諸行無常の響きあり

フィリピンの小さな焼き鳥居酒屋の親父のつぶやき

カリフォルニア巻とフィリピン

2011年12月20日 20時03分36秒 | つぶやき


今から15年以上前の話だろうか、マニラの某有名な歓楽街の近くに宿を取った。
友人と共にその一角全てが『ゴーゴーバー』と呼ばれる店が集合して入っている場所に行ったときのことである。
席について座って酒を飲み始めた時にそこのステージでくねくね踊っていた女性達が盛んに同席させてくれと誘ってくる。
日本から来ていた友人はご他聞に漏れず、その中の数名の女性を座らせ、飲みものの注文をして女性に飲ませることになった。
その女性達はお摘みを食べさせてくれと執拗に言うので溜まりかねた友人は『何が食べたいのか聞いてくれ』と私に言った。
その女性達は揃って『カリフォルニア・マーキー』が食べたいと言い出した。

今でこそ、それを売り物にしているが、その頃は『カリフォルニア・マーキー』なる物は何のことか全く解らず、とりあえず注文することにした。
出てきたのはこのフォトチャンネルの始めに出てくるカリフォルニア巻と同じだったかどうかは記憶に無いが
とりあえず食べてみたが、寿司のようで寿司ではない、しかし結構食えるというような印象が強かった。
今になってまさか自分がそれを売り物にするとは思わなかったが、やはりあの何ともいえない不思議な味の巻物を
こちらの人は今ではジャパニーズのメニューの定番だと思っている節がある。
日本の方であればそれは違うと言うだろうが、それはそれでこちらで変化した物なのだろう。

ただその後に知ったことであるが、本来のカリフォルニア巻は海苔を内側に巻くという物ではなく、普通の海苔巻きと同じ外観
しかし中に巻くのはタラバ蟹の身とアボカドというフルーツを巻いた物がオリジナルであると誰かに聞いたことがある。
それが本当だとすると私が出している物は一体何巻きなのだろう・・・・・・差し詰め『フィリピン巻き』ということか・・・。
今では日本のレストラン関係だけではなく、現地の人が経営する食堂でも日本の食べ物の代名詞として、この『マンゴ・カニカマ・巻き』は
立派な売れ筋のメニューとして君臨している。

食べ物だけとは限らず私の好きな『JPM』と呼ばれている日本の歌をタガログに訳して唄われている曲なども現地の人は
オリジナルミュージックがフィリピンだと思い込んでいる人も多いようである。この『JPM』に関しては私のブログを見てコメントを
下さる方の中には相当に詳しい方もいらっしゃる。歌などもそうであるが、要するに庶民は一日中音楽が流れている
環境にいても飽きない程に音楽は日常的に生活の中に浸透している。日本の曲のみならず英語の曲などもタガログ化されている
歌はおそらくオリジナルが何処の国で出来た曲などと考えて聞いていないだろうし、スペイン語曲などはおそらくフィリピンの『OPM』だと
思って聞いている人もいるのではなかろうか。

その他にも明らかにルーツが外国だと言うにも拘らず国民はフィリピンがオリジナルだと思っている場面も沢山あるだろう。
もっとも食器類にしろ、日常使う道具にしろタガログ語では表現できない場合も沢山あるようであが、
諸外国の文化と現地のネイティブ文化が入り混じっていることの多い、この国の人たちにとってはそんなことはどうでもよく
現状の生活に支障がなければいいのであろうと私は解釈している。

今後も新しい言葉は増えて来るだろう、トッポイ表現となるのだろうが、タバコの事を『ヨシ』と言ったり身嗜みの出来ていない
女性を『ブルーハ』などと呼んだりする。女性のことは『ババエ』、男性は『ララケ』、プレイボーイは『ババエロ』、プレイガールは
『ララケラ』と言う風にAが語尾に付く場合は女性、Oが語尾に付く場合は男性、セニョリータとセニョリートと言ったような使い分けをする。
これは明らかにスペイン語の影響だろうが、スペイン語ですらフィリピン風にアレンジされている言葉も沢山あるだろう。

ただ現地の人は英語を話せることに自信を持っているようでだが、文法などは合っているのだろうが、アクセントを聞き取りにくい
と言うのが私の実感であるが、まあ英語と言うのはスペルこそ同じだが、使う国の人によってかなり発音が違うのでフィリピンの英語が
世界に通用するかどうかは私には疑問が残る。何れにせよ複合的な文化が入り混じり現在のフィリピンがあるのだということ感じる自分である。

因みにビサヤ地方のセブアナ語などでも罵声を浴びせる言葉『ギ・アータイ』という言葉があるが、これも男性だと『ギ・アートイ』となるのは面白い。