室蘭住民のブログ

室蘭の住民による、環境系ニュースのアーカイブ。日付が後追いになる場合もあります。リンクフリー。

■【室蘭・廃炉金属加工】(2019.6.11)廃炉原発 金属再利用の課題 NHKニュース

2019年06月12日 13時33分58秒 | 原発廃炉金属
【NHKほっとニュース北海道】2019,6,11

北海道NEWS WEBより

あなたはこのニュースを見て、どのようにお感じになりますか。

(こちらはテレビをスマホで録画したものです。画像は荒いです。字幕もつけられます。
https://www.youtube.com/watch?v=tj1D9GI-nHk)

06月11日 19時22分

東日本大震災での福島第一原発の事故をきっかけに見直しが進む原発。
国内の20基は廃炉が決定し、今「廃炉時代」を迎えています。
その廃炉を進める上で課題になるのが、金属やコンクリートなどの廃棄物です。
国は放射性物質をほとんど含まない廃棄物を再利用できる制度を設けていますが、ほとんど進んでいないのが現状です。
安全な再利用の道はあるのか、最近室蘭市で行われた再利用の試験を取材しました。

再利用を巡って、いま特に問題になっているのは原発で原子炉から比較的離れた部分に使われていた配管や機器などの金属部品です。
現在も年間約1000トンが排出され、これが廃炉が増える10年後には10倍にふくれあがると推計されています。
この金属は原発の廃棄物ではありますが、放射線の影響については人が自然界で受けるよりも低いものと法律で分類され、放射性物質によって直接汚染されている原子炉の部品などとははっきり区別されています。
しかし、原発から出たことで、不安を持たせかねないとして電力会社では慎重に取り扱っていてほとんどが原発の敷地に保管した状態で、このままたまり続ければ、廃炉自体が進まなくなると懸念されているのです。

国は、こうした放射性物質をほとんど含まない金属に対しては、一般の産業廃棄物と同じように溶かすなどして再利用できる「クリアランス制度」を設けています。
この制度で実際に安全な再利用ができるのか、国の委託を受けて室蘭市の室蘭市の日本製鋼所の工場でこのほど検証が行われたのです。
検証は実際に廃炉になった原発から出た金属を運び込み、平成29年度まで3年間行われました。
金属を溶かして原発の廃棄物を入れる容器に加工し、一連の製造工程で放射線の影響を測定しました。
その結果、環境に放出されたと考えられる放射性物質による影響は私たちが1年間に自然界から受ける放射線量の約66万分の1であることが分かりました。

(日鋼)担当者(中西英雄総務部長)は「ヨーロッパなどでは先行して運用されている制度で、日本ではさらに厳格な基準を設けていることもあり、安全だと認識している。もし事業として取り扱うということになれば、地元の理解を得ながら進めていく」と話しています。

一方で、市民の間には、ごく微量とはいっても放射線の影響は無視できないのではないかという声もあります。
室蘭市の市民団体「原発廃炉金属の再利用を監視する市民の会」の大倉幸子共同代表は「ごく微量の放射線とは言っても、もし日常の生活の中にそうした再利用金属の製品が入り、長期間にわたって放射線にさらされたとき、本当に影響はないと言い切れるのだろうか。総量はなにも規制されていないのに安易に使い続けることは危険ではないのか。きちっとした情報を各段階で出し、市民が知ることができる、信頼できる形で出していただきたい」と話します。

廃棄物の受け入れ時期や作業内容など各段階ごとの情報を明らかにして、理解を得る努力をしてほしいとしているのです。

一方、廃炉から出る金属には有用で高価なものも多く含まれているので、理解を得たうえで再び活用すべきという指摘もあります。
金属のリサイクルに詳しい室蘭工業大学の清水一道教授は「非常に高額な元素がたくさん入っている以上、資源の少ない日本はそれを溶かして使っていった方が絶対にエネルギー的にも価格的にも有利だ。市民の理解を得て、情報公開を徹底しながら進めるべきだ」と話します。

これから多くの原発が廃炉を迎える中で、住民理解は喫緊の課題です。
国や電力会社も社会に定着するまでは慎重な取り扱いをしていくとしていますが、繰り返し丁寧な説明を行って理解を得ることが求められていると思います。

(種川記者)

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■【北海道新聞・開栄丸】(2019.6.5)北海道新聞「核燃政策の象徴、室蘭居座る」

2019年06月07日 21時36分59秒 | 開栄丸
ガバメント北海道  ・Government...英語で行政府、政治、統治者の意味



「核物質防護の観点から回答は差し控える」
室蘭港に停泊する1隻の船について取材すると、担当者は物々しい「核物質防護」という言葉を繰り返すだけだった。
JR本輪 西駅に近い、その船が接岸する埠頭には、2重のフェンスと複数の監視カメラが設置され、近づこうとすると警備員に制止された。
船の名は「開栄丸」。全長約100m。 総重量4924トン。操舵室の外壁には「特別管理物」という表記も見える。
核兵器の原料にもなるプルトニウムを一定量以上含む核燃料や、使用済み燃料を運べる国内唯一の特殊な船だ。所有するのは原燃輸送(東京)。 使用済み燃料からまだ使えるプルトニウムなどを取りだして再利用する「核燃料サイクル」を回そうと、原発を持つ全国の電力会社などが出資してつくった会社だ。
もとは、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構が2006年に建造した。福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」で使い終えたプルトニウムを含む燃料を、茨城県東海村の核燃サイクル施設に運ぶためだった。船籍港は東京。なぜか当初から、航路と全く関係のない室蘭港に係留された。
06~09年度にふげんの使用済み燃料などを計4回運んだ後は、核燃サイクルのめどが立たない中、09年11月以降の運搬実績はゼロ。07~18年度の12年間、毎年300日以上は室蘭港に停泊している。昨年度は340日も室蘭港に停泊し、港を出たのは、 道外のドックでの定期点検など計4回にすぎない。

過去10年、運搬実績がないにもかかわらず、膨大な維持費がかかっていた。15年度までは毎年12億円前後。文科省が原子力機構を通じ原燃輸送に支払う仕組みだった。 船の管理運航は原燃輸送が別の民間海運会社に委託し、停泊する埠頭は室蘭の民間埠頭会社が20年契約で貸しているという。
15年当時の資料によると、原燃輸送が原子力機構に出した見積もりで、13~17人の乗組員の平均月給は123万円とされていた。 実際の給料や岸壁使用料など維持費の内訳は、当時も今も、どの会社に尋ねても 「民間契約なので答えられない」との返事だ。

文科省を含む中央省庁の事業の無駄を点検するため、政府が15年11月に行った行政事業レビューで、現外相で当時行政改革担当相の河野太郎氏は、 開栄丸を「原子力政策の無駄を象徴する船」と痛烈に批判。原子力機構はようやく17年度末で手放した。 とはいえ、分割払いが残る20年度末までは 年間約6億円を支払う。
税金の投入は解消されたとしても、原燃輸送の得意先は北海道電力など全国の電力会社。つまり維持費は回り回って私たちの電気代から支払われる。 室蘭の民間埠頭会社に入る接岸料や乗組員の飲食で落ちるお金を除けば、地元に恩恵があるわけでもない。 昨年度、室蘭市に入ったのは年4回の 入港料計2万2844円だけだ。
河野氏の側近で、開栄丸の無駄をいち早く指摘した秋本真利(まさとし)衆院議員は「回らない核燃サイクルの象徴が開栄丸だった。その状況は今も変わらない」と話す。
開栄丸はいつまで室蘭港に居座るのか。今後の予定や方針について原燃輸送に問い合わせたが、答えはやはり同じだった。「核物質防護の観点から回答できない」
(関口裕士)


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