中国の豊かさの秘密はなんであろうか。
それは明確な階級社会であること。これに尽きる。今回中国に行って感じたこと、そして20年以上前に初めて行った時を比較しても、その考えは変わらなかった。確かにこの20年を比較すると、発展したことは間違いない。
とはいえ、中国は中国。そんな印象であった。どういうことか。
今回僕はホテルに1週間滞在した。そのホテルの従業員たちは地方から上海に来て働いている。本当によく働くし、実に親切である。
あるいはレストランに行く。そこで働く若い男女もまた、ホテルの従業員同様地方出身者である。タクシーに乗る。タクシーの運転手も同様である。ちなみに正規のタクシー会社ではなく、日本で言えば、ライドシェアも多いのだが、彼らはそれだけで食えているし、地方出身者である。
一番すごいと思うのが、デリバリーの発達である。何でもかんでもデリバリーで届けてもらえるのだが、当然デリバリーで飯を食っている人が多いわけだ。僕なんか朝コーヒーだけをデリバリーしてもらった。ちなみに日本の生活では、一度もウーバーイーツなど利用したことはない。
これら総じて労働者が存在する。昔風で言うとブルーカラー。
そして、これらのモノサービスを享受するのは、都市中産階級である。昔風の言い方をすれば、ホワイトカラー。
中国は共産主義国家であるから、皆が労働者であるが、そこに明確な線引きが存在している。都市中産階級と地方出身労働者との二分法である。後者が前者の豊かな生活を支えるための労働に勤しむ、そういう構造である。
僕が行ったレストランは巨大ショッピングモールの中にある巨大レストランが多かった。日本ではこの規模のレストランを見ることはあまりないが、中国では標準である。
そこに行くのは都市中産階級。ここで取り上げた労働者は行かない。もちろん高価であるのだが、労働者は街中にある小規模の食堂に行く。こういうところでも、明確に階級化されている。
かといって、後者が卑屈な存在かと言えば、全くそんなことはない。胸をはって働いているように見えるし、少しばかり話をすると、仕事に誇りを持っているように思える。
日本の”負け組”は劣等感を抱いて生きているように思われるが、そういう社会意識は作られていない。
このような状況理解をした上で、日本の先行きにも考えが浮かんで来た。次回はそれについて、書いていきたい。