やっとの思いで彼女のメルアドをゲットした彼。ドキドキしながら、彼女に食事(しょくじ)のお誘(さそ)いメールを送った。彼は返信(へんしん)を待つあいだ、何も手につかなかった。
翌日(よくじつ)になってやっと彼女から返信が来た。
「――いまちょっと仕事(しごと)が忙(いそが)しくて、またこちらからメールしますね」
彼は思った。仕事が忙しいんじゃしょうがないや。――でも、三日たっても返信は来ない。彼は、彼女にまたメールを送った。すると、すぐに返信が返ってきた。
「――ごめんなさいね。また、みんなで食事でもしましょうよ」
彼は思った。そうか、きっと二人だけで会うのは恥(は)ずかしいんだ。だから――。彼はさっそく共通(きょうつう)の友人たちに連絡(れんらく)をとり、食事会をセッティングした。
食事会の当日(とうじつ)。彼女からメールが届(とど)いた。
「急に仕事が入ってしまって、今日は行けそうもないです。みんなで楽しんでください」
彼は思った。えっ、今日は日曜だよ。彼女、日曜は休みのはずじゃ…。彼は食事会の写真を添付(てんぷ)して、彼女にメールを送った。送った。送った…。
あれ以来(いらい)、彼女からの返信は――。後日(ごじつ)、友人の女子からこんなことを聞かされた。
「彼女、実家(じっか)へ戻(もど)ったみたいよ。何かあったのかな? 急に引っ越(こ)すなんて…」
彼はその友人に訊(き)いた。「彼女の実家って、どこだか知ってる?」
<つぶやき>最初のアプローチを間違えると、取り返しのつかないことになる場合も…。
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