神様(かみさま)が集まって年一回の会議(かいぎ)が開かれていた。そこで、最近(さいきん)の結婚(けっこん)しない問題(もんだい)が議題(ぎだい)に上がった。神様たちの言うことには、これは縁結(えんむす)びの神の怠慢(たいまん)ではないかと。
実(じつ)のところ、この神様、怠(なま)けることが多いようでノルマをこなせていないようだ。でも、縁結びの神はこう反論(はんろん)した。
「俺(おれ)はちゃんとやってるぞ。俺が縁を結んでやっても、それをぶち切るのは人間(にんげん)の方だ。これは、人間たちがいけないんだ。こっちは、そこまで責任(せきにん)なんか持てない」
他(ほか)の神様たちは険(けわ)しい顔をした。確(たし)かにそれは否(いな)めないことだ。昔(むかし)と違(ちが)って、今は縁の結び方が難(むずか)しいのかもしれない。このまま人間たちが減少(げんしょう)すれば、お供(そな)え物が減(へ)ってしまったり、全国(ぜんこく)の社(やしろ)が荒(あ)れ果(は)ててしまうかもしれない。これは大問題だ。
そこで、まだ見習(みなら)いの神様を降臨(こうりん)させることにした。人間たちを結びつけ子孫繁栄(しそんはんえい)を促(うなが)すのだ。これは重大(じゅうだい)な任務(にんむ)である。
人間の世界(せかい)に降(お)りた神様は、そこに結婚相談所(そうだんしょ)があるとこを知って驚(おどろ)いた。これは人間の実情(じつじょう)を知るのに最適(さいてき)な場所(ばしょ)だ。神様は、とりあえず近くに見つけた小さな結婚相談所に就職(しゅうしょく)することにした。履歴書(りれきしょ)とか面接(めんせつ)は…、神様の能力(ちから)を使えば簡単(かんたん)にクリアできた。
でも、就職初日(しょにち)で、神様は縁を結ぶのがどれだけ難しいのか実感(じっかん)した。さて、この見習いの神様は任務を果たすことができるのか? その苦難(くなん)の日々はいつまで続(つづ)くのだろう。
<つぶやき>人の縁とは、なかなかに大変(たいへん)なものなのです。結ばれた縁は大切(たいせつ)にしましょ。
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