みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0961「手作り」

2020-09-29 17:54:58 | ブログ短編

 とある会社(かいしゃ)のお昼休(ひるやす)み。女子社員(しゃいん)が自分の机(つくえ)でお弁当(べんとう)を広げていると、同僚(どうりょう)の女性が、
「あれぇ、お弁当なの。どうしちゃったのよ?」
「ああ、ちょっと節約(せつやく)でね。主人(しゅじん)のを作ったついでに、残(のこ)りものでね」
「いいわねぇ、あたしなんかコンビニよ。私もお弁当にしようかなぁ」
「そうしましょうよ。他に弁当持ってくる人いないから、仲間(なかま)になってよ」
「実(じつ)はね、うちのひと、家庭菜園(かていさいえん)を始めたのよ。何か近くで畑(はたけ)を借(か)りちゃってね」
「えっ、すごいじゃない。じゃあ、手作(てづく)り野菜(やさい)を食べられるんだ」
「まだ、そこまではね。今ね、種(たね)を蒔(ま)いたり、苗(なえ)を植(う)えたりしてるの。私も休日には手伝(てつだ)ってるんだけど…。そうだ…、収穫(しゅうかく)したら持ってきてあげるよ」
「ありがとう。でも、悪(わる)いわねぇ。じゃあ、あたしもお手伝いするわよ」
 そこへ別の同僚がやって来た。彼女は会社に入ったばかりで、私生活(しせいかつ)がまったく謎(なぞ)に包(つつ)まれていた。彼女は二人の話を聞いていたようで、話に加(くわ)わった。
「手作りっていいわよね。実は、私も…」
「そうなんだぁ…。聞かせてよ、何を作ってるの?」
「この世界(せかい)よ。でもね、なかなか思うようにいかなくて…。この間は、部族間(ぶぞくかん)の争(あらそ)いをやめさせたし。その前は、災害(さいがい)を未然(みぜん)に防(ふせ)いだのよ。来週は、中東(ちゅうとう)の方へ行かないとね」
「中東って…。あなた、いったい何者(なにもの)なのよ?」
<つぶやき>世界を手作りしてるって。まさか、神様(かみさま)とかじゃないよね。もしそうなら…。
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