
「みけ」が連れてきた子ネコのううち、2匹のねこがしばらく外で暮らしていました。
女の子の「くろシマ」(サバトラ)と男の子の「ちゃシマ」(きじとら)です。
名前は特になく、いつもこうやって呼ばれていました。
二匹はいつもいっしょに遊んでいました。
そのうちの「くろシマ」は、本当に無邪気で、人なつっこく、かわいくて…。
ひとりで、止めてある自転車によじ登ってじゃれたり、かわいいしぐさでしょっちゅう笑わせてくれました。
でも、落ち着きがなくて、心配なくらいでした。
毎日、夕方になると、私が帰ってくるのを待っていて、2匹でどこからかとんできて、エサをもらいに来ていました。。
ある日、いつものように自転車に乗っての帰り道。
暗くなりかけた空に、大きな満月がキレイな夕方でした。
その月を見ながら、家に近づくと、…何か胸さわぎがしました。
いやな予感がしました。
家の前の道に、黒い塊がありました。
「くろシマ」でした。
まだ暖かく、車にひかれたばかりでした。
「ばか!!!」
わたしが帰ってくると、エサをもらいに嬉しそうに飛んでくる姿が、浮かびました。
あわてんぼうで、いつか事故にあわなければいいと思っていたけど…
[現実]になってしまった…!!
私は、冷たくなっていく「くろシマ」の体をさすりながら、
…どうしようもなくて…
…くやしくて…
…申し訳なくて…
「ごめんね」 「ごめんね」と繰り返していました。
その時のショックは、今でも心の深くに残っています。
ひとりになってしまった「ちゃシマ」はその後、いつのまにか来なくなりました。
