室蘭住民のブログ

室蘭の住民による、環境系ニュースのアーカイブ。日付が後追いになる場合もあります。リンクフリー。

■【室蘭・開栄丸】(2006.9.2)室蘭民報「原燃輸送船の室蘭港係留岸壁、30年ぶりに変更

2019年09月16日 18時00分10秒 | 開栄丸
室蘭民報WEB NEWS 2006.9.2朝刊 より転載させていただきます。
http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2006/200609/060902.htm
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原子力発電所などで利用された使用済み核燃料廃棄物などを輸送する、原燃輸送(本社東京)は1日、同社所有の専用運搬船3隻のうち1隻の室蘭係留岸壁を、30年ぶりに変更することを明らかにした。日通室蘭ふ頭(御崎町)から、栗林商会専用ふ頭(本輪西町)になる。運搬船は新造船の「開栄丸」(5000トン)。年間で、稼働しない10カ月程度を空船で係留する。今月中旬にも入港する予定。

 原燃輸送は、原発などで利用された使用済み燃料を、全国の原子力発電所から青森県六ケ所村と茨城県東海村の再処理工場に輸送している。輸送は限定期間に行われるため、稼働しない期間は港に係留される。

 室蘭では昭和52年、日通室蘭の専用ふ頭に「日の浦丸」が係留されたのが最初。以後、同ふ頭では低レベル放射性廃棄物の運搬船を含め、3隻を係留させている。今回は「日の浦丸」が老朽化したことに伴い、30年ぶりの更新を決めた。

 同社は新造船「開栄丸」を建造するとともに、同船の運航が新和内航海運(東京)に変更したため、新たな係留場所を求めていた。室蘭にとっては初めて係留場所を、日通ふ頭から栗林商会のふ頭に移した。ほかの2隻は運航会社が変更しておらず、これまで通り日通ふ頭で係留する。係留中に廃棄物は積載しない。

 開栄丸は積載量2800トン。栗林商会は開栄丸の係留決定を受け、ソーラス条約に従い接岸付近に縦20メートル、横120メートルの柵を設けた。周辺5カ所に監視カメラを設置した。

 使用済み燃料は、発電所の貯蔵プールで一定期間冷却された後、キャスクと呼ばれる専用の輸送容器に収納され、輸送物として仕立てる。搬出前には、輸送物表面の放射能量や放射線量が法令の基準を満たしていることを事業者と国または国の指定機関が確認する。
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ここまで

■【東京新聞・開栄丸】(2019,7,29)活用見えぬ核燃運搬船「開栄丸」、国費130億円投入

2019年07月29日 23時40分12秒 | 開栄丸
https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/1109
「東京新聞 原発のない国へ」

研究用原子炉で使った核燃料を運搬する専用船「開栄丸」が、使い道もなく10年にわたって北海道・室蘭港に係留され、たなざらしになっている。建造や維持費に国費約130億円が投じられたものの、輸送実績は2006年から09年までのわずか4回だけ。所有する「原燃輸送」(東京都港区)や電力業界は新たな利用を模索するが、針路は見えない。 (宮尾幹成)


巨額の国費を投じながら、使用中止になった使用済み核燃料運搬船「開栄丸」=5月、北海道室蘭市で

■契約打ち切り
 今年5月、室蘭港北側にあるJR本輪西(もとわにし)駅前の海岸に開栄丸の姿があった。全長100メートル、全幅16.5メートル。使用済み核燃料を入れる容器12基を積載できる。船上に人の姿はなかった。
 開栄丸は06年、国の研究機関の日本原子力研究開発機構(原子力機構)が廃炉中の新型転換原型炉ふげん(福井県)の使用済み核燃料を、東海再処理施設(茨城県)へ運ぶために建造された。原子力機構を所管する文部科学省は建造・維持費約285億円を26年かけて支払う計画を立て、14年度までに約100億円を支出した。
 だが06~07年にふげんの使用済み核燃料を3回運んだ以外は、09年に関西電力大飯原発(福井県)から核燃料1体を茨城県東海村の別の施設へ運搬しただけ。15年、自民党行政改革推進本部の調査で問題となり、大幅な予算削減を迫られた原子力機構は、原燃輸送との契約の打ち切りを決めた。それでも国は20年度までの5年間、維持費30億円を負担する。

■海外輸送できず
 ふげんには466体の使用済み核燃料が残っているが、運び先だった東海再処理施設は18年から廃止作業中で、核燃料の受け入れはできない。原子力機構は同施設で保管中の265体の核燃料とともにフランスへの搬出を検討している。しかし、開栄丸は使用済み核燃料を海外へ輸送するのに必要な防護措置が施されていない。
 開栄丸は、青森県六ケ所村の再処理工場で使用済み核燃料から取り出したウランとプルトニウムを混ぜたMOX(モックス、混合酸化物)粉末や、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の使用済みMOX燃料を運ぶ許可を保有するものの、再処理工場はトラブル続きで本格稼働のめどが立たない。もんじゅも廃炉となり、残る使用済みMOX燃料はフランスへ搬出される可能性が高く、開栄丸の出番はない。



■別の船も動かず
 開栄丸の使い道について原燃輸送は「原発の使用済み核燃料も運べるが、何も決まっていない。廃船にする予定はない」(広報)と説明。出資者である大手電力10社でつくる電気事業連合会も「業界として検討はしているものの、未定」としている。
 国の核燃料サイクル政策では、使用済み核燃料は再処理工場へ運ばれる計画だが、工場内の核燃料を保管するプールはほぼ満杯。原燃輸送が所有し、各地の原発から再処理工場向けの輸送を担う別の船「六栄丸」も、17年度以降は輸送実績がない。
 現在、原燃輸送が手がけるのは、原発から出る放射能の比較的低い廃棄物の入ったドラム缶を、六ケ所村の処分場へ運ぶ業務だけ。核燃料サイクル政策の行き詰まりを象徴している。

■核燃料サイクルとは?
 日本は、原発で使った核燃料の再利用が基本方針。構想では、再処理工場で使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX燃料に加工して使う。再利用は通常の原発と高速炉の二つの道筋があるが、原発の核燃料の再処理は本格稼働が見通せない。高速炉の方は実現のめどさえなく、構想は破綻している。

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<東京新聞 電子版>
https://digital.tokyo-np.jp/lp/

■【北海道新聞・開栄丸】(2019.6.5)北海道新聞「核燃政策の象徴、室蘭居座る」

2019年06月07日 21時36分59秒 | 開栄丸
ガバメント北海道  ・Government...英語で行政府、政治、統治者の意味



「核物質防護の観点から回答は差し控える」
室蘭港に停泊する1隻の船について取材すると、担当者は物々しい「核物質防護」という言葉を繰り返すだけだった。
JR本輪 西駅に近い、その船が接岸する埠頭には、2重のフェンスと複数の監視カメラが設置され、近づこうとすると警備員に制止された。
船の名は「開栄丸」。全長約100m。 総重量4924トン。操舵室の外壁には「特別管理物」という表記も見える。
核兵器の原料にもなるプルトニウムを一定量以上含む核燃料や、使用済み燃料を運べる国内唯一の特殊な船だ。所有するのは原燃輸送(東京)。 使用済み燃料からまだ使えるプルトニウムなどを取りだして再利用する「核燃料サイクル」を回そうと、原発を持つ全国の電力会社などが出資してつくった会社だ。
もとは、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構が2006年に建造した。福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」で使い終えたプルトニウムを含む燃料を、茨城県東海村の核燃サイクル施設に運ぶためだった。船籍港は東京。なぜか当初から、航路と全く関係のない室蘭港に係留された。
06~09年度にふげんの使用済み燃料などを計4回運んだ後は、核燃サイクルのめどが立たない中、09年11月以降の運搬実績はゼロ。07~18年度の12年間、毎年300日以上は室蘭港に停泊している。昨年度は340日も室蘭港に停泊し、港を出たのは、 道外のドックでの定期点検など計4回にすぎない。

過去10年、運搬実績がないにもかかわらず、膨大な維持費がかかっていた。15年度までは毎年12億円前後。文科省が原子力機構を通じ原燃輸送に支払う仕組みだった。 船の管理運航は原燃輸送が別の民間海運会社に委託し、停泊する埠頭は室蘭の民間埠頭会社が20年契約で貸しているという。
15年当時の資料によると、原燃輸送が原子力機構に出した見積もりで、13~17人の乗組員の平均月給は123万円とされていた。 実際の給料や岸壁使用料など維持費の内訳は、当時も今も、どの会社に尋ねても 「民間契約なので答えられない」との返事だ。

文科省を含む中央省庁の事業の無駄を点検するため、政府が15年11月に行った行政事業レビューで、現外相で当時行政改革担当相の河野太郎氏は、 開栄丸を「原子力政策の無駄を象徴する船」と痛烈に批判。原子力機構はようやく17年度末で手放した。 とはいえ、分割払いが残る20年度末までは 年間約6億円を支払う。
税金の投入は解消されたとしても、原燃輸送の得意先は北海道電力など全国の電力会社。つまり維持費は回り回って私たちの電気代から支払われる。 室蘭の民間埠頭会社に入る接岸料や乗組員の飲食で落ちるお金を除けば、地元に恩恵があるわけでもない。 昨年度、室蘭市に入ったのは年4回の 入港料計2万2844円だけだ。
河野氏の側近で、開栄丸の無駄をいち早く指摘した秋本真利(まさとし)衆院議員は「回らない核燃サイクルの象徴が開栄丸だった。その状況は今も変わらない」と話す。
開栄丸はいつまで室蘭港に居座るのか。今後の予定や方針について原燃輸送に問い合わせたが、答えはやはり同じだった。「核物質防護の観点から回答できない」
(関口裕士)


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■【室蘭・開栄丸】(2015.10.30)ブログ記事

2019年05月20日 21時30分07秒 | 開栄丸
核燃料運搬船「開栄丸」、稼動せずに5年間の維持費”60億円”で無駄金か
http://blog.livedoor.jp/aokichanyon444/archives/55404287.html
上記ブログより転載です。

核燃料を運ぶための船が5年間、全く使用されず、維持費の計60億円が無駄になっていると批判されています。
画像:【核燃料運搬船「開栄丸」】

29日に各紙で報じられた内容。
北海道室蘭市の港に係留されている核燃料運搬船「開栄丸」は、2006年に日本原子力研究開発機構が48億円かけて作り、毎年12億円の維持費がかかっている船ですが、これまでに使用された回数は”わずか4回”とのこと。また過去5年間は1回も使用されず。

この問題の背景には、開栄丸が「核燃料サイクル」を前提に作られた船ということがあります。
原発で一度使われた使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、再び混ぜ合わせてMOX燃料に加工し、高速増殖炉もんじゅなどで使用していくのが「核燃料サイクル」ですが、もんじゅは2010年に起きたナトリウム漏えい事件から度々トラブルを起こし、現在も運転停止中。
(※wikiより→もんじゅは、日本の福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉である。研究用原子炉との位置付けから、商業用原子炉と異なり、文部科学省の所管となる。高速増殖炉実用化のための原型炉として建設されたが、冷却用ナトリウム漏れ事故等のトラブルにより、ほとんどの期間は運転停止状態であった。2016年12月21日に廃炉が正式決定された。現在、廃炉作業中である。建設費: 約5,900億円/約1兆810億円(当初予算/現在までの累計額))
画像:【高速増殖炉もんじゅ】

再開のメドが立たず、「開栄丸」は港に繋がれたままになっています。
現在、民間会社「原燃輸送」の船員13人以上が「開栄丸」に寝泊りしていますが、原子力機構は年間12億円もの維持費の中身を明かしていません。
また原子力機構を所管する文部科学省は、今後約15年で181億円の維持費がかかるとしています。
なお、稼動していないもんじゅの維持費も1日につき、5500万円となっています。

福島原発もそうですが、大きなトラブル発生後にかかる費用がばく大ですね・・
もちろん、すべて税金からまかなわれています。
ーーーーここまで転載ですーーーー
※部分は当ブログ管理者追加。

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■【東京新聞・開栄丸】(2016.10.10) 過去経費100億円 実績4回の開栄丸 使用中止に反発か

2019年05月14日 16時43分24秒 | 開栄丸
2016.10.10 東京新聞より
2018年度までに使用を終える と書いてありますね。
現在も室蘭の本輪西に停泊していますが、どうなるのでしょうか。

核燃運搬船予質支出されず

過去経費100億円 実績4回の開栄丸 使用中止に反発か
自民行革本部調べ

輸送実績がほとんどないまま、巨額の維持費を国費で負担したことが問題視され、2018年度までに使用を終える使用済み核燃料運搬船「開栄丸」を巡り、文部科学省の本年度関連経費 六億円が支出できない状態であることが、自民党行政改革推進本部(本部長・河野太郎前行革担当相) の調べで分かった。同本部は船を所有する運送会社「原燃輸送」(東京都港区)が使用中止に反発しているためとみており、関係者に事情を聴いている。(宮尾幹成)

原燃輸送 日本で唯一の原子力関係物質の輸送を専門とする株式会社。核燃料サイクルの一環となる原発から出た使用済み核燃料の輸送のほか、 海外からのウラン輸送などを行う。商社と運輸の計6社が1973年に設立した会社が前身で、その後に電力会社10社も参画。86年に現在の社名となる。本店は東京都港区。

(写真)
使用済み核燃料運搬船「開栄丸」 (原燃輸送のホームページより)

開栄丸は、日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)が、新型転換炉ふげん(福井県敦賀市、運転終了) の使用済み核燃料を東海村の再処理工場に運ぶため、06年に建造。所管する文科省は建造・維持費約285億円を26年かけて原燃輸送に支払う計画を立て、14年度までに約100億円を支出したが、輸送実績は過去四回にとどまる。
昨年11月、予算の無駄 を洗い出す政府の行政事業 レビューで事業見直しを求められ、機構は今年2月、 原燃輸送に2年後の使用停止を通知した。文科省は本年度予算で前年度の半額となる6億円を維持費などとして計上し、原燃輸送には人件費の大幅削減などを求めた。
党行革本部の調べでは、原燃輸送は予算の受け取りを拒否した上、船員数などは従来の態勢を維持して使用停止に抵抗する姿勢をみせているという。秋本真利本部長補佐は「使用中止は正当な契約に基づくもの。 原燃輸送の姿勢は問題」と指摘し、近く行う公開ヒアリングで取り上げる考えだ。
原燃輸送は、本紙の取材 に「契約上の事柄に関わるので答えられない」、原子力研究機構は「先方と協議中で、現時点では答えられない」とコメントしている。
2016年10月10日 (月曜日) 東京新聞 12版 朝刊3面 3ページ

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