食材を使うタイミングによっては、味が落ちてしまう場合もあります。
これは鮮度の劣化や冷凍焼けなどが原因で起こり得るものです。
しかし、劣化や冷凍焼けなどで美味しくなくなった食材も、裏技を使うことで見事に復活させることが可能です。
そこで今回は、美味しくなくなった食材を復活させる裏技についてご紹介しましょう。
■市販のお刺身を美味しくする裏技
夜にスーパーへ立ち寄ると、お刺身コーナーの商品が値引きされていることも多いです。
値引きされているお刺身を見ると、中には色が若干変色していたり、ドリップが出ていたりして、美味しくなさそうなイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、時間が経って劣化したお刺身も裏技によって美味しく復活させることができます。
・お刺身が劣化する原因
市販のお刺身は鮮度が良い状態ならニオイも気になりませんが、時間が経ったものは生臭いニオイが気になる場合もあります。
これは、時間が経つことで身の部分に発生するトリメチルアミンが原因になります。
トリメチルアミンは魚が水揚げされてから時間経過と共にうまみ成分の1つ、トリメチルアミンオキサイドが分解されることで生じる物質です。
また、切り分けられているお刺身は切る段階で空気に触れてしまっているため酸化が進んでしまい、色味が悪くなってしまいます。
・お刺身を美味しくする裏技「塩水処理」
時間が経って劣化してしまったお刺身を復活させるには、塩水処理を行うのがおすすめです。
塩水処理は簡単に言えば、塩水を使ってお刺身を洗うことです。
お刺身が劣化した際の嫌なニオイはトリメチルアミンによっても発生しますが、それ以外にも魚から出た脂が酸化することで強くなると言われています。
この成分は水に溶けやすいことから、身を洗うことで生臭さも軽減されるのです。
ただし、普通の水を使って洗ってしまうと浸透圧の影響から魚の身に水が入ってしまい、刺身自体が水っぽくなってしまいます。
これを防ぐために、海水と同じ濃度の塩水を使うことで身の中に水を入れず、嫌なニオイだけを取り除けるようになります。
・塩水処理のやり方
塩水処理を行うには、まずボウルなどの容器に水を入れ、その水に対して3%の食塩水ができるよう食塩を投入します。
例えば1リットルの水に対して30gの食塩を入れれば、3%の食塩水を作ることが可能です。
塩が溶けたら氷を入れます。
あとはお刺身をボウルの中に入れ、優しくかき混ぜるだけでOKです。
もし色味が悪ければ、色の悪い部分だけ軽くこすって洗うと、より効果も上がるでしょう。
氷を入れたことで身が引き締まり、歯応えも良くなります。
水から取り出したお刺身はキッチンペーパーで水気を拭き取り、お皿に並べれば完成です。
なお、この方法は単に鮮度が落ちてしまったお刺身に使うだけでなく、余分な魚の脂を洗い流したい時にも使える方法なので、うまく活用していきましょう。
■冷凍焼けした食材を美味しくする裏技
食材を長期保存しようと、冷凍庫で保存する人も多いでしょう。
しかし、冷凍庫に入れて保存したことで冷凍焼けを起こしてしまう可能性があります。
そもそも冷凍焼けとは、冷凍庫に入れていた食材の表面が白っぽくなったり、変色したりする状態を指します。
色味だけでなく、くさみや冷凍庫内のニオイが移るなどの影響を受けてしまう場合もあるので注意が必要です。
・冷凍焼けはなぜ起きる?
冷凍焼けが発生する原因として、乾燥と酸化が挙げられます。
冷凍庫内に食材を入れると、食材の中に含まれていた水分も凍ります。
この凍った水分は長期間保存している中で水蒸気へと変化し、徐々に食材が乾燥していくのです。
食材の中に含まれた水分がなくなれば、そこに空気が入り込み、酸化を進めてしまいます。
空気が入り込み酸化したことで色味が悪くなるだけでなく、風味や食感なども落ちてしまうでしょう。
・冷凍焼けをした食材も美味しくする裏技
冷凍焼けを起こした食材でも美味しくすることは可能です。
食材ごとに異なる解凍方法や、美味しくするための調理方法をご紹介しましょう。
◎肉類
肉類が冷凍焼けを起こしてしまった時は、浸透圧を活用して再び肉の中に水分を入れてあげることで柔らかいお肉に仕上がります。
まずは冷凍焼けした肉の重さを計測し、その重さと同じ量の水と3%の塩をポリ袋に入れて塩水を作りましょう。
塩水を作ったらその中に冷凍焼けしたお肉を入れて、一晩冷蔵庫で保存します。
解凍後は水気を拭き取り、あとは普通に調理すればOKです。
冷凍焼けした肉は若干ニオイが気になる場合もあるため、濃い目の味付けや調理時にお酢を使うことでニオイも気にならなくなるでしょう。
◎魚介類
魚介類は肉類と比べて一度冷凍焼けをしてしまうと、元の状態に戻すのは非常に難しくなります。
また、魚を解凍する場合、ドリップを防ぎながら解凍することで美味しさを保つことも可能です。
冷凍の魚を解凍する時は、流水で解凍していくのがおすすめです。
ボウルなどに水を張っておき、その中に保存袋に入れた冷凍の魚を入れます。
その上からしばらく水を流して解凍する方法です。
エビを解凍する時は氷水解凍を実践してみましょう。
氷水解凍はボウルなどに氷水を張り、エビを保存袋に入れたまま沈めて解凍します。
ドリップを防ぎつつ短時間で解凍したい時は温塩水解凍を試してみてください。
この方法は、特にマグロやカツオなどの赤身魚を解凍する際におすすめの方法です。
まず約40℃のぬるま湯を準備して、そのお湯の量に対して3%の塩を加えます。
準備した温塩水の中に5~10分ほど冷凍魚を直接浸しましょう。
時間が経ったらキッチンペーパーで水分をよく拭き取っておきます。
あとは魚を湿らせたキッチンペーパーで包み込み、冷蔵庫内に約1時間置けば完成です。
冷凍焼けした魚は下味をつけて調理する方法がおすすめですが、生で食べたい場合はカルパッチョにするのがおすすめです。
カルパッチョは食材から水分の臭みが出てしまったとしても、ソースに含まれている果汁の酸味によって和らぎます。
◎野菜類
野菜類で冷凍焼けを起こした場合、火の通りが良いものとそうでないものに分けて解凍するのがおすすめです。
火の通りが良いもの、例えばもやしやネギなどは、凍ったまま直接火にかけて調理しても良いでしょう。
にんじんやかぼちゃなど、火の通りが良くない野菜はスープや煮込み料理など、長時間火にかけるような調理方法ならそのまま使っても問題ありません。
しかし、炒め物などサッと火を通す程度の料理に使いたい場合は、水分が溶ける前に電子レンジで加熱し、事前に解凍しておくのがおすすめです。
電子レンジで加熱する際は、600Wで2分を目安にすると良いでしょう。
なお、冷凍焼けした野菜はスープ料理に使えば、冷凍焼けによって劣化した食感や風味なども気になりません。
今回は、鮮度の劣化や冷凍焼けによって美味しくなくなった食材を復活させる裏技についてご紹介してきました。
鮮度が劣化したお刺身や冷凍焼けした食材は、風味が落ちて料理に使ってもあまりおいしくならない場合があります。
特にお刺身はそのまま食べることも考えると、風味以外に嫌な生臭さが気になってしまうこともあるでしょう。
しかし、今回ご紹介した裏技を活用すれば、簡単に食材を美味しく復活させることが可能です。
ぜひ裏技を活用しつつ、美味しくない食材を復活させていきましょう。