みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1469「ゴシップ」

2024-08-25 17:00:55 | ブログ短編

 帰りの電車(でんしゃ)の中で、ふと隣(となり)の席(せき)の人が見ていた週刊誌(しゅうかんし)に目が止(と)まった。そこには、自分(じぶん)によく似(に)た男の写真(しゃしん)が…? 僕(ぼく)は目を疑(うたが)った。そこに載(の)っているのは紛(まぎ)れもない自分の顔だ! しかも、<若(わか)い女性と不倫関係(ふりんかんけい)!>とでかでかとタイトルがついている。
 僕は思わず声をあげそうになるのをグッとこらえた。どうしてこんな記事(きじ)が…。僕はただのサラリーマンだ。有名人(ゆうめいじん)でも何でもない。そんな人間(にんげん)の記事を出して何になるんだ。しかも、ツーショット写真まで…。こんなの合成(ごうせい)だ。だって、僕は不倫なんかしてないし、こんな女性なんて見たこともない。
 家に着くと、幸(さいわ)いなことに妻(つま)はこのことを知らないようだ。いつも通(どお)りに接(せっ)してくれた。僕はホッとするのと同時(どうじ)に、明日、出社(しゅっしゃ)したときどんなことが起(お)きるのか…。想像(そうぞう)しただけで身体(からだ)が震(ふる)えた。
 次の日、僕はびくびくしながら出社した。だが、どういうわけかいつも通りだ。誰(だれ)もあの記事は読(よ)んでないのか? 僕はホッと胸(むね)をなで下ろした。きっとあれは見間違(みまちが)いだったんだ。絶対(ぜったい)そうだ。そうじゃなきゃ…。
 僕は自分の席につくと仕事(しごと)を始めた。しばらくして、僕の前に女性が現(あらわ)れた。この顔…、どこかで見たような…。僕はハッとした。それは、僕の浮気相手(うわきあいて)の…。いや、浮気相手にされていた女だ。彼女は僕のことを睨(にら)みつけて叫(わめ)いた。
「どうしてくれるのよ。あなた、責任(せきにん)とって! あたしと結婚(けっこん)しなさい」
<つぶやき>これは誰かの陰謀(いんぼう)なの? どうしてこんなことになってしまったのでしょう。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 0010「いつか、あの場所... | トップ | 0007「最強の彼女」 »

コメントを投稿

ブログ短編」カテゴリの最新記事