ほぼコルマールの街を1周したくらい、よく歩いたので疲れ果てた。
運河にはベンチがあったので、腰を掛けて待つことにした。
しばらく一緒に座っていたが、まだ1時間以上あるというのに、最前列を陣取るように(といってもこの時点ではだれもいない)、奥さんと二人して立っていた。
つまり1時間以上この寒い中歩き疲れた足なのに、立って待つというのだ。
わたしでも(わたしには?)、とても無理だった。
ベンチから動かない私に「そんなところだと見えないよ」という。
「いいの。コーラスは聞くものでしょ。」(私も大人げなく?反乱開始?)
しかし、好きなことのためには、疲れも忘れることができるのか、他にどんな理由で寒空の中でじっと待てるのだろうかと、不思議に思う。
少し早い時間にリハーサル?の船がやってきた。私はこれを見ただけでも十分なくらいだった。
どんどん私の前に人が増えていったが、ベンチの上に立つこともできたし(フランス的?)、見えないこともなかった。それよりも夜も更けて寒さが増して来たほうがこたえた。
そして、時間になって、コーラスの子供たちを乗せた船がやってきた。
ウイーン少年合唱団のようなコーラスを想像してはいけない。村の子供たちが恥ずかしそうに控えめに歌っていた。それでも子供たちが可愛いということで満足できた。観衆たちからは「ブラボー!!」。
ある程度聞いたら、もうじゅうぶんだったので、運河の前のお店に入って暖を取ることにした。ヌガーの店だった。
私はそれまであまり好きではなかったのだが、ここのヌガーは美味しいと感じた。蜂蜜の味がしっかり、そして柔らかい。
ちらっと運河を見ると、コーラスも終わり、エスカレーターはきょろきょろと私を探している様子だった。このまま、しばらくじっとしてようかとも思ったが、まあちょっと気の毒なので、ここだよと、合図を送った。それでもちょっと不機嫌だった。「勝手に離れないように」と言われた。