朝(あさ)、目覚(めざ)めると、まったく知(し)らない場所(ばしょ)にいた。ここは…、どこなんだ?
起(お)き上がって周(まわ)りを見回(みまわ)す。まるで、子供部屋(こどもべや)だ。いや、子供部屋そのものだ。身体(からだ)に違和感(いわかん)を感(かん)じて手を見ると、小さくなっている。身体が全部(ぜんぶ)縮(ちぢ)んでしまったようだ。いや、違(ちが)う! 俺(おれ)は…子供になってるんだ。しかも女の子…?
俺はベッドから出ると部屋の中を歩(ある)き回った。そして、考(かんが)えた。どうしてこんなことになってしまったのか。でも、何も思いつかない。だって、昨夜(ゆうべ)はちゃんといつも通(どお)りに、自分(じぶん)の部屋でベッドに入って眠(ねむ)りについたはずだ。それなのに…。
こうなったら自力(じりき)で、自分の家(いえ)に帰(かえ)らなくては。でもどうやって…。そうだ、金(かね)だ。お金がなくては話(はなし)にならない。部屋の中を探(さが)し回ったが、見つかったのはブタの貯金箱(ちょきんばこ)だけだった。しかも、小銭(こぜに)しか入ってない。そりゃそうだ。小学生(しょうがくせい)が札束(さつたば)を貯(た)め込(こ)んでいるわけがない。ここは…、しばらくこの家にいるしかない。そう思い至(いた)った。
幸(さいわ)いなことに、この家の大人(おとな)は子供を大事(だいじ)に扱(あつか)っているようだ。それは、この部屋の様子(ようす)を見れば分かる。きっと多少(たしょう)のわがままも聞(き)いてくれるんじゃないのか?
ここで、俺はハッとした。そうだ、今日は大切(たいせつ)な商談(しょうだん)があるんだ。どうするんだよ!
子供の姿(すがた)じゃ行けないし…。もし、元(もと)に戻(もど)らなかったら? 小学生からやり直(なお)しかよ。
<つぶやき>ここはポジティブに考えて。別(べつ)の人生(じんせい)を歩(あゆ)んでいくのもありかもしれません。
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