草木も眠る丑三つ時。
zzzzzzzz
zzz ???
・・・・・・・・
「ごわー、やられたー!!」(家内)
「むにゃ?」(私)
「こらー!フクちゃん!!」
フニャニャァァーー!!
ズドドドーーー!!
深夜に猫と追いかけっこを始める家内。
どうやらヤツは、またフクにやられたらしい。
何をって?
報復のオシッコに決まってる。
何だか知らないが、ヤツはフクの怒りを買ったらしい。
「きっと、無視したからよ。」
風呂場に干されたシーツと掛布団。
フクの生い立ちを少し書いておきたい。
社員の一人が、尻尾が千切れかかった子猫が、陸運事務所の車検場にいると家内に伝えたのは、かれこれ12年前の事である。
その社員に、家内は命令を発した。
「すぐうちに連れてこんね。」
以来、その猫は我が家の猫となった。
後に、知り合いの証言などから、少なくとも2回以上捨てられた猫であることも分かってきた。
過酷すぎる幼児期を過ごしてきた猫。
今に至っても性格がイビツであるのは、この幼児期の経験に端を発しているのは間違いない。
あと一つ。
壊死した尻尾を切断手術する際、括約筋周辺の筋肉の一部も切除する必要があった。
その後遺症により、便を押し出す力が弱く、特別な餌以外は酷い便秘になってしまう体質となった。
いつもフクは餌が気に入らない時は、餌が入ったままの餌入れ毎、床に落として抗議する。
フクにしたら無理もないのだ。
12年間、毎日毎日、同じ飯が目の前に出されりゃ、誰だってそうだろう。
なので、こういったものを種類を変えて、少量を一緒に混ぜて与えているのだが、
「昨日は、あんまり何回も落とすので、無視してやった。」(家内)
「そりゃ、お前が悪か。」(私)
「だって、入れ過ぎたら、また便秘するじゃん。」
今回の犯行の動機が見えてきた。
ペーストの配合割合が少ないと抗議したものの、家内にそれを無視され、それを恨みに思ったフクは、家内が眠りについたのを見計らって犯行に及んだらしい。
特別な餌しか与えられない事。
そしてイビツな性格。
フク様。
今日の朝餉は、いつもよりペースト多めにしときました。
どうか、お怒りをお鎮め下され。