Drマサ非公認ブログ

自然から遠ざかる病2

 最近テレビで農村や人里離れたところに行ったり、そこでの生活に密着したりする番組が人気です。「ポツンと一軒家」なんかを思い出します。ガーデニングや農村(業)体験、マイクロビオテックなどの自然に根ざした食事などなど注目されています。そういえばキャンプブームもそうかもしれません。

 これら全て自然です。都会に住む人々にこのような自然に対する憧れでしょうか、郷愁でしょうか、どうも人間には自然に触れたいと、自然の中で行きたいという、そんな思いがあるのではないかと思います。

 僕もまた都会で生活していますから、自然と離れたところで便利で効率的な生活を享受しています。自然と接触すると、色々トラブルもあるのです。例えば、虫が入ってくるとかなど。

 どうして自然と触れ合おうとする気持ちが生じるのか、不思議です。僕はすぐ近くに多摩川があります。なんだかそこを散歩していると、自然に少なからず接します。四季によって、樹々や草花が変わりますし、多摩川に生きる魚も変わります。川には鳥が多く生息していて、川面でたゆたうしているかと見ていると、鮮やかに飛び立ち、ユラユラ飛んでいます。夕方歩くことが多いのですが、夕焼けが美しい。

 僕は心不全患者ですから、一生治らないと医者は言い、死ぬまで経過を観察しなければならないとされています。いつも本当だろうか?と訝しく思っています。田舎暮らしをして、自然に囲まれた生活をしたら、気にすることもないのではないかと。

 「自然が不足する」という現代の状況に警鐘を鳴らしたのは、リチャード・ループ『あなたの子供には自然が足りない』(早川書房)です。いま現在泥んこになって遊ぶ子供を見かけることがありません。子供が外で自由に遊んでいることを見ることも減りました。家でゲームでもしているのでしょうか。親の目の届く安全さだけが重視されています。

 21世紀になると、アメリカやカナダで話題になっています。自然から遠ざかった子供には、精神不安定に伴う症状が出やすいことが指摘されたのです。日本でもほんの少し取り上げられました。

 以下の本になります。

https://www.asagiri-kogen-clinic.com/book01.htm

 自然欠乏症候群と言いますが、子供に出る症状は、集中力がない、落ち着きがない、忍耐力がなく、癇癪持ちになる、他人に気遣いできない、などで多動症などの行動障害と重なっています。

 現代の子供は人工物を環境とします。そのため感覚を養うことにハンデを持つのではないかと思われます。砂を手で触ります。砂は乾いている時、濡れている時、手で持つとき、指で持つ時、色々形を変化させます。その変化に対応するのが感覚になりますが、その変化の微妙な差異を感じて、その差異を通して、砂にどのように触れたり触ったりすると、自分が思っていた形になるかを経験します。

 これが感覚が培われるということです。自然には、そういう変幻自在なところがあって、それを感覚を通して学ぶわけです。つまりは学習。ところが、こんな光景を見たことがあります。3歳ぐらいの子供が砂あそびをしているのですが、思い通りにならないようで、すごい勢いで怒りはじめたのです。近くにお母さんがいて、スマホいじって、それに気づかない。

 机の上でのみ学習をするならば、ほかでは学習する機会を失っています。手探りで五感を総動員して世界を広げることを学び、そのような学びをすることで学びが成立することを知っていきます。スマホやipadを子供に持たせるより、自然と遊ぶことの方が、子供を大切に思うなら大切でしょう。そういえばスティーブ。ジョブスが子供にはスマホを持たせなかったらしいですね。

(つづく)

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