そこらじゅうにウメのねぐらがある。
どこで寝るかは、ウメの気分次第である。
ある時は、ビーズクッションにめり込んでいたり、
またある時は、ソファーの不自然な膨らみに、
潜んでいたり、
家内のベッドに手を生えさせたりする。
幾つかペットベッドも置いているが、
お気に入りは、
発泡スチロール製のこれだ。
サイズ感がどうにも都合が良いらしい。
ウメよ。
好きな場所で好きなだけ寛ぐがいい。
ただあれだけは、止めてくれないか。
ウメの水飲み場も、これまた複数あって、
リビングの床であったり、出窓スペースであったり。
そして、
仏前に供える水を『閼伽(あか)』と言うらしいが、この頃はその閼伽すらも、ウメの水飲み場となってしまった。
その場所が良いのならばと、閼伽の手前にウメ用のコップを置くも、それには見向きもしない。
ひたすら亡父の閼伽を飲むウメである。
困ったもんである。
草葉の陰から、
「なんとかせい!」
そんな親父の苦情が聞こえてきそうだ。