ネットで「デイリー新潮」をたまたま見た。記事は「羽鳥慎一モーニングショー」がコロナの恐怖を煽るというものだ。
不安を煽ることが視聴率を稼げるというテレビの構造を問題にしているが、Go toトラベルで助かる事業者が多く、感染者も少なく、それなのに中止に追い込んだと論じている。
そのような論旨の根拠となる証拠自体が問題だが、その記事ではインフルエンザと新型コロナの比較をしている。こちらも科学的なリテラシーが欠けたままの記事になっている。
一部引用しよう。
それに日本の場合、インフルエンザには毎年1千数百万人が感染し、関連死を含めると約1万人が死亡するとされている。ところが新型コロナの感染者は最初の感染者確認から約380日が過ぎた1月29日時点でわずか38万4039人(20年末時点の国民の0・3%)、死者は関連死を含めても5596人に過ぎない。しかも死者の9割以上は、持病の悪化による関連死。欧米諸国に比べて感染者数が圧倒的に少ない他の東アジア諸国と同様、黄色人種である日本人が国民の感染率7・8%の米国や、5%前後の欧州各国のように新型コロナをそれほど恐れる必要はない。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/02031101/?all=1&page=1より
当初からインフルエンザと今回のコロナの比較がメディアに多々見られたが、「コロナは大したことがない」との安全厨記事であった。2020年春頃なら、ちょっとした比較をして、「大したことがない」と思うのは人情として許容できる。しかし、いま現在のコロナの状況を見て、まだそんなことを言っているというのは?である。
東大の児玉龍彦先生の資料から
【インフルエンザとどこか違うか】
1.2面性を持つ。無症状や軽症の患者か多い一方、突然、見たこともないような肺炎か起こり、呼吸不全が起こり、人工呼吸器が長期にわたり外せなくなり、致死的な場合も多い。
2.突然、感染者か増加し、理由もわからす、感染か終息していく、と思うとしつこく続き、再び蔓延する。
3.無症状の人が感染を広げ、突然嵐のような蔓延が繰り返しおこる。不安が募り、経済・社会に壊滅的影響を与える。震源地を断つ必要がある。
3は1と2の科学的な状況理解から考えられた対策である。さて、インフルエンザで1と2のような状況は生じるだろうか。社会の中でインフルエンザが蔓延しても、医療崩壊の危機を迎えたりしただろうか。インフルエンザで三密やソーシャル・ディスタンスを考えただろうか。
現実が変わったと認識できないだろうか?
(つづく)