Xさんのセクハラ、しかしながら女性看護師がそれを当たり前のように受け入れていることに違和感しかなかった。ただ妻と一緒に「よくやるなあ」と60歳にもなるおじさん(昔なら老人)が“元気のあること”と笑っていただけでもある。個人的に一番嫌だったのは、Xさん四六時中オナラをすることであった。っていうか、品がないんだよねえ。
当事者同士がなんとも思っていなかったら、問題ないのではないかという疑問もあると思うので、少し検討して見たい。そこで先日タレントのカズレーザーが梅沢富美男のセクハラ発言に見事な返しをしたという話を補助線として、引いておこうと思う。
12月3日、フジテレビの「とくダネ!」で、就活セクハラが取り上げられた。就活中の女子大生が「彼氏いるの?」などと就活と関係ない質問をされたり、ホテルに誘われたりするという実態を取り上げていた。このような実態から学生有志「SAY」が政府や企業、さらに大学に対策を具体化するように声を上げたという内容であった。
これを受けて、スタジオの梅沢が「ホテル行くなら採用する」なんて言語道断だと批判したが、自身の劇団の女優さんに「お前、ずいぶん綺麗になったな」と言うと、「セクハラだ」と言われ、「ブスになったな」と言ったら「パワハラだ」と返されたとの話をした。
そこでカズレーザーが「言う必要ないですから」とピシャと指摘したという。ただ、梅沢はなんでもセクハラ、パワハラになっちゃうと言って困惑していたという。ネットの反応ではカズレーザーさんの発言が正論であるとして支持を受けているという。
このカズレーザーの「言う必要ない」という言葉はそのままXさん「彼氏いる?」などの発言に適応することができる。看護師は仕事中である。だから仕事に関わる発言が中心となるのは当然であり、そうなるべきである。
もちろん人間同士のコミュニケーションなので世間話が入り込むのは当然ではある。しかし、「彼氏いる?」との発言はもちろん仕事に関する発言ではないし、その発言の意味内容が女性のプライバシーに直結している。ここでは看護師という属性は無視され、女性の性のみを対象としたコミュニケーションに向かっている。だから“セクシャル”なのだ。
Xさんは女性とのコミュニケーションが上手なように見えるが、そのじつ世間話もできず、そういう性的トピックにのみ言及する力しか持っていない。そういう形でしか女性と接することができない。
仮に「彼氏いる?」と聞くためには、人間関係が構築され、その中で聞けるような関係性が醸成された時になってするべきことである。どうしたら関係性が醸成されたかどうかがわかるかというと、それこそコミュニケーション能力であって、一律に、かつ事前に決定できるものではない。
さらに、看護師もまた喜んでいたわけだから彼女たちも同様だ。女性もまたセクハラに加担するということがある。そういう文化が共有されているわけだ。結局、男女両者がセクハラ的な文化の共犯なのである。
ちなみに梅沢がどうしていいかわからないとしているが、あからさまではないにしても、女性とのコミュニケーションが性にまず向かってしまう傾向が強いのであろう。絶対ということはないけれども、結局、その女性との関係性が醸成されていないか、限定された女性とのコミュニケーションに収斂してしまっていると推測できる。