みけの物語カフェ ブログ版

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0327「等々力教授の研究室」

2018-09-22 18:47:44 | ブログ短編

 大学内で記者会見(きしゃかいけん)をする等々力(とどろき)教授(きょうじゅ)。いよいよ研究(けんきゅう)の成果(せいか)を発表(はっぴょう)することに。教授の横で心配(しんぱい)そうな顔で立っていた元助手(もとじょしゅ)が声をかけた。
「教授。本当に大丈夫(だいじょうぶ)なんですか? 前みたいに、また失敗(しっぱい)ってことに」
「今度は大丈夫だ。ちゃんと実証(じっしょう)実験は成功(せいこう)してるんだ。まあ、見てなさい」
 教授は大勢(おおぜい)いる記者の前に進み出た。一斉(いっせい)にフラッシュがたかれる。早速(さっそく)、記者の一人が声をあげた。「教授、画期的(かっきてき)な掃除機(そうじき)を発明(はつめい)されたとか。どんな掃除機なんですか?」
「ゴミ捨(す)ての必要(ひつよう)のない掃除機だ。吸(す)ったゴミを異空間(いくうかん)へ飛ばしてしまうんだ」
 教授は勢いよく布(ぬの)を取る。中から現れたのは、かなり大きなファンがついた掃除機らしきもの。「この巨大(きょだい)ファンで勢(いきお)いをつけて、異空間へビューッと送り込む」
 教授はゴミ箱(ばこ)のゴミを床(ゆか)にまき散(ち)らすと、掃除機のスイッチを入れた。轟音(ごうおん)と共に巨大ファンが回り出す。掃除機は順調(じゅんちょう)にゴミを吸い始めた。しばらくして、部屋の空気が生暖(なまあたた)かくなったかと思うと、天井(てんじょう)の方から細(こま)かい埃(ほこり)のようなものが降(ふ)ってきた。その量(りょう)は徐々(じょじょ)に増(ふ)えていく。会場は騒然(そうぜん)となり、記者たちは悲鳴(ひめい)を上げて部屋から逃(に)げ出した。
 取り残(のこ)された教授は首(くび)を傾(かし)げる。教授は、駆(か)け寄って来た元助手に言った。
「君(きみ)も准教授(じゅんきょうじゅ)になったんだ。どうだね、君のところの優秀(ゆうしゅう)な助手を、一人まわしてくれんか。そしたら、この研究も実(み)を結(むす)ぶかもしれん」
<つぶやき>忘れた頃にやって来る等々力教授。次回はどんな研究を見せてくれるのか。
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