とある高校(こうこう)の手芸(しゅげい)部。新学期に入り初々(ういうい)しい姿(すがた)の新入部員たちがやって来た。今日は恒例(こうれい)の新入部員歓迎(かんげい)会。一通り自己紹介(じこしょうかい)が終わった後、新入部員たちから質問(しつもん)が出た。
「何で、この部には部長(ぶちょう)がいないんですか?」
副部長の三枝(さえぐさ)あずさが答(こた)える。「いるわよ。ただ、ちょっと人見知(ひとみし)りでね」
「あの、手芸部なのに何で理科準備室(じゅんびしつ)が部室(ぶしつ)なんです? それに、顧問(こもん)が理科の先生って」
顧問の先生が答えた。「それはね、他に引き受ける先生がいなかったんだ。だから、僕(ぼく)は手芸のことはさっぱりでね。君たちで適当(てきとう)に――」
先生の話を遮(さえぎ)るようにあずさが言った。「では、これから本題(ほんだい)に入ります」
あずさの合図(あいず)で、部員たちが窓(まど)のカーテンを閉(し)め切った。新入部員たちがざわついている中、部屋の中央(ちゅうおう)の机(つくえ)にローソクが置かれ火か付けられた。あずさは新入部員の顔を一人ずつ確認(かくにん)するように見つめながら言った。「では、心霊(しんれい)研究会の霊会(れいかい)を始めます」
新入部員から驚(おどろ)きの声が上がった。「私たち、そんな部に入るつもりなんて…」
「今さら何を言ってるの?」あずさはにこやかに言った。「あなたたちは、部長に選(えら)ばれたのよ。これは、とっても名誉(めいよ)なことなの。部長に感謝(かんしゃ)しなさい」
その時、ロウソクの炎(ほのお)がゆれて、どこからともなく声が聞こえた。
「あたし、幽霊部長です。これから三年間、あたしと一緒(いっしょ)に除霊(じょれい)のお手伝(てつだ)いをしてね」
<つぶやき>この学校って呪(のろ)われてるの? 選ばれた新入部員も霊感(れいかん)が強かったりして…。
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