ヌガーを買って、また歩き出した。帰路に向かうのだった。
しかし、橋に差し掛かると、きれいなイルミネーションで、私は「待って。写真を撮りたいから」と大きな声で言った。
しかし、エスカレーターは振り向かず行ってしまった。・・・と、私は思った。
そこで、私もせっかく来たのだから、写真くらいは撮ろうと、撮り終えてから追いかけた。
・・・つもりであった。
しかし一向に追いつかない。後ろも振り返りながら、歩いて行ったのだが、見当たらない。
そんなに歩くのが速いとは思えないが、いないのでとにかく、駐車場まで歩いてみようと思った。
そして、駐車場の近くまで来た時、電話が鳴った。「どこにいるんだ?」「駐車場の近く」
「待って、というから待っているんだ。ずっと」
「じゃあ、戻るわ」と戻り出し、半分くらいまで戻ったところで、とぼとぼ歩く夫婦を見つけた。
と、いきなり、耳をひっぱられた!!!!
「よく、聞きなさい。あれだけ、勝手に離れてはいけないといっただろう!!」と。
珍しく普段はおとなしい奥さんまでが「ずっと待っていたのよ!!!」と声を荒げた。
確かに私も悪かった。お互い疲れていた。
無言で歩き、車に乗った。
私は、まだ耳を引っ張られたことに腹が立ち、おさまらない。
しかし、奥さんはさっきあれだけ大きな声で怒ったのに、もう何もなかったかのように
「寒くなってきたね。大丈夫?」と優しく声をかけてきた。
ああそうだ!!!「フランス人は罪を憎んで人を憎まず」だったことを改めて思い出す。