何かを一心不乱に見つめるウメ。
その視線の先にあるのは、

『岩合光昭の世界ネコ歩き』である。
ウメのお気に入り番組だ。
それにしても、いつも以上に熱心なのは・・・
きっとそれは、

この一匹の黒猫のせいだ。
黒猫と言えば、ウメの先輩ネコだったフクである。
我が家に拾われてきた幼いウメを、渾身の愛情で守り育てたフク。
きっとテレビの黒猫に、フクの姿を重ねているのだろう。
そう思えてならない。
グスン
何だか不憫になってきた。

「ウメ、買ってきてやったぞ。どうだ。屋根付だぞ。」

『何ですと?』

不動の人気を誇る、緑のガムテープ貼り発泡スチロール。
一般的なスタイルながらも、マタタビの香り付海老と他オモチャ入りベッド。
そして、新品の切り株ハウス。
どれを選ぶか、それぞれを並べてみた。
強敵揃いの中、ウメがまっ先に駆け寄ったのは、私が買ってきた切り株ハウス。
そうだ。
お前の選択は正しい ( ̄Λ ̄)ゞ
以上の経緯をLINEで娘達に知らせた。
《上から踏み潰さないか心配》(長女)
《潰されませんように》(次女)
ふ、
お前たち、
それは杞憂というものだ。
ウメは賢い子なのだ。
な、ウメ。

ウメ、
・・・それ、違うから。