明海大学大学院応用言語学研究科

Meikai Graduate School of Applied Linguistics

日本英語教育学会での発表と参会記

2014年03月05日 | 学会発表

 今日3月2日早稲田大学で行われた日本英語教育学会に行ってきました。初の研究発表もでき、非常に勉強になりました。発表の練習やデータ分析の相談などに付き合ってくださった同期・先輩達に深くお礼を申し上げます。おかげさまで何とか“生還”できました。

 

 研究集会の全体のテーマは『グローバル人材の育成』でした。大学の先生、高校の先生、英語教材作成の方々など、様々な方が集まり、発表なさった中、誰しもが課題にしていたのは教育における何らかの「日本人性」でした。その日本人性をどのように伸ばせばこれからのグローバル社会の中でやっていけるのかということについて様々な観点から論じられました。外国人で日本に滞在させていただいている私ですが、その中で聞いていると、今までの日本国民との出会いについて深く考えさせられました。

 特に印象に残ったのは植野貴志子先生の「質問行為」に関するお話でした。アメリカでは学生と先生が話していると、お互いに質問を投げあって会話を繰り広げていくのに対して、日本では先生が学生の発話を膨らますように一方的に質問し、会話をリードしていきます。この現状を、会話分析を通して指摘されました。私もALTの時にこのような行為に何度も出くわしています。給食の時、生徒と一緒に食べ、リラックスした中で英会話をするきっかけはたくさんありましたが、次のような会話が大半を占めます。

 

私:What sport do you like? 

生徒:I like soccer.

・・・

私:What soccer player do you like?

生徒:Beckham

・・・

 

などなどと。そこに「and you?」という一言があれば会話は楽しくなったはずなのに、4年間ALTをやって、そこまで踏み出した生徒は本当に珍しかったのです。原因は自分らの英語に自信がないことにあると考えていました。一方、日本語で日本人と会話している時にも、一方的に会話をリードしてしまっている気がしてくることはしばしばありましたが、いつも相手がシャイだの、あまり話したくないだの、性格に帰するものとして片付けていました。しかし、英会話も、日本語会話も、別ものではなく、共通するものに帰するのかもしれないということを、今回の学会で気付かされました。

 勘違いされては困るので敢えて加えますが、これも立派な会話スタイルです。知識のバランスを考えて、知識の量に劣る側、つまり教えられる側は会話の中でその負担を感じず、学習に集中できます。ただ、自分から発言しないといけない外国語習得には向かないということは言えるのではないかと思います。「グローバル人材の育成」で張り切っている日本は、まずこういう特徴を自覚する必要があるのかもしれないと考えました。

 今回の学会は研究発表もさることながら、全ての参加者の英語教育への純粋な情熱に感動いたしました。支えあいながら進んでいく皆の姿を見て、温かく見守る先生・先輩達がたくさんできたように感じました。

未熟な私ですが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

最後になりますが、この機会を可能にしてくださった早稲田大学と英語教育学会を始め、全ての参加者に深くお礼を申し上げます。

 

明海大学大学応用言語学研究科博士前期過程

Tabolt, Joseph Robert 


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