的なモノに対して牙をむいているだけで、公共の利益について実際はあまり考えてないのだ、と言うことだってできるかもしれません。
「この際、そんなのどっちでもいいじゃん」といわれれば確かにその通りかもしれません。私としても、(飯島秘書官の戦略に乗っかってなのかかどうかはわかりませんが)マスコミが必死に演出(?)しようとしている“闘う小泉純一郎”の姿に一抹の共感を覚えなくもありません。
しかし、こういうドロドロした怨念の部分を見ずして「利権まみれの悪徳政治家 VS 憂国の闘う改革派」といった単純な政治理念の対立としてだけこの問題を捉えて、“小泉自民党頑張れ!”という気に私はどうもなれません。
ということで、いろいろ評価は分かれるところでしょうが、日本を変えるには単純に政権交代以外にはありえないと思っている私にとっては、来る選挙での民主党の頑張りに期待したいと感じる今日この頃であります。
追記:下のコメント欄でもご紹介しましたが、ビデオニュースにおける荒井広幸参議院議員の発言が笑えます。彼が小泉さんの選対委員長をやっていたときの小泉さんの公約は2つあって、一つが郵政民営化、もうひとつがなんと、特定勢力による党支配の打破だそうです。
ですから、いま小泉さんは自らの公約を確実に実行しようとしているわけですな。
まさに政治家の鑑!!
この国の目指すべき将来の形が果たしてどんなものであるのか。。。なかなか難しい命題だと思います。
ちなみに、この記事はあくまで加藤紘一氏の語ったアウトラインの部分を書き出しただけのものですので、これと、荒井広幸氏の話とを重ね合わせていただくともうすこし理解が深まるかもしれません。
特に、荒井氏の話の後半部分にはいろいろ考えさせられるものがありました。
もともと僕は小泉流ネオリベ政策自体には少なからず疑問を感じていましたが、最近の、飯島秘書官とつるんだ狡猾極まりない大衆操作の手法などを見ていると、一段と腹立たしさを覚える今日この頃であります。
巷では小泉自民党はそれなりに善戦しそうだとの予想が支配的なのでしょうが、彼の傍若無人な振舞には国民新党の先生方ではありませんが、正直ちょっとついていけません。
あっ!もし小泉支持だったらお許しください。
実は本日郵政民営化に関するブログ記事をサーフィンしていたのですが、kazu-nさんの記事を拝見して、郵政民営化の問題点の本質が一つ分かったような気がします。勉強になりました。
この盆休みに帰省したときに実家の近所の「厚生年金系」施設へ家族で食事をしたのですが、ここでは1000円そこそこで豪華なランチを食べることができます。味もそこそこよいので帰省のたびに利用するのですが、郵政民営化の背景にある公的事業の不透明さを考えるにつけ、また親が「年金生活者にとってはありがたい施設だ。」と言っていることを考えると複雑な思いがしました。
ご謙遜を。。。
ということで、僕がブログをはじめて約一年半。
アメリカ生活のこととかいろいろ書いてるので、暇なときにでも覗いてやって下さい。
(といっても、最近忙しくて更新が滞り気味なんだけど。。)
じゃまた。みんなによろしく。
嫌だったら、言ってください。
小さい頃から本を読んでいるかどうかで文章力はやっぱりかなり違うね。
俺の文章は読み返すとハチャメチャだし・・・・
お元気ですか。
ところで記事中でも紹介したビデオニュース・ドット・コム(http://www.videonews.com/)の最新更新分の中で、郵政民営化反対の急先鋒といわれる荒井広幸参議院議員が出演し、約2時間にわたり持論を展開しています。
無料放送で誰でも視聴できます。これを見ると、いままでマスコミが全くといっていいほど報道してこなかった郵政民営化の具体的な問題点がかなり明らかにされているように思われます。
ここで語られている議論は今後の日本のグランドデザインを構想するうえでもきわめて重要なポイントを含んでいると思いますので、お暇があれば是非ご見てみてください。
ということで、お仕事頑張ってください。
小泉首相の努力の甲斐あって、橋本元首相が
政界引退に追い込またようです。
怨念はどうでも良いので、郵政を含めた官・民の
お金の流れとか、保健医療制度改革・年金制度改革を
一刻も早く断行してもらいたい、というのが、
国民の大多数の意見だと思うのです。
時間の無駄づかいとしか思えない自民党の内紛には
興味はありません。
一方、二大政党とは言うものの郵政民営化法案に
対案の一つも出せない民主党では・・・というのも
また多くの人が感じるところなのでは
ないでしょうか。
成人してから一度も欠かさず国政選挙に投票して
いますが、さて、今回は・・・