目黒(めぐろ)たちが乗り込んだ車は山の中へ入って行く。鬼瓦刑事(おにがわらけいじ)が呟(つぶや)いた。
「こんなところに何があるって言うんだ? 登山(とざん)でもしてるのかなぁ」
目黒は不機嫌(ふきげん)そうに、「なにバカなこと言ってるんだ。確(たし)か…、この先(さき)に別荘地(べっそうち)があったはずだ。今は廃墟(はいきょ)みたいになってるがな…」
車はまばらに別荘が点在(てんざい)している所(ところ)に出た。目黒は車を停(と)めるとGPSを確認(かくにん)した。そして彼らは車を降(お)りた。そこへ応援(おうえん)の刑事たちがやって来たので、みんなで手分(てわ)けして一軒(けん)一軒確認していく。目黒と鬼瓦も駆(か)け回った。
その家を見つけるのにそれほど時間(じかん)はかからなかった。窓(まど)から明(あ)かりがもれていたのだ。目黒はその別荘に近づいて窓から中を覗(のぞ)いてみた。すると、小太(こぶと)りの男がコーラをがぶがぶと飲(の)んでいた。男のそばには大きなソファーが…。目黒は目を見開(みひら)いた。ソファーに樋口(ひぐち)みおが寝(ね)かされていた。男は舌(した)なめずりをしてみおに近づいて行く。そして、みおの服(ふく)を脱(ぬ)がせ始めた。目黒は窓ガラスを割(わ)って中へ突入(とつにゅう)して行った。離(はな)れた所で待機(たいき)していた鬼瓦は驚(おどろ)いて、慌(あわ)てて他の刑事たちと駆け出した。
小太りの男は突然(とつぜん)のことに仰天(ぎょうてん)したが、すぐにその場を逃(に)げ出した。裏口(うらぐち)から表(おもて)に出る。そしてエンジン音が聞こえ、車が急発進(きゅうはっしん)して行った。外にいた刑事たちは車を追(お)っていく。駆けつけた鬼瓦に、目黒がスマホを投(な)げて言った。「追ってくれ」
どうやら車にはGPSが…。鬼瓦は合点(がてん)して、「俺(おれ)に任(まか)せろ。絶対(ぜったい)に捕(つか)まえてやるよ」
<つぶやき>何とか犯人(はんにん)にたどり着くことが…。鬼瓦は犯人を逮捕(たいほ)することができるのか?
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